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向田邦子展 @青山スパイラル

 没後40年特別イベントが1月24日(日)まで青山スパイラルで入場無料にて開催されている。(会期中無休)向田邦子が住んでいた青山のマンションから300mほどの距離にある青山スパイラル。用事の帰りにふと立ち寄ってみた。

 向田邦子の手書き原稿、台本、ドラマのキャストの写真、もちろん彼女のポートレート。そして年表、彼女の愛読書と洋服、集めていた陶器なども展示されていた。上記の写真は彼女が料理好きに勧める100冊の一部分。

 戦後の成長著しい時代、女性の進出がまだまだこれからというときに、映画の雑誌編集者となり、テレビの脚本をてがけ寺内貫太郎一家をはじめ、阿修羅のごとく、など「向田邦子ドラマ」として注目を集める。短編集は直木賞を受賞。独身を通した彼女が着るものや持ち物に対する美意識、お洒落なライフスタイルに憧れを持つ女性も多かった。凛とした美しさを持ち、51歳で事故死すると向田邦子という人そのものが伝説のようになった。


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青山スパイラル 展示

 生存されていれば現在80歳は超えていらっしゃるだろう。そう思うと彼女の残した作品は、昭和の時代の古い習わしや価値観にとらわれたもののようにも思える。しかし読んでみると、家族の問題は今にもあることで、それを子供の視点からあたたかく解釈していたり、気遣いを感じられるのが向田邦子らしい。いろいろとどこの家族も問題をかかえているんだけど、その家族なりに思いやって生きている絶妙なバランスや小さな幸せを感じさせる。


 向田邦子の遺した 洋服や靴、そして彼女が生きた年表を見ながら、自分がどこで誕生しどの時代を共有したかを追っていった。テレビを見ていた時代は多くの人がある一定の価値を享受して楽しんでいた時代。現在はSNSの時代でさまざまな価値を違った形で個人が楽しむ時代。家族の繋がりや地域の繋がりは薄れていく時代にあって、向田邦子作品を読み返してみたくなった。




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