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歌のかがやきと絵のこえたち

歌声が星のようにかがやいている
私の描いた絵からこえが聞こえる

私は歌が好きだ。
幼い頃、物凄く辛いことがあり、自分の心の中の声を言葉で表すことができなくなった。というよりやめてしまった。言葉の代わりに歌が心の中の声をのせる。大人になり、言葉で表すことが少しずつ出来るようになった今でも、歌は楽しい時、嬉しい時、苦しい時、孤独な夜、いつもどんな時も私を支えてくれる。


大好きだった祖母と家のカラオケで歌った演歌。
小学生のとき、合唱団で歌った合唱曲。
学生時代、夢中で聴いた邦楽や洋楽の歌たち。
老人ホームで歌った懐メロ。
病気で苦しくて自分を癒やすための歌。
家で家事をしながら楽しく口ずさむ歌。
歌が私の心を輝かせてくれる。

病気で夢を諦め、生活のために飛び込んだ夜のお店で、ドレスを着て様々な歌を歌っていた頃。
ある日、賑やかを超えた酔った時特有の声や、恋の駆け引きとか、私のちょっとだけ苦手なざわめきの中で、リクエスト曲をけっして上手くはないけれども心を込めて歌った。騒がしかった店内がシーンとして、私の歌を聴いてくれた。歌い終わると拍手が沸き起こった。鳥肌が立ち涙が頬を伝う。そんなことがあった。
「あ!今日も歌のお姉さんがいる!」と指名してくださるお客様がいた。

どんな時も私を支えてくれた歌。その歌で人に喜んでもらえることがあるんだ。

諦めたことにくよくよせず、今の私だからこそ出来ることをみつけて生きていこう。そう思った。

・・・

ある星のキレイな夜、息子と息子の親友と我が家で楽しくビールを飲んでいた。

「僕のライブに、じゅんみはさんの絵も置いてみたら?」と息子の親友の工藤くんに言われた。「ライブまで一週間あるから。体にムリせず描いてみたらどうかな?」
嬉しい!私の絵を置いてもらえる。もし売れなくとも誰かに見てもらえる。
息子に「満身ソーイング」を提案してもらってからやっていた縫い物は手術の後遺症の肩の痛みで中断していて、noteで少しずつ文章とそれに合わせた絵を描いていた。
私の中では絵を描くことも「満身ソーイング」だと思っていたので、工藤くんから提案されて「やってみたい!」と言った。隣で息子も「いいんじゃない。」と言ってくれた。

(「夜のうたごえ」「満身ソーイング」もよろしければ読んでみてください。)

6月19日、私は下北沢へと電車で向かった。息子の親友、工藤くんの出演するライブ「ひといきといろ」へ行く。

ライブハウスへの道のり。
学生時代にお洒落な古着や雑貨を見に通った下北沢。
なかなか行けなくなったライブやコンサート。歌うことが大好きで、歌を聴くのも大好き。生で歌が聞けるなんて!胸が躍る。スキップしたいくらい足が軽い。

もちろん感染症予防をしっかりしつつ。

自分で描いた絵を入れたカバンを落とさぬよう両手でしっかりと持ちワクワクする。バスや電車の窓から見える景色もいつもとは違うように見える。

・・・

絵を描くことは、小さい頃病弱だった私の楽しみだった。noteを書き始めて久しぶりに絵も描き始めた。調子がよくなくて外出できない時もnoteの文章を考えたり、絵は描ける。幸せな時間だ。

絵は、時間を見つけてコツコツ楽しみながら夢中になって描いた。

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(「ニャンラブユー」言葉を話せないはずの猫たちが私を愛してるってシッポで言っているのかな?「ピンクの猫?」監督の長女猫が見ていた。)

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(下「きねんび」絵から声が聞こえるような気がして何の記念日?なんて言いながら色塗りした。上「絵本の製本前」)

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(「月の下」儚げにしたかったが全体の色を塗ったら強くなってしまった。もう少し直したい。)

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(肌の色だけの絵。何か伝えたい想いがあるのに言えないのだろうか?なんて思って描いていた。)

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(尊敬する小牧幸助さんの素敵な小説を絵本にした「昨日の自分を撫でる夢」も自分でプリント、製本した。)

ライブの日の朝、美術の個展などしている息子に、仕事の出勤前の僅かな時間で「絵の値段のつけ方が分からないから決めて欲しい。」と頼んだ。
「こんなに高いの?」
「自分の絵の価値。本気で描いたのでしょう?将也は歌のプロなんだよ。プロのライブに並べてもらうんだから。売れなくても良い、ちゃんと自分の絵を見てもらいなよ。」
「うん、分かった。」

ライブ当日、準備に思った以上に手間取って、ライブ当日は大幅に遅刻してしまった。
物販の棚に絵を並べる。ちょっと手が震えた。誰かに見てもらえたら。そう思った。

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(並べ終えた絵たち)

カウンターで緊張気味にノンアルコールのオリオンビールを注文する。ライブハウスのお兄さんがビンの蓋を栓抜きでカシッと開けてくれた。
ビンにそのまま口をつけてビール(ノンアルですが)を飲むなんていつぶりなんだろう?ビンを持つのも照れくさいけど美味しい。
感染予防にほどよく椅子に間隔が置かれている。

一番目のアーティストさんの歌は大遅刻のため聴けなかった。(楽しみにしていたのですが、大変申し訳ない。)

しばらくすると、全体の照明が落とされ、ステージがフワッと明るくなり二番目のアーティストさんが出て来た。
可愛い女の子が可愛いギターを弾いて歌い始めた。

その女の子が自粛期間などでライブができなかった間の想いを語り、その時に作った曲を歌い始めた。
飾らないで歌うそのままの姿と、なんて表現したら良いのかわからないけれども、彼女の声は透き通っているのに深くて強くてでも甘くてほろ苦くて、耳から入った歌声が頭を抜け心を通り、体中に響き渡る。
歌詞と曲にも吸い込まれた。絵を描くのに寝食忘れてヘロヘロだった私の体中の血が一斉に動き出した。歌を聴き、勝手に頭や肩、足のつま先が揺れてリズムをとっている。彼女の想いと、私の若かりし頃の思い出が歌に乗せてきらきらと輝き出した。
「4月」と「だいだい(字が間違っていたらすみません。)」という新曲と、「春しかこないの」が特に心に残った。
彼女の全ての歌を聞き終わると自然と涙が出ていた。
前の席に座っていた人たちも同じように体中でリズムをとっていた。
工藤くんのライブのメモを見て名前を知った。
「むらかみなぎさ」さん。またライブで聴きたい。

(「むらかみなぎささんの歌」大好きで聴いてます。
よかったら是非聴いてみてください。元気が出て心が躍るし、キュン!ってなります)

休憩をはさみ、いよいよ次は工藤くんの出番だ。

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(休憩中に床に映る青い虹のようなライトを撮った。)

また照明が落とされ、ステージがオレンジ色に照らされる。
工藤くんが椅子に座ってギターを弾き、歌い始めた。

歌っていたのは私が小さい頃から可愛がっている第二の息子、工藤くんではなかった。

アーティスト「工藤将也」だった。

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まるで歌声が全身から溢れ出ているようだった。
静かでゆっくりとした曲も、皮膚がピリピリする。
首の血管が切れるのでは?と思うくらいに熱く歌っている。
静かに聴いた。
新曲も、我が家で「新曲できたから、じゅんみはさん聴いてみてー。」とラフに歌っていた時とは全く違い、憧れのミュージシャンを初めて生で見て、歌を聴いているような感覚だった。

聴き馴染みのある曲はもちろん、新曲「電信柱」「フルーツ」「ダイニングロストラブ」も良かった。フルーツの途中で泣いているようにも見えた。次のアルバムにも入るらしくとても楽しみだ。私が一番好きな「風のブギ」も歌っていた。

数年前、私が新宿の某デパートで働いていた時、出勤前にタワーレコード新宿店に走り、工藤くんのCDを買いに行った。工藤くんの紹介コーナーが出来ていた。嬉しくて泣いた。
会計でレジで店員のお姉さんに「息子の親友なんですよ!」と言うと「今、注目されてますよ!今度タワレコでイベントがあるので来てください。」「ありがとうございます!」深く頭を下げた。

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(出勤前に慌てて撮ったので、これしか写真が残ってない。)

あの時タワレコのイベントの時の恥ずかしそうに緊張して、でも力強く歌う工藤くんではなく、
自信を持って工藤将也の歌を聴いて欲しい!!という熱くて体中に響き渡る輝く歌声だった。

感動して放心状態でいたら、最後に「じゅんみはさんの絵が…」と私の絵の紹介をしてくれた。もう、ありがたいのと照れくさいのと申し訳ないのと、いろいろな感情が混ざって何て言ってくれていたのか記憶が途切れている。

工藤くんが紹介してくれたので、ライブハウスを出る時に、私の絵を見てくださっているお客様がいたようだ。緊張し過ぎて近づけなかった。

結局、私の絵は売れなかった。
でも、誰かが見てくれた。それだけで嬉しい。
片付けようと物販の棚に行くと、むらかみなぎささんがいた。大好きなアイドルに遭遇したような気持ちで思わず話しかけてしまった。
物販のCDや、さっき聴いた歌について沢山お話してくれた。興奮気味に「歌声も、曲も素晴らしくて、惚れちゃいそうです!」という私の声掛けにも爽やかな優しい笑顔だった。ありがたい。今思い出すとなんてこと言ってんだ私!と恥ずかしい。
その棚にあったむらかみなぎささんのCDを買いたかった。でも、今の私のお財布の中身は息子が一生懸命働いて稼いだお金である。
私は、いつか私が心を込めて描いた作品を売ってそのお金で買いたい!と思った。

帰りの電車の中で知らない人からTwitterでフォローされた。
帰宅して息子に聞くと、息子の通っていた美術高校の先輩で、工藤くんのCDジャケットの絵を描いた人だった。工藤くんも、その先輩がライブに来ていてじゅんみはさんの絵を見ていたよ。と教えてくれた。なんて嬉しいことなんだ!
その先輩の作品をTwitterで拝見すると、先輩の絵が宇宙の太陽ならば、私の絵は地球のありんこくらいレベルが違うように感じた。そんな先輩にフォローしてもらえたなんて!
と、息子に言うと「先輩も将也も表現なんだよ。じゅんみはさんはまだ表出。その表現者の大切な舞台に作品を置かせてもらったんだよ。その人の表現の一部として見られる。だからもっと勉強して表現になるように描いてみたら。」うんうんうん。そうだね。

本当はずっと美術を真剣に勉強していた息子の方が時間を自由に使って作品作りをしたいだろうし、展示で沢山の人たちに見てもらいたいだろう。
今は病気の私の代わりに働いている。
でも、家族なんだからとこうやって見守ってくれる。こっそり布団の中で泣いた。

次の日、工藤くんが私と一緒に歌った「アイムファイン」と「風のブギ」のCD-ROMを持ってきてくれた。

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(ジャケットの絵は工藤くん画)

ありがとう!と言い、ライブの話をいろいろとした。

その後、絵の写真を観て購入してくださった方がいた。また泣いた。
それでオトンに父の日のプレゼントの電子レンジを買った。

(「オトンの日のプレゼント」に書いてあります。そちらもよろしければ読んでみてください。)

BASEでの作品販売の準備も進めているのですが。(ショップはあるのにオープンしていない)主治医に黄色信号ですよ。と言われていたのに、張り切りすぎて46歳の母ちゃんはダウンして、しばらく寝込んでいます。とほほ。
このnoteも寝たり起きたりしながら書いていたので物凄く時間が掛かってしまった。

これからもnoteに文章を書いたり、絵を描いていこう。
つながりnoteも少しずつ増えてきて嬉しい。

絵も勉強しながらBASEに出品しよう。絵本も沢山の人に見てもらいたいし、作り途中の縫い物も体調と相談しながらやってみたい。ゆっくりと焦らず。

歌のかがやきで私の心もかがやいた。
絵からきこえる声がまた描こうねと言っている気がする。

(疲れていたのに、いい気になってオトンの家まで自転車で電子レンジ運んだりするからダウンしたんじゃないの?と怒られた。本当にその通りです。)

(絵本「昨日の自分を撫でる夢」の創作の様子を書いたnoteです。)

(Twitterでも作品作りの様子をつぶやいていました。)

長い長い、私の只々溢れる想いを書いたnoteですが。
最後まで読んでくださりありがとうございます。

読んでくださったみなさま。
工藤将也くん。見守ってくれた息子。
noteへの掲載を快く承諾してくださったむらかみなぎささん。
支えてくださり応援してくれたお友達。

心より感謝申し上げます。

・・・

ヘッダーは
私と私の描いた絵のにゃんこたちと可愛いむらかみさんが歌の輝きを見ているところをイメージして描きました。

・・・
あとがき
下書きもヘッダーの絵も何日も前に書き終わっていたのに、目と体と心の調子がいまいちで、文章も絵も自分自身にも全然自信がなくて、なかなか投稿できずにいました。
でも、私があの時感じた輝きや声たちは今も心のなかでぴかっ!と輝いている。
文中に書いたように、くよくよしてないで今の自分だからこそできることをしよう。私は私の心に素直になろう!と思いました。
拙い文章と絵ですが、このnoteに出てくる人たちはみんなきらきら輝いています。私に元気をくれる輝き。その輝きが少しでも伝われば嬉しいな。と思いつつ。

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読んでくださりありがとうございます! 嬉しくて飛び上がります♪ 私の心の中の言葉や絵を見て何か感じてくださればいいなと願いつつ。