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lyと1dayとmapと。

タイトルからして何が何やらの内容を題していますが、リクシィでの取り組みは、世の中の会社や組織、チームでよく似たようなものはたくさんあるなぁと思う一方で、その興りや目的によって、180°とは言わないまでも、130°~150°ぐらい違う可能性があるなぁということで書いてみたいと思います。

・ly(little year)

リクシィでは1年を6つに区切り、2ヶ月が1年ぐらいの感覚で時を過ごしており、この2ヶ月をlitttle year(=ly)と名付けています。これは上半期・下半期、1Q~4Qのクォーター制と同じものですが、似て非なるものだと信じているものがあります。

新卒のときに入社した会社(当時は地獄だと思っていましたが、今は本当に感謝している会社であり、さらに素晴らしい会社へと進化し続けている会社のひとつ)では、クォーター制が敷かれていました。
かなり刺激的な会社で、入社当時から、「新入社員の君たちは、一言でいうと、『赤字社員』。会社に対して借金をしている状態で、一刻も早く生産性(粗利)を高めなければいけない」みたいなことを教わってきました。
そして、Qごとに、目標に対する評価がなされ、おおいに盛り上がり、表彰、昇給・昇格といったことがダイナミックに行われてきました。
そのため、3ヶ月という区切りのなかで、「いかに成果、結果を出せるか」こそが大事で、圧倒的なスピードを意識する習慣やマインドは身についたかなと思いますし、業績という観点でも、限界を超えた全力疾走が結果となっていて、それが会社を支える屋台骨になっているようにも思いました。

次に入った会社では、上半期・下半期という区切りがされており、半期ごとに、目標設定面談→中間面談→評価面談→フィードバック面談といったものが行われてきました。
もちろん、営業部門などにおいては毎月の営業目標もあるわけですから、1ヶ月の全力疾走を延々と続けているとも言えますが、
「半年間でどうなっていたいか、2年後・3年後にどうなっていたいかを逆算したときに、この半年間で得るべきものは何か」といったことを、腰を落ち着けてメンバーと話し合っていたように思います。
目標設定やフィードバック面談を意識的にしっかりとやることが大前提ではありましたが、自分は60-90分/1回をかけて、半年に4回行っていたということでもあり、それはそれで意味があったかなと感じています。
(当時はメンバーが全国に200人いて、60分×4回を半年間に行っている計算になり、180日のうち800時間が面談に割かれていたと振り返ると、生産性が高いかは度外視する結果ともいえる・・)

ただ振り返ってみると、
1社目は、『業績、個人の成果を最大化させること』が絶対的な要素としてあり、一方で未来を描くことや定性的な要素の余地はなかったように感じます。
2社目は、『個人の足並みに合わせて、それぞれの成長速度に向き合うこと』を重視していたように思っており、良くも悪くも易しい会社で(業界的には厳しい会社と言われていますが)それこそ、中間面談段階で失速しているメンバーの背中を押したりと、その実、非本質的なアプローチも少なくなかったように思います。

そして今ですが、最初の1年は、面談も評価もなければ、期の区切りの概念もなく、ただひた走っていた結果、1年が経ったときに、「あれ、まだ1年!?5-6年くらいの濃さがあったし、もはや前職のことが過去のことになりまくってる汗」みたいなことがナチュラルに話されていて、よく考えれば当然で、100人、1000人の会社ではなく10人にも満たない会社で、ゼロから始めているわけなので、そりゃいろんなことが起こりますし、小さな変化が大きな変化で、方向性が変わることなんかも日常茶飯事でした。(それこそ、2ヶ月前はイケイケムード満載だったのが、2ヶ月後には減速してこのままだと解散だねwとなって安定化を図り、さらにその2ヶ月後には答えを見出し盤石になったり、さらにその2ヶ月後には増資して新規事業を始めることが決まったりしていた)

こうして生まれたのが『ly』で、会社の変化が早いと、自ずと個人のミッションにも変化が求められるわけで、意識も同時に変えていかないといけない、個の成長が伴えば戦略に組み込む、みたいなことになってきて、lyの概念が馴染んでいきました。
つまり、これはこれで身も蓋もない説明なのですが、『本当に1年を2ヶ月で体験している』ということに他ならないなというオチになりました。

しかし、意外とこの考え方はあるべき姿にフィットしているようにも思っており、2ヶ月なのか3ヶ月なのか6ヶ月なのか12ヶ月なのかの周期が、たとえば、『会社の業績を達成させるものだ』という要素が入ると辟易とするでしょうし、何か、リアルじゃない。

『会社の変化の周期』が、その会社のあるべき期の区切りになっている、それが大事だなと思った、そんなお話。

・1day

ここで終わらずにダラダラと書いてしまうのですが、『1day』は、ただのミーティングの呼称です。汗

リクシィでは、キャッシュフローもPLも、もちろん個人の給与も全てオープンにしているので、この1dayでは、実質、経営会議やら営業戦略会議やら、目の前のプロジェクト会議やら未来のデザイン会議やら、すべてを含んでいます。

2ヶ月を1年と見立ててるくせに1日かけて会議する(6日間会議してるのと同じ)とか頭湧いてるんじゃないか?とも言えますが、これはやはり重要だと振り切って実施しています。
というのも、『会社の変化の周期』が2ヶ月となるため、「現状と見立ての把握」も「戦略・戦術単位の変更検討・決定」も、「経営方針の変更検討・決定」も、一定行われていくなかで、情報取得、共有のため(だけ)の場はけっこうもったいないし、何より全員がいる場でオープンに考え、決めていった方が、結果、早いなぁという感覚が強いです。
(もちろん、繊細な部分や、メンバー的に、「そこは経営陣に決めてほしい・・」みたいなところは、別途ボードメンバーとの場を設けたりします)

そのため、詰め込まれた1dayは1dayで、それはそれで頭が湧いてくるのですが、気が付いたら方針が変わってましたとかは一番萎える話だし、経営を含む、自分の領域外のことについて触れる機会の多寡によって、個の成長も断然変わってくるなという実感値も得ていたりします。

インターンも、新卒1年目も、すべてがオープンになっている場に居合わせることの意味は、会社的にも、メンバー的にも大きな意味がある、というお話でした。

・map

けっこうこういった話をしてると、それで本当にまわるのかとか、どこまで組織運営をどうしてるの?といった言葉をいただきます。リクシィでは、『部』という概念がなく(といっても人数も少ないんですが・・)『上司・部下』という概念もありません。

まず、『部』のかわりに、『プロジェクト』という概念があり、『上司・部下』の関係性ではなく、プロジェクトに基づいた行動と、個人の『ミッションステートメント』の設定と、ゆるやかなメンターという意識があります。
*実はメンター制度を導入しよう!みたいな話になったのですが、すでにナチュラルに上司も部下もないのに、誰かが誰かに、それが全体的にだったり部分的にだったりで、メンターの要素でコミュニケーションを図っていたため、こうしたゆるやかなメンターの意識があれば良いよね!みたいなかんじでいったん着地しています。

『map』とは、このプロジェクトやミッションステートメントを指しています。
意味はそのままで、地図。
会社を進むべき方向性や内容をプロジェクトとして落とし込むことが、会社にとっての地図を意味し、
プロジェクトが進むべき方向性を個別に設定されることが、プロジェクトごろの地図となり、
複数のプロジェクトを抱える個人がそれぞれにどうアプローチしていくのか、何を主体的に動かしていくのかといったミッションステートメントが、個人にとっての地図と、
会社と個人の進むべき指針、地図みたいなものをイメージしています。
(裏側には、mission statement and projectにもなってるね!みたいな話もありましたが、こういうのはダサいなーということであまりオフィシャルにはしない予定です笑)

そして、プロジェクトリーダーは、実質、そのプロジェクトにかかるすべての権限を持っています。極論を言うと、新卒1年目でも、何でもできてしまうわけです。

「え、大丈夫!?」というかんじですが、管理をすることを前提とした『達成型組織』ではなく、『ティール組織』を意識した組織づくりを行っていて、そのなかにある考え方の『助言プロセス』というものが常に発動されるので、意外と大丈夫なかんじで、今のところは進んでいます。
(ティール組織については、改めて詳しく書きたいと思います)

むしろ心配していたのは、「いろいろ取り組んでみてるけど、何だかんだで普通の組織とあんまり変わらないよね」みたいなことになることで、
・上司ではないけど上司らしき役員にけっきょく指示を受ける
・変わらず言われたことを素直にやる
・プロジェクトとしてメンバーに委ねたことで、ただクオリティが落ちる
といったかんじにならないといいなと思っていたのですが、これも今のところ、嬉しい誤算で、プロジェクト化をしたことで、それぞれが相談に走り(助言プロセス!)、それぞれが光るものを出し、それが僕自身にもとても良い影響を与え、プロジェクトとして分けた分、自分の脳みその数も増えた感覚で、なぜかインプットもアウトプットも質が上がってきているように感じます。
(このあたりも、詳しく整理をして書きたい・・)

ということで、言ってしまえば担当をしっかり決めましょうとか、目標を書きましょうというだけの話ではあるのですが、mapがあることで個人とチームが「ベンチャーにありがちなカオスな状態よりも整理された状態となり、成熟した企業にありがちな部や評価制度で固められた組織よりも自由さや裁量がある状態に」なったかなと思っており、ちょっとオススメです。

いつも以上に取り留めのない、締まりのない駄文になってしまいましたが、まとめを。。

まとめ

・会社の運営に恣意的な要素はずいぶん前から不毛で、良し悪しはあれど、業績達成を意識した期の区切りかたは、けっこう微妙だと思っている
・lyの設定でそのことに気づき、「会社の変化の周期」は重要だと思った
・1dayを通して情報の共有のためだけの場こそが無駄でロスがでかいと思った
・ぜんぶをオープンにすると決めきるとラクなことの方がはるかに多い
・ぜんぶをオープンにすると、結果、成長も早い
・組織運営でヒエラルキーとみなされる要素もぜんぶ排除してみた
・プロジェクトという概念で動いてみると、1dayの効果もあって意外と良いかんじだ
・ティール運営については次回
・インプットとアウトプットの質を上げる方法についても次回

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