Jun Kashihara (樫原 潤)

臨床心理学を専門とする大学教員です (現所属:東洋大学社会学部)。研究や大学教育に関連…

Jun Kashihara (樫原 潤)

臨床心理学を専門とする大学教員です (現所属:東洋大学社会学部)。研究や大学教育に関連するトピックで,日々の雑感やちょっとしたノウハウを書き込んでいこうと思います。不定期更新でゆるゆるやっていきます。

最近の記事

海外の研究者に「とりあえず会いに行く」ことの重要性:ボストン3大学短期訪問レポート

ちょっと前のことになりますが,2023年9月上旬,樫原 潤 (東洋大学,この記事の筆者) と,共同研究者の国里 愛彦 先生 (専修大学)・菅原 大地 先生 (筑波大学) とで,アメリカのボストンに出張してきました!ボストンは国際的に有名な大学の密集しているエリアのため,5泊6日 (うち,1機中泊) というタイトなスケジュールながら,3つの大学で働く5名の研究者と対面でミーティングすることができました。 筆者にとっては,学会という用務がないなかでの海外出張はこれが初となります

    • Stefan Hofmann先生の1日ワークショップ体験記②:「Process-Based Therapyのネットワーク図は,クライエントが描くもの」

      ※トップの写真は,2023年6月2日にWCCBT@韓国ソウルで撮影されました。左から,Stefan Hofmann先生 (Philipps-University Marburg),筆者=樫原 潤 (東洋大学),Steven Hayes先生 (University of Nevada, Reno),筆者の共同研究者の菅原 大地 先生 (筑波大学)。 2023年6月,世界の認知行動療法家が集まるWCCBTという大会に参加してきました!この大会には,筆者たちが翻訳を進めている『L

      • 日本認知・行動療法学会シンポジウム『先進的なデータ収集・解析技術によって認知行動療法の実践はどう変わるか?』の活動報告+資料集

        近年,臨床心理学研究者の間では,先進的なテクノロジーを駆使した研究スタイルが増えてきています。最近では,以前ほどのコストを割かなくても多種多様なデータを高い頻度で収集できるようになっており,それらのリッチなデータから有用な知見を見出すための高度なデータ解析も広がりを見せています。こうした技術を駆使して臨床実践のテーラーメイド化を進めよう,といった夢のある話が研究者の界隈では増えてきました。 一方で,臨床実践に携わる先生方からは,「確かにすごいけど,臨床現場に実装されるのはず

        • 日本心理学会シンポジウム『心理療法研究の最前線:エビデンスと個別性の双方を尊重するために』の活動報告+資料集

          心理ネットワークアプローチやProcess-Based Therapy (PBT) について必死に学んでいる身として,近年の臨床心理学では「エビデンスと個別性の双方をいかに尊重するか」ということが大きな課題となっているなということを実感します。そうした問題意識を共有する菅原 大地 先生 (筑波大学) が企画代表となり,私と北原 祐理 先生 (筑波大学) が共同企画者となって,日本心理学会第87回大会でシンポジウムを企画しました。 現在注目を集めている心理療法の様々なアプロー

        海外の研究者に「とりあえず会いに行く」ことの重要性:ボストン3大学短期訪問レポート

        • Stefan Hofmann先生の1日ワークショップ体験記②:「Process-Based Therapyのネットワーク図は,クライエントが描くもの」

        • 日本認知・行動療法学会シンポジウム『先進的なデータ収集・解析技術によって認知行動療法の実践はどう変わるか?』の活動報告+資料集

        • 日本心理学会シンポジウム『心理療法研究の最前線:エビデンスと個別性の双方を尊重するために』の活動報告+資料集

          『ネットワーク科学』読書会を開催しました:感想コメントのシェア

          科研費研究課題『ネットワーク解析による心理療法の高精細な作用機序の解明』(課題番号:21H05068)の一環として,研究分担者の国里 愛彦さん(専修大学)に『ネットワーク科学:ひと・もの・ことの関係性をデータから解き明かす新しいアプローチ』(共立出版)の読書会を開催していただきました! 読書会の概要この書籍は,いまや学際分野としてゆるぎない地位を獲得したネットワーク科学の創始者,Albert-László Barabásiが2016年に出版した“Network Scienc

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          『心理ネットワークアプローチ入門:縦断データ解析を中心に』チュートリアル資料集

          近年の心理学研究では,人間の心理をひとつの「複雑系」として捉える「心理ネットワークアプローチ (Network Psychometrics)」が活況を呈しています。この10年強で爆発的に発展したこのアプローチは,臨床心理学研究で盛んに用いられ,社会心理学・教育心理学・感情心理学など心理学の全体に影響を及ぼしつつあります。 とにかく刺激的で,学びの多いアプローチなので,なんとか広めたい!ということで,僕 (樫原) たちは,日本心理学会第87回大会で「心理ネットワークアプローチ

          『心理ネットワークアプローチ入門:縦断データ解析を中心に』チュートリアル資料集

          Stefan Hofmann先生の1日ワークショップ体験記①:「Process-Based Therapyが生き残るかはまだわからないが,ネットワークアプローチは生き残る」

          ※トップの写真は,2023年6月2日にWCCBT@韓国ソウルで撮影されました。(左) 筆者の共同研究者の菅原 大地 先生 (筑波大学),(中) Stefan Hofmann先生 (Philipps-University Marburg),(右) 筆者=樫原 潤 (東洋大学) 2023年6月,世界の認知行動療法家が集まるWCCBTという大会に参加してきました!この大会には,筆者たちが翻訳を進めている『Learning Process-Based Therapy』の著者であるS

          Stefan Hofmann先生の1日ワークショップ体験記①:「Process-Based Therapyが生き残るかはまだわからないが,ネットワークアプローチは生き残る」

          『研究の再現性を高めるための事前登録の実際』チュートリアル・セミナーに登壇しました:話題提供スライドの公開,振り返りコメントの共有

          2022年8月~9月にかけてオンライン開催された「日本教育心理学会第64回総会」で,学会企画チュートリアル・セミナー『研究の再現性を高めるための事前登録の実際』に登壇しました! 話題提供スライドの公開セミナーで用いた話題提供スライドを公開しますので,ぜひご覧ください。 セミナーの振り返りコメントセミナーが終わってからかれこれ3か月,振り返ってみていろいろと思うことがあったので,気ままに書き記してみます。「スライド資料に書いた内容とはまた別に思ったこと」を中心に書きます。

          『研究の再現性を高めるための事前登録の実際』チュートリアル・セミナーに登壇しました:話題提供スライドの公開,振り返りコメントの共有

          日本認知・行動療法学会シンポジウム『Process-Based Therapyとは何か? その概要と発展可能性を議論する』の活動報告+資料集

          近年の臨床心理学では,Process-Based Therapy (PBT) という枠組みが提唱され注目を集めています。このPBTを学ぶための勉強会を推進してきたメンバーと学会シンポジウムを企画し,「PBTを初めて知る先生方にはどのように映るのか?」をお伺いして,PBTの位置づけや発展可能性を議論してまいりました。 初めての学会でしたが,参加されたみなさまにも楽しんでいただき,とても良い機会となりました!今後もPBTを広めていくとともに,「PBTを1つの話のタネとして,研究

          日本認知・行動療法学会シンポジウム『Process-Based Therapyとは何か? その概要と発展可能性を議論する』の活動報告+資料集

          『Learning Process-Based Therapy』読書会完結! 資料の一覧と総括コメント,お役立ちリンク集など

          近年の臨床心理学では,Process-Based Therapy (PBT) という枠組みが提唱され注目を集めています。このPBTを学ぶための勉強会を2022年2月に立ち上げて,下記の『Learning Process-Based Therapy』という書籍の読書会を進めてきたわけですが,2022年8月に読書会がめでたく終了しました!ブラボー! 本当に,沢山の方々にご参加いただいて,まずは半年間走りきれたと思います!その感謝の気持ちを込めて,総まとめの記事をお届けします!勉

          『Learning Process-Based Therapy』読書会完結! 資料の一覧と総括コメント,お役立ちリンク集など

          『心理ネットワークアプローチ入門:横断データ解析を中心に』チュートリアル資料集

          近年の心理学研究では,人間の心理をひとつの「複雑系」として捉える「心理ネットワークアプローチ (Network Psychometrics)」が活況を呈しています。この10年で爆発的に発展したこのアプローチは,臨床心理学研究で盛んに用いられ,社会心理学・教育心理学・感情心理学など心理学の全体に影響を及ぼしつつあります。 とにかく刺激的で,学びの多いアプローチなので,なんとか広めたい!ということで,僕 (樫原) たちは,日本心理学会第86回大会で「心理ネットワークアプローチ入

          『心理ネットワークアプローチ入門:横断データ解析を中心に』チュートリアル資料集

          Process-Based Therapy勉強会:第13章 Using the Tools of PBT in Practice

          PBT勉強会の第6回が,2022年8月26日に開催されました!第6回後半では,Learning Process-Based Therapy の「第13章 Using the Tools of PBT in Practice」を扱いました。発表者は齋藤 順⼀さん (広島⼤学病院/早稲⽥⼤学),感想記事の執筆係は石井 寛さんでした。 第13章 Using the Tools of PBT in Practiceの発表スライド発表者の齋藤 順⼀さん (広島⼤学病院/早稲⽥⼤学)

          Process-Based Therapy勉強会:第13章 Using the Tools of PBT in Practice

          Process-Based Therapy勉強会:第12章 From Problems to Prosperity: Maintaining and Expanding Gains

          PBT勉強会の第6回が,2022年8月26日に開催されました!第6回中盤では,Learning Process-Based Therapy の「第12章 From Problems to Prosperity: Maintaining and Expanding Gains」を扱いました。発表者は水野 雅之さん (筑波大学)・石川 惠太さん (東京大学) でした。 第12章 From Problems to Prosperity: Maintaining and Expan

          Process-Based Therapy勉強会:第12章 From Problems to Prosperity: Maintaining and Expanding Gains

          Process-Based Therapy勉強会:第11章 The Course of Treatment

          PBT勉強会の第6回が,2022年8月26日に開催されました!第6回前半では,Learning Process-Based Therapy の「第11章 The Course of Treatment」を扱いました。発表者は国里 愛彦さん (専修大学),感想記事の執筆係は三宅 拓人さん (公益財団法人井之頭病院) でした。 第11章 The Course of Treatmentの発表スライド発表者の国里 愛彦さん (専修大学) のご厚意で,発表スライドの公開に同意していた

          Process-Based Therapy勉強会:第11章 The Course of Treatment

          心理ネットワークアプローチを学ぶコミュニティ『Psych Networks Japan』やってます:参加者随時募集中

          近年の心理学研究では,人間の心理をひとつの「複雑系」として捉える「心理ネットワークアプローチ (Network Psychometrics)」が活況を呈しています。この10年で爆発的に発展したこのアプローチは,臨床心理学研究で盛んに用いられ,社会心理学・教育心理学・感情心理学など心理学の全体に影響を及ぼしつつあります。 とにかく刺激的で,学びの多いアプローチです!「どんなものか,ちょっと覗いてみたい」という人から「ネットワークを駆使した研究で一山当てたい」という人まで,『P

          心理ネットワークアプローチを学ぶコミュニティ『Psych Networks Japan』やってます:参加者随時募集中

          Process-Based Therapy勉強会:第10章 Treatment Kernels

          PBT勉強会の第5回が,2022年7月25日に開催されました!第5回後半では,Learning Process-Based Therapy の「第10章 Treatment Kernels」を扱いました。発表者は平井 友貴さん (岡山大学)・林 竜也さん (林こころのクリニック) でした。 第10章 Treatment Kernelsの発表スライド発表者の平井 友貴さん (岡山大学)・林 竜也さん (林こころのクリニック) のご厚意で,発表スライドの公開に同意していただきま

          Process-Based Therapy勉強会:第10章 Treatment Kernels