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(前半) なぜ、職域開拓は難しいのか?

障害がキャリアを積む上で”障害”にならない社会をつくる会社Connecting Pointの阿部です。

先日、Linkedinで知り合った方とオンラインで情報交換をさせて頂きました。その方は、企業のHR部門でご活躍されており、ダイバーシティや障害者雇用を担当されている訳ではありませんが、障害者雇用をテーマにお話する機会を頂きました。

その中で、
「コロナ禍により在宅就業の社員が増えて、障害のある人が従事する職域の開拓が難しいようだ。」
という社内での障害者雇用のお話が出てきました。

「障害のある人を雇用するにあたって、職域開拓が難しい…」

こうしたお話は、私が就労支援領域でのキャリアをスタートさせた頃から、障害者雇用を進める企業担当者の皆さんにお会いする度に耳にしてきました。

つまり、コロナ禍に限らず、障害者雇用の現場には、長らくある課題意識です。

もちろん、コロナ禍による在宅就業の促進により、これまで障害のある人にフィットする仕事として捉えられてきた清掃・印刷・事務関連業務のニーズが減り、”より” 職域開拓が難しい、という状況に陥ったことは事実であると思います。

しかし、人材不足と言われる日本社会の中において、

「なぜ、職域開拓が難しいのでしょうか?」

人材不足だけど、仕事がない…??つまり、人材は不足していない?
いや、でも、街の中にある飲食店や美容室の店舗では、「スタッフ募集」の貼り紙が目につくし、令和5年3月の有効求人倍率(1.32倍)を見れば、やっぱり売り手市場の世の中で、社会全体としては人材は不足しているのでしょう。

つまり、
障害者雇用枠に限っては、
「職域開拓が難しく、仕事が十分にない」
という現実があるのだと思います。

では、なぜ障害者雇用の場合、職域開拓が難しいのでしょうか?
そして、なぜその課題は、長い間、解決されずに存在し続けるのでしょうか?

私は、そこに「障害のある人が働く」と言うことに対する
「(社会からの)期待値の低さ」
があると思っています。

障害のある人は、簡単な仕事しか出来ないだろう。
障害のある人に、どこまで仕事の成果を求めて良いか分からない…。
障害のある人に大事な仕事は任せられないだろう。
障害のある人は、何かしら”障害”があるのだから、一般求人と同じことは求められないだろう。

結果として、

誰しもが代替可能な仕事=障害者雇用枠に適した仕事

として、社会的に認知され、
数少ない代替可能な仕事をめぐって、職域開拓の攻防が長らく続いているのではないでしょうか。

そして、

「障害のある人は、誰しもが代替可能で、”簡単な”仕事をする人たち」

という社会の偏見、誤った見方が生まれ、
これまでの長い時間をかけて、社会の中に、
ネガティブな認知が強まってきたのではないかと思います。

たしかに、障害のある人の中には、多くの支援を必要とする方々がいらっしゃって、
その人らしい社会貢献の形が、いわゆる”軽作業”であることはあります。

しかし、その社会貢献の形は、私たちが多様な働き方をしているように、
一人ひとり異なるものであるはずです。

つまり、

私たちが無意識に持っている

「障害のある人=誰しもが代替可能で、”簡単な”仕事をする人たち」

という「偏見」によって、

私たちが、蓋をしてしまっている「人の可能性」はないだろうか?

この問いかけを起点に、
障害者雇用の職域開拓を進めていくことが、
日本における「DE&Iな職場づくり」や「インクルージョンな社会」
を本気で取り組むにあたって、
”はじめの一歩”ではないかなと思いました。

後半では、この「問いかけ」を生みだすにあたって、
私が前提として考えた社会福祉学の1つの実践をご紹介させてください。
その実践から、障害者雇用のあり方も振り返ってみようと思います。


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