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第7回スポーツ医学塾 特別企画〜東京五輪サッカー競技サポートを終えて〜

はじめに

10月31日に第7回スポーツ医学塾が開催されました!
今回はスポーツ医学塾が創設されてはじめてのハイブリット形式での講義でした!😆
今回のテーマは「スポーツ現場に関わる仕事の実際を知ろう!」です!⚽️⚽️⚽️

講師紹介と講義内容

今回は医学部に所属している1年生の井戸亮太さん、廣瀬凛さん、センゲル響さん、中島みなみさんの4人の塾生の方に協力していただきました!
協力していただいた4人の塾生さんに感謝申し上げます😊🤲


東京オリンピックサッカー日本代表チームドクター(内科)として 

福島理文 先生 
福島先生は循環器内科医として東京オリンピックサッカー日本代表チームに帯同されました。2017年11月に代表チームが立ちあがり、計219日間の活動が行われました。東京オリンピックは2週間、中2日で最大6試合の短期決戦となりました。福島先生を含む7名のメディカルスタッフによりコンディショニング・リカバリー、傷害予防、暑熱対策、 
感染予防が徹底されました。 
チームドクターとしての主な仕事はチーム活動への帯同、新型コロナウイルス関連、ドーピング検査対応、アスリートの内科疾患、スポーツ活動の可否の診断、メディカルチェック、選手や監督・コーチを含むスタッフとその方々の家族の健康相談などが挙げられました。 

オリンピックが始まる前のコロナワクチン接オリンピックが始まる前のコロナワクチン接種においてワクチン優先、非希望選手、接種間隔、副反応、隔離期間などの問題があり、これまでのオリンピックよりも事前準備が大変でした。 
現場ではONE TAP SPORTSを利用したコンディションチェック、暑熱対策、脱水の確認などに加え、新型コロナウイルスについての教育や換気、消毒が徹底されました。新型コロナウイルスの感染対策として食事会場ではスクール方式(同一方向)、席の固定、ビュッフェ形式、ビニール手袋などが取り入れられました。 
選手のコンディショニングとしてクレアチンキナーゼ(CK)の値を計測し、筋疲労のチェックをし、クライオセラピーや補食(サプリメントではなくブドウ糖や、バナナ、ヨーグルト、オレンジジュースなど)で疲労回復を促しました。 
また、眠れない、ミーティング中にドキドキする、めまいや耳鳴りがする、倒れそうなどの内科的な相談が選手からだけでなくスタッフからも多く寄せられると仰っていました。 
福島先生は循環器内科になってから初めて循環器内科もスポーツ医学に関わることを知り、研究会や勉強会に積極的に参加されました。その結果、人脈が広がり紹介を受けて本格的にスポーツ医学に関わるようになられました。何年も内科医としてスポーツ医学に関わっていたため東京オリンピックのチームドクターになることができたので、地道にコツコツとやることが大事であると仰っていました。 
また、夢をかなえるために大事なことは、なりたいと思うことを突き詰めて頑張ること、情報を逃さないこと、縦・横の人間関係を大事にすることであると仰っていました。 


東京オリンピック2020サッカー日本女子代表帯同報告 

河瀬麻希 先生 
続いてアスレティックトレーナーとして女子サッカーのメディカルスタッフを務められた河瀬麻希先生より、帯同報告を伺いました。福島先生が男子サッカーの帯同についてお話しされたこともあり、男子との違いについても詳しく伺うことができました。 
女子サッカーの場合は、アスレティックトレーナー2名と整形外科医1名によってメディカルチームが組まれていて、アスレティックトレーナーは食事面を特に担当されていたそうです。メディカルチームは、外傷と障害の予防、早期回復、コロナ対策を3本柱として活躍され、結果として怪我による離脱者、濃厚接触者は0だったそうです。外傷や障害の予防について、今回のオリンピックでは良い結果を出すことができたので、アスレティックトレーナーや医師だけではなく、他職種たとえばコンディショニングコーチ、テクニカルコーチ、監督などのスタッフとも協力をし、これからも継続していきたいとおっしゃっていました。 
男子との違いとしては、オリンピックが2020年から2021年に変更されたことにより、リーグの都合上オフシーズンの試合となったこと、オリンピック期間中に日本中様々な地域での転戦となったことを挙げられていました。また、女性アスリートにとって切っても切り離せない月経についてもお話を伺うことができました。 


サッカー協会強化育成部・チーム総務として

本間一憲 先生 
日本サッカー協会にお勤めされている本間さんは、選手やスタッフ、チームの間を繋ぐ役職であるチーム総務をになってらっしゃいます。2012のロンドンオリンピック、それ以降のU19カテゴリーのアジアカップ、2020東京オリンピックにも実際にチーム総務として帯同されておりました。今回のオリンピック代表チームのほとんどの選手は、2015のロシア遠征をスタートとして、計6年間の集大成として2021の夏にこの2020東京オリンピックを迎えたそうです。実際にこのチームのスタッフとしては、団長、監督、トレーナー、カメラマン、そして総務をはじめとする15名のチームが組まれ、本間さんは国内選手担当の総務として任務されていらっしゃいました。 
オリンピックや他の大会でのお話をお話していただく中で、印象に残ったものをご紹介致します。 
2020東京オリンピックの直前に、怪我をした選手がおり、その選手の差し替えを行うかどうかが議論となった際のことです。1人目のドクターから、今回のオリンピックってプレーすることはできないという診断が下り、監督やコーチは選手の差し替えにうつろうとしたところ、本間さんご自身が、その選手は一体何に間に合わないのか、初戦か?決勝か?そのようなことを細かく監督に説明して、(差し替えに関して)適切な判断が下せるようにしてくれないかとメディカルスタッフに助言をされました。その結果、選手の所属クラブのドクターとも話し合いをした上で、細かく復帰プランを構想して差し替えは行わずに、その選手を残して大会に臨むことが決まりました。結果として、この判断が良かったのかどうかはわからないと本間さんはおっしゃっていましたが、メディカルスタッフ以外のチームスタッフの助言によりこのような大きな判断が動いたことに、スタッフも合わせて全員で日本代表チームであり、これは非常に意味があることだと感じました。お伝えいただいた、『監督が悩みに悩んで選んだ18人であり、監督にとっても選手にとっても、大きな判断となるから、ドクターをはじめとするメディカルスタッフはそう簡単には最終ジャッジをしてはいけない』というメッセージが、とても心に響きました。スポーツの現場、とくに長丁場の大会では、色々な材料をもとに判断を下すことがメディカルスタッフには求められます。監督と選手だけでなく、チームスタッフが一丸となって目標へ向かうために、チーム、そして各選手にとって何が最善策であるのかをしっかりと考える必要があるとのことでした。 
本間さんは、ご自身が大学生のときからマネージャー業をはじめられ、ご卒業後に地元の千葉ジェフに入ったのちに、縁があって日本サッカー協会へとご就職され、今のお仕事をされています。学生の頃から、『10年後の自分は何をしていたいのか、というのを常に意識し、目標をもって、こうなりたいと思い続けること』が、いまの本間さんを創っていると教えていただきました。 


感想

今回は、東京オリンピックの日本代表チームに帯同された3人の講師にお話を伺いました。ドクター、トレーナー、マネージャーと言った様々な立場の仕事の紹介や感想を話していただきとても有意義な時間でした。講師の方々に共通していたのは、今の自分の仕事に全力で向き合うことで次のステップが見えてくるということです。私たち塾生が目指すところにいらっしゃる方々のお話を聞くことができ、今の自分に出来ることを精一杯やっていこうと心に決めることができました。とても興味深いお話をありがとうございました。 

最後に

今回の講義は第6回の講義に引き続き、他職種の連携の大切さを知るきっかけになったのではないかと思います!

それでは!次回のスポーツ医学塾をお楽しみに!🙆‍♂️

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