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「初めて」に触れる

こんにちは。

私はデイケアと呼ばれる保育園のようなところで働いています。

何年も小さい子に関わる仕事をしていて、いつも新鮮な感動を覚えるのが子供達の「初めて」に触れる瞬間です。

ある雨の日、つかまり立ちができるようになった1歳の女の子が窓際にきて、すごく無心に窓ガラスを眺めていました。瞳を大きく開いて、じ〜っと雨のつたう窓ガラスを見ているのです。彼女が「雨」を経験するのはこれが初めてではないでしょう。でも彼女がこの瞬間「雨」という現象を彼女の目と耳を使って経験しているのがとても強く伝わってきました。

彼女の「うわ〜」っという驚きと「何だこれ!」とでもいうような感情が彼女の表情から伝わってきて、私は泣きそうなくらい感動しました。

幼い子どもは私たち大人と比べると圧倒的に経験値が少ないです。

これは本当に当たり前のことですが、私たちはそれを忘れがちです。

なぜなら、雨の日なんて私たちにとって珍しくも何ともないからです。

私たちが何の気なしに過ごしている日常が、幼い彼らにとっては驚きと発見の連続なのです。

ある男の子は、階段の上り下りがてすりにつかまりながら、自分一人でできるようになりました。階段の一番上まで登ると「今、ちゃんと見てた?』とでもいうように私の方を振り返ります。「ちゃんと見てたよ。自分一人で登ったのね」と声をかけると、嬉しそうに頷いてまた階段をおります。これを20分以上繰り返すのです。

こう言った場面に出会うたび、私は子どもたちが愛おしくてたまらなくなるのと同時に、何というか「神々しい」存在に思えてくるのです。

彼らの「この瞬間に全てをかけて生きてる」(というと大げさかもしれないけれど、でもそうとしか言えない)その姿勢に心を打たれるのです。

とは言え、子どもたちは癇癪も起こすし、おもちゃの取り合いもするし、ちょっと目を離したすきに怪我もするしで、1日が終わるとこちらも体力を使い果たしてぐったりしてしまうんですけどね。

それでもやっぱり彼らが経験することを、彼らの目線で私も新たに経験することが、私は好きなのです。

すると、当たり前のように思える日常に感動が生まれるのです。





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