Jun Kashihara (樫原 潤)

臨床心理学を専門とする大学教員です (現所属:東洋大学社会学部)。研究や大学教育に関連するトピックで,日々の雑感やちょっとしたノウハウを書き込んでいこうと思います。不定期更新でゆるゆるやっていきます。

Jun Kashihara (樫原 潤)

臨床心理学を専門とする大学教員です (現所属:東洋大学社会学部)。研究や大学教育に関連するトピックで,日々の雑感やちょっとしたノウハウを書き込んでいこうと思います。不定期更新でゆるゆるやっていきます。

マガジン

  • いち心理学者のメタサイエンス考

    オープンサイエンスの実践に関わる話題や,アカデミアのあり方に関する話題などを扱っています。いち心理学者の個人的なメタサイエンス考を示していますので,ひとつの参考としていただければ幸いです。

  • 学術書の翻訳出版の進め方

    学術書の翻訳出版というものがどのように進むものなのか,どんなことに気を付けながら進めていく必要があるのかということを,実体験を踏まえて紹介しています。不定期連載のシリーズ記事です。

  • Process-Based Therapyの記事まとめ

    Process-Based Therapyについて扱った記事をまとめています。多くの記事は,学会のシンポやワークショップで使用した資料を公開したものとなっています。

  • 心理ネットワークアプローチの記事まとめ

    心理ネットワークアプローチ / 分析について扱った記事をまとめています。多くの記事は,学会のシンポやワークショップで使用した資料を掲載したものとなっています。

  • Process-Based Therapy読書会

    2022年に開催した読書会の記事をまとめました。各記事では,『Learning Process-Based Therapy』という書籍の内容を有志で読み合わせたときのスライド資料や感想を掲載しています。

最近の記事

日本心理学会2024新刊連動講座『心理ネットワークアプローチ入門:行動科学者と社会科学者のためのガイド』の活動報告+資料集

近年の心理学研究では,人間の心理をひとつの「複雑系」として捉える「心理ネットワークアプローチ (Network Psychometrics)」が活況を呈しています。この10年強で爆発的に発展したこのアプローチは,臨床心理学研究で盛んに用いられ,社会心理学・教育心理学・感情心理学など心理学の全体に影響を及ぼしつつあります。 このとてつもなく魅力的なアプローチを扱った体系的テキストとして,『Network Psychometrics with R』が2022年に英語で出版された

    • 学術書の翻訳出版の進め方②:国内出版社への打診・翻訳権の購入・翻訳チームの形成

      筆者 (樫原) は2023年~2024年にかけて2冊の学術翻訳書を出版したのですが,その過程で「学術書の翻訳出版の進め方について,ちょっとしたガイドがあればいいのになあ」と思うことが多々ありました。そこで,「学術書の翻訳出版の進め方」というシリーズ記事を書いてみようと思い立ちました。不定期で気の赴くまま書き進めますので,みなさまよろしくお付き合いください~。 シリーズの初回は,「『研究者が翻訳書を出すことの意義』にまず気づこう」というテーマでお送りしました。「翻訳書なんて出

      • 日本心理学会2024チュートリアル・ワークショップ『心理ネットワークアプローチ入門:RとJASPで横断データ分析をはじめよう』の活動報告+資料集

        近年の心理学研究では,人間の心理をひとつの「複雑系」として捉える「心理ネットワークアプローチ (Network Psychometrics)」が活況を呈しています。この10数年で爆発的に発展したこのアプローチは,臨床心理学研究で盛んに用いられ,社会心理学・教育心理学・感情心理学など心理学の全体に影響を及ぼしつつあります。 とにかく刺激的で,学びの多いアプローチなので,なんとか広めたい! ということで,樫原 潤 (東洋大学) と柳 百合子 さん (国立精神・神経医療研究センタ

        • 学術書の翻訳出版の進め方①:「研究者が翻訳書を出すことの意義」にまず気づこう

          ありがたいことに,2023年から2024年にかけて,私 (樫原) の携わった翻訳書が2つ出版されることとなりました。『プロセス・ベースド・セラピーをまなぶ』も『心理ネットワークアプローチ入門』も,私が入れ込んでいるアプローチについての非常に優れた入門書です。臨床心理学や周辺分野に携わる方々に,ぜひ手に取っていただきたいです! 2つの書籍とも,出版企画が立ち上がったのは2022年でしたので,随分と長い道のりだったように感じています。監訳者という立場で何が大変だったかというと,

        マガジン

        • いち心理学者のメタサイエンス考
          5本
        • 学術書の翻訳出版の進め方
          2本
        • Process-Based Therapyの記事まとめ
          5本
        • 心理ネットワークアプローチの記事まとめ
          10本
        • Process-Based Therapy読書会
          15本

        記事

          海外の研究者に「とりあえず会いに行く」ことの重要性:ボストン3大学短期訪問レポート

          ちょっと前のことになりますが,2023年9月上旬,樫原 潤 (東洋大学,この記事の筆者) と,共同研究者の国里 愛彦 先生 (専修大学)・菅原 大地 先生 (筑波大学) とで,アメリカのボストンに出張してきました!ボストンは国際的に有名な大学の密集しているエリアのため,5泊6日 (うち,1機中泊) というタイトなスケジュールながら,3つの大学で働く5名の研究者と対面でミーティングすることができました。 筆者にとっては,学会という用務がないなかでの海外出張はこれが初となります

          海外の研究者に「とりあえず会いに行く」ことの重要性:ボストン3大学短期訪問レポート

          Stefan Hofmann先生の1日ワークショップ体験記②:「Process-Based Therapyのネットワーク図は,クライエントが描くもの」

          ※トップの写真は,2023年6月2日にWCCBT@韓国ソウルで撮影されました。左から,Stefan Hofmann先生 (Philipps-University Marburg),筆者=樫原 潤 (東洋大学),Steven Hayes先生 (University of Nevada, Reno),筆者の共同研究者の菅原 大地 先生 (筑波大学)。 2023年6月,世界の認知行動療法家が集まるWCCBTという大会に参加してきました!この大会には,筆者たちが翻訳を進めている『L

          Stefan Hofmann先生の1日ワークショップ体験記②:「Process-Based Therapyのネットワーク図は,クライエントが描くもの」

          日本認知・行動療法学会シンポジウム『先進的なデータ収集・解析技術によって認知行動療法の実践はどう変わるか?』の活動報告+資料集

          近年,臨床心理学研究者の間では,先進的なテクノロジーを駆使した研究スタイルが増えてきています。最近では,以前ほどのコストを割かなくても多種多様なデータを高い頻度で収集できるようになっており,それらのリッチなデータから有用な知見を見出すための高度なデータ解析も広がりを見せています。こうした技術を駆使して臨床実践のテーラーメイド化を進めよう,といった夢のある話が研究者の界隈では増えてきました。 一方で,臨床実践に携わる先生方からは,「確かにすごいけど,臨床現場に実装されるのはず

          日本認知・行動療法学会シンポジウム『先進的なデータ収集・解析技術によって認知行動療法の実践はどう変わるか?』の活動報告+資料集

          日本心理学会シンポジウム『心理療法研究の最前線:エビデンスと個別性の双方を尊重するために』の活動報告+資料集

          心理ネットワークアプローチやProcess-Based Therapy (PBT) について必死に学んでいる身として,近年の臨床心理学では「エビデンスと個別性の双方をいかに尊重するか」ということが大きな課題となっているなということを実感します。そうした問題意識を共有する菅原 大地 先生 (筑波大学) が企画代表となり,私と北原 祐理 先生 (筑波大学) が共同企画者となって,日本心理学会第87回大会でシンポジウムを企画しました。 現在注目を集めている心理療法の様々なアプロー

          日本心理学会シンポジウム『心理療法研究の最前線:エビデンスと個別性の双方を尊重するために』の活動報告+資料集

          『ネットワーク科学』読書会を開催しました:感想コメントのシェア

          科研費研究課題『ネットワーク解析による心理療法の高精細な作用機序の解明』(課題番号:21H05068)の一環として,研究分担者の国里 愛彦さん(専修大学)に『ネットワーク科学:ひと・もの・ことの関係性をデータから解き明かす新しいアプローチ』(共立出版)の読書会を開催していただきました! 読書会の概要この書籍は,いまや学際分野としてゆるぎない地位を獲得したネットワーク科学の創始者,Albert-László Barabásiが2016年に出版した“Network Scienc

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          『心理ネットワークアプローチ入門:縦断データ解析を中心に』チュートリアル資料集

          近年の心理学研究では,人間の心理をひとつの「複雑系」として捉える「心理ネットワークアプローチ (Network Psychometrics)」が活況を呈しています。この10年強で爆発的に発展したこのアプローチは,臨床心理学研究で盛んに用いられ,社会心理学・教育心理学・感情心理学など心理学の全体に影響を及ぼしつつあります。 とにかく刺激的で,学びの多いアプローチなので,なんとか広めたい!ということで,僕 (樫原) たちは,日本心理学会第87回大会で「心理ネットワークアプローチ

          『心理ネットワークアプローチ入門:縦断データ解析を中心に』チュートリアル資料集

          Stefan Hofmann先生の1日ワークショップ体験記①:「Process-Based Therapyが生き残るかはまだわからないが,ネットワークアプローチは生き残る」

          ※トップの写真は,2023年6月2日にWCCBT@韓国ソウルで撮影されました。(左) 筆者の共同研究者の菅原 大地 先生 (筑波大学),(中) Stefan Hofmann先生 (Philipps-University Marburg),(右) 筆者=樫原 潤 (東洋大学) 2023年6月,世界の認知行動療法家が集まるWCCBTという大会に参加してきました!この大会には,筆者たちが翻訳を進めている『Learning Process-Based Therapy』の著者であるS

          Stefan Hofmann先生の1日ワークショップ体験記①:「Process-Based Therapyが生き残るかはまだわからないが,ネットワークアプローチは生き残る」

          『研究の再現性を高めるための事前登録の実際』チュートリアル・セミナーに登壇しました:話題提供スライドの公開,振り返りコメントの共有

          2022年8月~9月にかけてオンライン開催された「日本教育心理学会第64回総会」で,学会企画チュートリアル・セミナー『研究の再現性を高めるための事前登録の実際』に登壇しました! 話題提供スライドの公開セミナーで用いた話題提供スライドを公開しますので,ぜひご覧ください。 セミナーの振り返りコメントセミナーが終わってからかれこれ3か月,振り返ってみていろいろと思うことがあったので,気ままに書き記してみます。「スライド資料に書いた内容とはまた別に思ったこと」を中心に書きます。

          『研究の再現性を高めるための事前登録の実際』チュートリアル・セミナーに登壇しました:話題提供スライドの公開,振り返りコメントの共有

          日本認知・行動療法学会シンポジウム『Process-Based Therapyとは何か? その概要と発展可能性を議論する』の活動報告+資料集

          近年の臨床心理学では,Process-Based Therapy (PBT) という枠組みが提唱され注目を集めています。このPBTを学ぶための勉強会を推進してきたメンバーと学会シンポジウムを企画し,「PBTを初めて知る先生方にはどのように映るのか?」をお伺いして,PBTの位置づけや発展可能性を議論してまいりました。 初めての学会でしたが,参加されたみなさまにも楽しんでいただき,とても良い機会となりました!今後もPBTを広めていくとともに,「PBTを1つの話のタネとして,研究

          日本認知・行動療法学会シンポジウム『Process-Based Therapyとは何か? その概要と発展可能性を議論する』の活動報告+資料集

          『Learning Process-Based Therapy』読書会完結! 資料の一覧と総括コメント,お役立ちリンク集など

          近年の臨床心理学では,Process-Based Therapy (PBT) という枠組みが提唱され注目を集めています。このPBTを学ぶための勉強会を2022年2月に立ち上げて,下記の『Learning Process-Based Therapy』という書籍の読書会を進めてきたわけですが,2022年8月に読書会がめでたく終了しました!ブラボー! 本当に,沢山の方々にご参加いただいて,まずは半年間走りきれたと思います!その感謝の気持ちを込めて,総まとめの記事をお届けします!勉

          『Learning Process-Based Therapy』読書会完結! 資料の一覧と総括コメント,お役立ちリンク集など

          『心理ネットワークアプローチ入門:横断データ解析を中心に』チュートリアル資料集

          近年の心理学研究では,人間の心理をひとつの「複雑系」として捉える「心理ネットワークアプローチ (Network Psychometrics)」が活況を呈しています。この10年で爆発的に発展したこのアプローチは,臨床心理学研究で盛んに用いられ,社会心理学・教育心理学・感情心理学など心理学の全体に影響を及ぼしつつあります。 とにかく刺激的で,学びの多いアプローチなので,なんとか広めたい!ということで,僕 (樫原) たちは,日本心理学会第86回大会で「心理ネットワークアプローチ入

          『心理ネットワークアプローチ入門:横断データ解析を中心に』チュートリアル資料集

          Process-Based Therapy勉強会:第13章 Using the Tools of PBT in Practice

          PBT勉強会の第6回が,2022年8月26日に開催されました!第6回後半では,Learning Process-Based Therapy の「第13章 Using the Tools of PBT in Practice」を扱いました。発表者は齋藤 順⼀さん (広島⼤学病院/早稲⽥⼤学),感想記事の執筆係は石井 寛さんでした。 第13章 Using the Tools of PBT in Practiceの発表スライド発表者の齋藤 順⼀さん (広島⼤学病院/早稲⽥⼤学)

          Process-Based Therapy勉強会:第13章 Using the Tools of PBT in Practice