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#03 ここまでのまとめと補足(歴史とはなにか)

前回こんな記事を書きました

この記事はシリーズのつもりで書いてるので、今までの話をまとめ&説明しなおしてみると

音楽に絶対的な良し悪しは決められないよね、
そこにあるのはすべて、好みの差。

でも食べ物の好き嫌いと違って音楽は、好き嫌いを判断するにはあまりにも、ジャンルによって機会や文化の差が大きすぎる。もう少し音楽ジャンルの全体像を明らかにしたい。

そもそもジャンルって何だろう?

ソシュールの言語論や、サピア=ウォーフの言語相対主義がヒント

・(本質的に、ジャンルを分けるという行為は)音楽にもともと備わっている曲調の違いに名前を付けてジャンルが決まるのではなく、音楽の集合体の中から自由に言葉によって差異を切り分けるものだ。
(前回より補足して書いてます)

・その分け方は本来、恣意的(なんとでもなる=正解はない)。
(※この、『差異のシステム』と『恣意的な関係性』というのがソシュール言語学のキーワードです)

・ジャンル分けの語彙によって、ジャンル認識も変わる
(見え方が人によって違う。=相対主義


このように、ジャンル分けは科学的な性質を言い当てるようなものではなく、あくまで認識のための分節化である。

では、一般的なジャンル分けはどのような基準で切り分けられているのか?

音楽史である。

前回はここまでです。

が、前回は、言語論の説明の部分に主眼を置きすぎていて、結論の部分の「音楽ジャンル=音楽史である」の説明が雑だったな~と思い。

今回はそこを補足したいと思います。


「音楽のジャンル分けの根拠が音楽史である」
なら、まだ納得できるけど
「音楽ジャンル=音楽史だ」って
ちょっと日本語おかしくない?

と思った人も多いんじゃないでしょうか。


ですが、僕の意見は、間違いなく
「音楽史そのものが、イコールで音楽ジャンルだ」
ということなんです。


そこを噛み砕くためには今度は歴史とは何か、というところを深堀りしないといけないんですが・・・

まず、客観的な歴史的事実というものって、果たして存在するのでしょうか?

それは神のみぞ知るところであり、出来事というものには必ず主観が入ります。

メディアを揶揄する風刺画でこういうのが有名ですが(笑)、

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このメディア枠組みの外側が客観的事実なのか?というとそうではなく、必ず人の目のフィルターが介されますよね。

人が認知不可能な神の視点以外は、どんなことを語ろうと、すべて主観が入っています。(このあたりは僕が専攻していたメディア論の基礎になるんですが。)

メディアは事実を切り取って伝えている。というのはネット社会の常識になりつつありますよね。

でも、切り取らない事実というのはあるのでしょうか?

そんなもの、無いのです。

人間が現実を認識するとき、さらに伝えるときに、自動的に、どの目線なのか、何から言うのか、というような人の主観によっての切り取りが必ず起こるのです。

少し横道にそれますが、マスメディアの報道というのはこの理論を逆手に取った『悪意を持った』切り取りが問題なのだと思います。

それを僕たちが批判するときに、切り取らせないことを目指すのではなく、多くの人が納得する、公平な態度での切り取り方を目指す、ということだけが可能なんだと思います。


横道にそれました。

ともあれ、歴史というのは、すべて、人が残してきた資料を、人が記述したものです。事実、というより、記述物といえるでしょう。

つまり、音楽史においても、「何年にこういうジャンルが生まれました」
という一見、客観的な事実も、人々がその音楽を「そういうふうにとらえました」という記述なんです。


人々がその音楽をどう評してきたか、というものが音楽史であり、それは人々が音楽をどう切り分けてジャンルにしたのか、とイコールじゃないですか。

「音楽ジャンル=音楽史」である、の含意、わかっていただけたでしょうか???


それにしても、このようなことを考えると、音楽評論を残す重要性が分かってきますよね……。評価してもらえないと、ジャンルとして歴史上無かったことになってしまうから。。。

実際、音楽として確かに存在しているはずなのに、音楽史を追ってもなかなか登場しない分野がいくつもありませんか?

やはりそれは、歴史というものが、主観の記述だからであり、それがそのまま、ジャンル認識の偏りに繋がってるのではないか?
というのが、実は僕の見解です。

そういう視点も頭の片隅に置きつつ、次回こそは音楽史の話に入っていきたいと思います。

お読みいただきありがとうございました。

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