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またひとつ、本を書き終えて思うこと

これで最後にしよう

毎回、なんだかんだ一冊仕上げるのに一年くらいかかって、終わる頃には「本を書くのはこれで最後にしよう」と心底そう思って、「さあ好きなだけ映画を観よう」とか「さあ好きなだけ絵を描こう」なんて思うのだけれど、気がつくとまた本を書いている。

誘われてそうなることが多いのだけれど、今回は違った。僕から書きたいと村田さんに言ったのだ。村田さんというのは、僕の最初の本『たのしいインフォグラフィック入門』を担当してくれた編集者さんで、一緒にやるなら村田さんがいいと思って気持ちを伝えた。

内容は、『たのしいインフォグラフィック入門』の続編。あの本を出したのが、2013年。それから6年経って、僕も境遇が変わって(2014年にNewsPicksに入社。インフォグラフィック・エディターとして活動スタート)、インフォグラフィックのスマホ最適だったり、メディアでの活用というお題に心血を注いできた。そこで得たものについて書こうと思った。

でも、どうにも筆が進まない。だいたい2014年〜2016年にかけて、それらは僕の中で体系化できてしまっていて、いざ書くには新鮮な気持ちになれなかったのである。

本当にこれが書きたかったんだっけ? 僕が書きたいと思ったのは何だったんだろう? もっと、こう何か、書きたい理由があるはずだった。

それで、執筆をはじめて半年くらい経った時に、Wordに「動機とコンセプト」なる文章を書いてみた。そのファイル──「動機とコンセプト_20190422.docx」をひさしぶりに開くと次のように書き殴ってある。

ビジュアル表現をする人のすそ野を広げたい

なぜこの本を書くのか?
『たのしいインフォグラフィック入門』や、NewsPicksでのインフォグラフィック活用実践例を通じて、インフォグラフィックをつくる人や活用する人、興味を持つ人は増えた。

しかし、と言って、日常的にインフォグラフィックを目にする状態になっていない。理由は、作り手が増えたとは言え、グラフィックデザインのハードルが高いためと、グラフィック以前に構造的にうまくまとまっていない(伝わらない)ものが多く、いいインフォグラフィックと呼べる作品が増えておらず、その真価が正しく浸透していないためと、工数がかかるわりにリターンを得られる確率が低いためと思われる。

そこで、インフォグラフィックの利点(構造的で伝わる)を活かしつつも、いろんな人(ノンデザイナー)が参加できる表現フォーマットを用意して、ビジュアル表現をする人のすそ野を広げたい。

スケッチノートは、誰でもつくり手となれるインフォグラフィックのひな形みたいなもの。ただそれだけではなく、手描きという時代性もとらえている。

手描き表現という点では、グラレコの認知が広がり、はじめる人が増えた。しかし、リアルタイムのハードル、模造紙のハードルもあり、本来の議論の可視化やファシリテーションという役割と異なる表現が派生し、それを何と呼ぶか議論になっている。

それらは、リアルタイムではなく、模造紙のような共有スタイルではない。ただそこに描かれているものの印象はグラレコに近い。

リアルタイムではない分、全体をとらえてから描くことができ(グラレコの場合はどういう話になっていくかが最後までわからない)、構造化をとりいれやすいため、その点ではインフォグラフィックとやっていることは近い。

この、インフォグラフィックとグラレコの中間表現である「スケッチノート」がビジュアル表現を広げるブレークスルーのひとつとなる。

この文書を村田さんにもすぐに送って、僕が本当に書きたいのは2018年以降の最近の話で、インフォグラフィック本の続編ではなく、流れをくみながらも新たなものなのだとハッキリした。

そこからはすんなり、といきたかったけど、実際はそこからも半年掛かっていて、すんなりとは言い難い。でも、その時に書いたWord文書がコンパスの役割を果たしたのは確かだ。

それからもう一つ決めていたことがあって、ハウツー・ドリヴンな本は書きたくないと思った。

フィロソフィーに忠実に

『たのしいインフォグラフィック入門』は主にデザイン書の棚に置かれる本で、手に取る人は限られていた。一度、もっと広いビジネスパーソンに向けて、いわゆるビジネス書を書いてみようと挑戦したことがあって、それが一昨年に出した『図で考える。シンプルになる。』である。

タイトルからわかるように、ザ・ビジネス書で実用的な本にしてあって、この本を出すことは僕にとって非常に勇気がいることであり、自分の主義を抑えて書く過程は強いストレスを感じる日々だった。そのため、過度なハウツーに対して、すっかり燃え尽きてしまった(でも、結果は僕の書いた本では一番売れて、心境は複雑)。

ともかく、その反動で自分のイデオロギー、フィロソフィーに忠実に書きたいと思った。と言って、ふわふわした思想をとりとめもなく書いた本をつくりたいわけじゃない。

地に足がついて、実践を伴うものを書きたくて、村田さんには思想書と実用書が混ざったような本をつくりたいと伝えた。

そして、それが今日完成した。

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発売日は10月29日。タイトルは『たのしいスケッチノート』。サブタイトルは「思考の視覚化のためのビジュアルノートテイキング入門」。この本を書き終えていま僕が思うのは、また本を書くだろうってこと。なぜなら、本や、本屋さんが好きだから😌📚




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インフォグラフィック・エディター/ソーシャル・エディター🦓NewsPicksで働きつつ、個人でも活動中。サイト『ビジュアルシンキング』運営。コミュニティ『ビジュアルシンキングラボ』主宰。📚著書に『たのしいインフォグラフィック入門』『図で考える。シンプルになる。』 ほか。