FUJIROCK FESTIVAL'24前夜祭
2024年7月25日(木)
苗場スキー場で、FUJIROCK FESTIVAL'24 前夜祭。
今年も前夜祭から4日間、フジロックに参加した。
26日からの本番3日間についても仕事の合間においおい書いていくが、まずは前夜祭の感想を。
夕方に苗場のいつもの宿に着いて、19時すぎに会場着。妻と友達と“いい茶こ“を呑みながら、花火を待つ。いつもなら19時45分頃から打ちあがるのに、なかなか始まらない。結局20時をまわったあたりで打ちあがったものの、雲が邪魔してキレイに見えず。ちと残念。まあそんな年もある。
花火が終わって即レッドマーキーへ。もちろん今年も我らがMAMEZUKAのDJでスタート。
1曲目はなんだろうか。それを考える(当てる)のも楽しみのひとつで、今年はおそらくミッシェル・ガン・エレファント始まりなんじゃないか、曲は「CISCO」あたりで一気にブチ上げるんじゃないかと予想しながらレッドに行ったら、果たして初っ端はレッド・ツェッペリンの「Rock and Roll」だった(因みに「CISCO」は最終日のWEEKEND LOVERS でナマで聴けた!)。
続けて本番初日のヘッドライナーを務めるザ・キラーズの「Mr. Brightside」がかかる。大歓声が上がり、みんながシンガロング。さらにジザメリの「Head On」がかかり、そして、おお、ここにもってきたか、ミッシェルの「世界の終わり」。前年に亡くなった象徴的なアーティストの曲がかかってグッとくる……というのは毎年のことだが、さすがにこの場所=レッドマーキーで観たThe Birthdayのライブの熱もまだ記憶に残っている身としては、そのときのことも思い出したりして涙腺にくるものがあった。
ライブはまずフィンランドのガレージロックバンド、USが初登場。ギャズ・メイオール経由(バンド名をUSにすべきだと提言したのもギャズだそうな)で日高大将が惚れ込んで自身のレーベルと契約したという5人組だ。彼らは今年のフジの4日間で実に6ステージ(深夜のパレステントやグリーンでのROUTE 17~のステージ参加、ガンバンでのアコースティックギグなどなど)も踏んだそうだが、その記念すべき一発目がこの前夜祭(後々、USの日本初ギグを観たんだぜと自慢できるくらいまでになってほしい!)。初っ端から荒々しくて勢いのあるガレージナンバーで、ミッシェルの「世界の終わり」の次にそれが続いたのも意味あることのように感じられた。つまり初期のミッシェルの粗さと勢い、それに心意気みたいなものも受け継いでいる、なんて思えるところがあったということだ。日高大将が舞台袖で我が子らの活躍を見守るようにしていたのも印象的だった。
とにかく活きがいい。とれたての魚のようにピッチピチだ。ガレージロックから往年のブリティッシュビートまでを今によみがえらせるも、その元にあるのは「だって好きだから」というシンプルな衝動で、僕らのやりたいのはこういうもの!というところが明確(でありながら、音楽性は思いのほか幅広い)。ドクター・フィールグッドからザ・フーにキンクスといったあたりはもちろん、僕は作法として90年代のリバプールのバンド、ザ・ステアーズをクアトロだったかで観たときのことをちょっと思い出したりもした(と思ったらいち早く彼らにインタビューしたクロスビートの荒野さんもザ・ステアーズとの共通点をポストされていた。やはり!)
それと、なんたってブルーズハープ専任メンバーがいるのがいい(ヴォーカル&ギター担当の子と兄弟で、そのふたりがソングライトを担当しているらしい)。彼はポール・バターフィールドみたいなブルーズハープを吹くとき以外はただ楽しそう&無邪気にダンスしたりキメのポーズしたりしていて、それがまあダサカッコイイというかなんというか、カッコイイに振り切れてないのがむしろいいんですね。彼、人気出そう。ってか、もう出てるよね。
因みに翌日(金曜)のグリーンのROUTE17 Rock'n'Roll ORCHESTRAに出たときは、彼ら、ザ・バンドの「オフェリア」を演ったそうで。「オフェリア」といえば、最近では自分が追っている名古屋のバンドのthe Tigerも今年の初アルバムで(日本語詞で)カヴァーしていて、ルーツを今へというそうした姿勢においては通じるところもあるよな、とか思ったりも。ロックおじさんたちのツボに入るものを持ちながら、若い子たちも熱狂させる、そういうバンドであるゆえ、そりゃ応援したくなりますわな。
再びMAMEZUKAのDJ時間を挿んで、次はなんと、どぶろっく。フジロックで、どぶろっく。これでもかの下ネタ連打に、本人たちも驚くくらい観客沸きまくり。「もしかしてだけど」や「シコれども」でシンガロングが起こるという、わけわからん展開もまた前夜祭ならではだ。
このあとは友達とオアシスエリアでゴハン食べたりしてゆるゆると過ごし、SPARK!!SOUND!!SHOW!!だけ10分くらい観た。明るく開かれたミクスチャー。こういうのはフジで盛り上がる。
といった感じで今年も前夜祭ならではの楽しさを十分に得て宿に帰った。ただ、欲を言えば、18年のTHe ROCKERS、19年の亜無亜危異、23年の紫みたいな日本のレジェンダリーなバンドを今年も入れてほしかったという思いもある。また2023年は、LEXIE LIU(中国)、JATAYU(インド)、紫(沖縄)とアジア色を打ち出したラインナップという点での面白さがあったが、今年はあまりにもバラバラ。2024年の前夜祭はああだったね!とあとで振り返れる何かしらの芯があったらもっとよかったのに、とはちょっと思った。