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アメリカ・ロックダウンの幸福論

日本よりも感染被害が深刻とされるアメリカ。我が家もロックダウンが続くアメリカのワシントン州で、ずっと家に引きこもりながらの生活が4週目を終えようとしています。家にいるだけでは暇だろうと思いきや、やることは山のようにあります。仲間の多くは、こんな時でもボランティア活動を止めず、自分より困っている誰かに手を差し伸べ続けています。だから私も家から出来ることには出来る限り参加させてもらい、「今自分に出来ることは、何なんだろう?」ということを常に考えながら、毎日過ごしています。

日本でも緊急事態宣言が発令されたので、様々な人から連絡がきます。「大丈夫?」、「心配しているよ」と声をかけて下さる皆さま、本当にどうもありがとう。

世界は今、音を立てて変わろうとしています。日本は感染が増えつつも、アメリカよりも死者が少ないことで、「多分大丈夫だと思う」という声も聞こえてきます。本当にそうであって欲しいと願っています。しかし、少なくともアメリカの現状は、とても大丈夫とは言えない。この混乱が下火になったとしても、この国は今まで見たことのないような場所になるはず。今の状況から考えたら、100%「社会は変わらざるを得ない」ということだけは、確信できるけれど、どう変わるのかは想像もつきません。

コロラドで看護師をしている義理の姉が、応援でNY入りしました。医療現場はもはや戦場だそうです。多くの死に立ち会う仕事を今までしてきたとは言え、こんなに多くの死を一度に目にすることはなかったと彼女は言います。初日は気持ちが追いついていけず、外に出ては嘔吐を繰り返すばかりで、何と自分は無力なんだろうと自分を責めるかのように泣いていました。外出できないストレスや、ロックダウンの中の生活は誰もがストレスを感じるものかもしれませんが、命を守る現場にいる方々のそれに比べたら、私たちのストレスなんて「へ」でもない、そう感じます。

昨日も大手スーパーのクローガーが、従業員に「ヒーロー手当」を出すことを発表したことがニュースになりましたが、こんな時でも物資を止めないために、スーパーには今も大勢の人が働いています。宅配会社や郵便局も日々の配達を止めずにいてくれます。清掃業者はゴミの回収に来てくれるし、電気も水道も止まっていない。仕事を失い、様々な支払いが遅くなる人に対しては「心配しないで」というメッセージがあちこちに溢れている。学校の先生たちは子供たちを育てる責務を投げ出さず、必死に子供と向き合ってくれます。自分はしょせん、家にいて出来ることをしているに過ぎない。いつ自分が感染するか分からないのに、ライフラインを止めずにいて下さる方々。自分達だって大変なのに、誰かが安心して暮らせるための仕事を止めずにいて下さる方々。本当に頭が下がります。

今の社会状況は、こうした一つ一つのことが、つくづく当たり前ではないということを、諭してくれています。そして当たり前ではないと気づく一つ一つのことが、私たちに真の幸せの価値を教えてくれているように思う毎日です。




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