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僕のひこうき雲

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とある広告会社の総務部に勤務するしがない中年男です。このまま化石になりたくはないと日々足掻いています。
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#日記

僕のひこうき雲 17(知らずに傷つけた)

僕のひこうき雲 17(知らずに傷つけた)

某月某日

外は重い雲に覆われ、まるで会話を阻むかのように、冷たい小雨が傘を持つ身体にまとわりついてくる。

今日は手術前の麻酔科受診の日。

病院のエントランスホールは、平日の午前中に関わらず、外来患者や付き添いの家族などであふれていた。

まず空いている座席を見つけて妻に座ってもらい、温かいほうじ茶を淹れた水筒を手渡しした。

僕は、ずらりと並ぶ端末機で再診手続きを済ませ、その足で案内係に麻酔

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