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フレキシブルワーク時代のオフィス考 | 働き方への意志が、オフィスの分散と凝縮を決める

この数ヶ月論じられてきたオフィス論について、年間100社以上のベンチャー・スタートアップのオフィスプロデュースやコミュニティ作りなどを行うヒトカラメディア代表として独自の観点もたぶんに盛り込みながらバッとまとめてみました。
タイミング的にも全体感をもって書いてみたいと思い、各章の間が端折られている感があったらすみません。。そして答えは無い領域なので、ぜひ様々コメントいただけると嬉しいです!(初noteということもあり見づらい点多々あるかと思います。精進していきます!)

コロナをきっかけにリモートワーク&二拠点生活はもっと身近になる(いやしていくべきでは!?)と思い、かく言う自身もヒトカラメディアの拠点がある軽井沢にて1週間ほど滞在しながらこの記事を書いています。最高です。

タイトルでも少し触れていますが、大きな変化としては働く場の定義が『「オフィス環境」から「働く環境」へ』アップデートされたこと。オフィスはより柔軟(分散)になり、だから同時に濃さみたいなものが必要となってくる。そんな観点をベースに展開していきます。

1.働き方は「フレキシブルワーク」の時代へ

・フレキシブルワークとは?
働く環境がオフィスだけではなく、自宅も含めた街全体に広がった今、テレワーク、オフィスワークの二項対立ではなく、目的に合わせてフレキシブルに働く場所を選択する時代になっていく。自律した個人、組織にフィットするこれからの働き方だと思う。

ただ実際のところ「自律した個人、組織」というのは働き手の意識やスキル、会社側の制度やマネジメントスキルなども求められるため、気合い入れたら明日からなります!という類のものではないのが辛いところ。ただ社会的にそういう方向にいくことが許容され、ポジティブになったというのが大きな時代の変化なのではないでしょうか。

2.コロナによりオフィスの概念はどうなる?

・今まで:オフィス機能全部盛り! → これから:企業ごとに必要な機能を備える
働く場=オフィスという暗黙的な認識があった。そのためオフィスの中に執務専用スペース、会議室、カフェ、休憩スペースなどのラウンジ機能、お籠りワークスペース、テレカンスペース、イベントスペースなどなど、オフィス内で仕事は完結できる機能を備えていた。ABW(Activity based working/仕事内容に応じて働く場所を選ぶワークスタイルのこと)も「オフィス内」で自由に働く場を選択できるという流れの中にあった。

これからはその企業ごとに必要な機能と割合によって多様化したオフィスの在り方になる。

ちなみにヒトカラメディアも7月に中目黒120坪(全て自社使用)から下北沢120坪のオフィスに移転をし、契約面積は変わらないですが新オフィスは内40坪ほどを外部の方に使ってもらう共創スペースとしているため実質の縮小移転をしています!(こちらの詳細はまた別の機会に記事書きますね。)

・一様なオフィス論が崩壊、有り様は様々に
「成長企業=イケてるオフィスでガンガン拡張」という構図が崩れた今、一様なオフィス論は消え去った。そもそもオフィス機能全部盛り、そして働く場=オフィスであれば、人員増に比例してオフィス面積は必要になる構図でした。ベンチャー界隈でいくと2坪/人ほどで必要面積をざっくり考えることが多かったのもその現れ。人員増加とオフィス拡張が結びつかなくなったのが今。

これからは各社がそれぞれの目指すものによって作られるオフィス論が中心の世の中に。なぜなら、フラットな価値観で働く環境を考えることができるようになり、一様なオフィス論が崩壊し、リモートワークへの理解も進んだからです。(軽井沢との二地域生活もポジティブめに捉えられるようになった感!)そのフラットな状況下で何を選ぶのか?それが問われる。だからこそ違いがでる。何を選んで何を選ばなかったのか。まさしくその企業「らしさ」を表現する場になってくる。

・「働く環境」の総面積は変わらない、と認識する
オフィスという面積は減っても、実際に働いている面積の総和は変わらない(自宅もその場の一つ)と考えることができる。見落としがちだが、これを認識することにより対象とすべきが「オフィス環境」から「働く環境」へとアップデートされる。

すると「広義の働く環境への投資」をどう考える?という視点が大事になってくる。一例を挙げてみます。

※事前にお伝えしますと、今はコロナショックにより経営環境が大きく変わり、まずは体制、事業の立て直しフェーズの企業も多くいます。ヒトカラメディアもご多分に漏れずその一社。そのため後述のような投資は今すぐすべき!というより、これからサイクルを取り戻していくにあたり検討される企業も増えていくのではという観点です。(ちなみにヒトカラも現時点ではモニターとオフィスチェアの自宅利用くらいしかやれていない状態です。。涙)

まずリモートワーク普及による物理的な会社メリットとして、

・オフィス面積が減る→オフィス家賃が下がる(ポジティブな縮小方向へ)
・メンバーの通勤回数が減る→交通費が下がる(定期代の支給から実費支給へ)

その削減分を活用し、働く環境にどう投資するか?の例を挙げてみると、

・リモートワーク手当を用途自由で一律で支給する
各々が働ける場所を近所のコワーキングスペースや居心地の良い場に構えることができる状況にする、またそれを自宅家賃にも適用すれば一部屋多いマンションを借りられるかもしれない。
・自宅のオフィス化支援
モニター、ワークチェア、ネットワーク環境構築、照明やカメラ導入などの購入費用を会社側で一部負担してあげる。
・家賃手当と交通費をガッチャンコして考え一律で支給をする
今までは定期代に基づいた支給だった交通費が一律化して支給されることで、遠方でも家賃に回すことができて少しリッチな家や自己実現に近づく家に住むことができる。その自宅が働く環境にもなるため、暮らし側も合わせて良くなる。
・オフィスを分散化して持つ
いつも一つのオフィスにみんなで集まるのではなく、いくつかある拠点に出社ができるようにしてあげる。
 ・あえて集まりたくなるオフィスにするために投資する
家やサードプレイスなどより何倍も生産性が上がるひたすら働き心地の良い空間や、情報共有会からそのまま懇親飲みがしやすい機能と導線、行きたくなっちゃう企画満載のミートアップ特化型オフィスとか。全体をリッチにするというより、目的やらしさを実現するために絞って投資をする。
・福利厚生を拡充する

など、様々な選択は取れます。認識を変えることで出てくる発想も広がってくるし、それがそのまま採用力強化に繋がるケースもあると思う。大事なのは、こういったことを全部やろう!ではなく、自社は何を大切にするからこそ何をやる/やらないのか。そこにもその企業「らしさ」が表現されてきます。

ヒトカラでいうと今後はオフィスを分散化して持ち、その拠点ごとに目的を持った共創スペースを併設or内包してそのまちならではオモシロさを一緒に作っていくんじゃないかなーと思っています。

3.これからのオフィスに求められるものとは?

(1)作業する場から出会いと共創の場へ
(2)カルチャーや信頼関係を育む、エンゲージメントを高める場へ
(3)非言語なメッセージを紡ぎ、表出する場へ

これからのVUCA時代、わかりやすい正解は存在しない。意志をもって自分たちなりの正解を創っていく必要があるからこそ、分解できるタスクを渡し合う存在だけではなく、その行間を読み合い共創できる存在こそが必要となってくる。そういったメンバー・仲間・パートナーが大切で、存在を増やすことが企業としての強さの源になってくる。

そもそも、組織とは人が増えたり減ったりと入れ替わるものであり、初めからハイコンテクスト文化が醸成されていて、阿吽の呼吸で動ける仲間がいて、絶対的な信頼関係が築けているもの同士ばかりであるということは極めて稀でしょう。

だからこそ偶発的に出会うことで気付きや交流が生まれる経験を共にし、ステップを踏んで信頼関係やカルチャーを育む必要がある。オフィスとはそれらを加速させる装置のようなものになっていくのではないだろうか。

(1)作業する場から出会いと共創の場へ 
〜対面でこそ価値発揮できるものに重きを〜

今までオフィス=働く場として、作業はオフィスでされることが多かったが、「個人ワーク(個人で完結することができる仕事とする)」においては誰からも話しかけられず集中できる自宅などの方がパフォーマンスが上げやすい人も多い。(家族構成、家庭/自宅環境に大きく左右されますが。)そして特にオンラインMTGにおいては目的とアジェンダに基づき事前に時間と参加メンバーの意図を持ったセットができる。そのため無駄が少なく本題に集中することができる。

オンラインで効率化できることも多くなる一方、意図しない偶発的な出会いや交流や、他社との会話の中で自分の範囲を超えた気付きを得たり、ふと耳に入ってくる会話で興味を持つ何かに巡り合ったりという想定外の何かが生まれづらくなる。

意図、目的を持ったものならオンラインが、偶然性というものはオフラインと相性が良いのだ。オフィスとは、オンラインでは代替しづらいそういった出会い、ミートアップをする場の意味が加速していく。

また何かを意思決定するプロセスにおいて、発散/収束のフェーズがある。収束は誰かが取りまとめ議論を進めていくことで着地させやすいのでオンラインとも相性が良いが、発散についてはどうだろうか。例えばブレストやワークショップなどは、付箋を貼ってグルーピングして〜など全体の視認性、一覧性、グルーブ感がある中で情報が繋がり次のアイデアに発展させる狙いもあるが、オンラインではこれらを担保しづらい。
またホワイトボードでライブ感を持って議論を重ねる、まとめていく際にはリアルな場の方がやりやすく、臨場感を共有できるケースは多い。

特に発散フェーズにおける他者との共創においては、オフラインでその価値を高めていく余白がたっぷりとある。

(ヒトカラではオフィス移転、構築に際してワークショップをよくご提供していますが、オンラインでのワークショップについてはまだまだ模索中です、、!付箋をGoogleスライドやmiroなどでオンライン上で同時編集を参加メンバーでやったり試みていますが、参加者の空気感からこっちの方向だよね〜となるあの感じの再現が難しく、全ての回をオンライン置き換えはまだまだハードル高いなと実感しております。)

(2)カルチャーや信頼関係を育む、エンゲージメントを高める場へ 
〜空気感と記憶の共有〜

人は同じものを見て、感じて、共有することで連帯感や所属意識を強めていきやすいのではないだろうか。大なり小なりの意思決定をする際、その意思決定のなされ方やそれを共有した時の空気感の変化やリアクション、その後の状況の変遷の機微など、「行間」ともいうべきテキスト伝達だけでは感じ取れない間にあるものの積み重ねが、カルチャーを育み、らしさを作り、連帯感に繋がっていくと思う。

「一緒に行動した記憶が積み重ならないと、チームワークはできない」

グリーンズの植原さんも書いていたが、霊長類研究の第一人者、京都大学総長の山極さんのお話は感覚的にはそうだよなーと思っていたことを言い当てている。

オフィスという場所ではリアルな接点を生みやすいため、この記憶と結びつけることに適している。

(3)非言語なメッセージを紡ぎ、表出する場へ 
〜自分たちらしさが集積していく場〜

オフィスは、どういった小物が置かれているか?などのディテールに魂が宿る。なぜなら、それを許容する企業文化が背景にあり、その結果として表出するのが小物だからだ。何を許容し、何を許容しないのか。言葉ではなく、結果が現れるのがオフィスである。だからこそ、「言葉にはできないが感じるなにか」で人は無意識のうちに相性を判断することができる。

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(これはヒトカラの中目時代のオフィスエントランスですが、エントランスなのにこの未完成感(笑)ただ、なんかいい意味で汚しやすいし自分たちで足りないもの作ったりデコレーションしやすくないですか?自分たちがここを作っていく/使っていく主役であって、オフィスだけで働く環境が完成するのではない。そんな風に考えています。)

前述の通り、これからのVUCA時代にわかりやすい正解は存在しない。だからこそ分解できるタスクを遂行する存在だけではなく、その行間を読み合える存在こそが必要となってくる。そういったメンバー・仲間・パートナーが大切で、その行間を読み合える存在を増やすのに必要なのが感性側に訴える非言語なメッセージである。

チームで挑むために会社はあるならば、「非言語メッセージを紡ぎ、それを表出させる場が必要」なのではないだろうか。その両方を強いインパクトを持って実現させられるのがオフィスという存在である。まだまだオンラインでは表現しきれない領域だと思う。

4.オフィスの構成要素はどうなる?

・「共用部の比重が上がり、専用の執務面積の比重が下がる」
コロナの影響で世の中的にリモートワークを強いられ、それが機能するというある種の社会実験を行った状態が今。そしてある程度それは立証されたように思う。働く環境の中で執務スペースというものがオフィスに存在しなくても成り立つ構図が見えてきた。そして上記の(1)~(3)を実現する必要性がオフィスでは増してくる。

ひとりひとりの固定席はなくなり、mtgやブレストする場所、みんなが集まる場所などの面積の割合の方が増えていく。そしてこの共用部分は様々な機能が重なって、時と場合により活用のされ方が違う形になる。出社する人の数も減り、そのタイミングもバラけてくるため、一つひとつの機能を個別に持つことがとても非効率になってくるからだ。

5.オフィスとはどういう存在になるのか?

その企業が何を体現、実現したいのか?そのために何が必要なのか?だからどんな行動を促すのか?
働く場、働き方を考えることはすなわちその会社の在りたい姿のメッセージになる。これからの時代、その選択肢が多かったり複合的な課題が絡むからこそ、WHYから考える必要がある。

・その企業らしさが醸成されるコンセプト拠点へ
そこに滞在する人がどんな行動をするのか、そこを訪れる人が何を体感するのか、オフィスはその集積拠点としての要素が強まってくる。そして濃く、体現したいメッセージを詰め込み、人の行動や体感が交わることでそれが醸成される場所となる。

そのチームのアイデンティティをより象徴したものになるし、それを強化するものでなくてはならない。(そうじゃないとリアルオフィスの意義が薄くなる。)

例えばキッチン付きのオフィスでみんなでお昼ごはんを作って食べるカルチャーを大事にするならその機能が必要になるし、熱量の高いPJルームがそのままオフィスになってる会社もあるし、職住近接の在り方を沿線沿いで作ろうなどなど。決まった正解ではなく、それぞれの形がある。

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(例えば、ヒトカラ中目オフィス時代の
執務スペースのど真ん中でのワンシーン。記憶や熱量をそのまま残せるスペースにということでどでかいスチレンボードが日々増えてます。そしてこの熱が伝播していくようにと途中で壁をぶち抜いてこんなにオープンになりました。)

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(週に一回メンバーが有志でコーヒーを淹れ、その香りにつられて部署年齢関係なくメンバーが集まってくるカウンター。会話してるメンバーもいれば、仕事してるメンバーもいて、そのごちゃまぜ感が好き。)

・拠点を構える場所自体も発信するメッセージどこでも働ける時代に、どこで働くのか。一様な正解がなくなったフラットな状況で、どの選択をするのか。その意思決定自体が今までよりも濃いメッセージとなる。

商店街の真ん中にオフィスを構え、お昼や夜にみんなでふらっとまちに溶け込むように時間を過ごすスタイルもあれば、駅直結のパリッとしたビルに居を構え、張り詰めた緊張感を糧に邁進するスタイルもある。

6.縮小ではなく、凝縮化される時代に

・オフィス機能全部盛り!から、必要なものだけをリッチに
冒頭でも記載しているが、働く場所がオフィス内にとどまらなくなった今、これからのオフィスは必要なものを備える時代に。そしてそれがより象徴としての機能を果たす。必然的に必要面積は少なくなるが、それは単なる縮小ではなく「凝縮化」されるということだ。

□みんなが集まる日にフォーカスしたコミュニケーションスペースを中心としたオフィス
□社内外の人が熱量高く使うPJルームを中心としたオフィス
□社内で進んでいるアレコレが可視化されている掲示板的なオフィス
□熱量が伝播するオープンMTGスペースを中心としたオフィス
□面積が減らせる分、坪単価の高いハイグレードなビルへ入居(家賃を下げてもリッチなオフィスへ)

などなど、ソフト面でもハード面でもより濃さを増す方向に。

7.では、ヒトカラメディアのオフィスの在り方は?

さまざま「論」自体は語られ続けている今、ヒトカラメディアでは「実験的にいろいろやってみる!」ということを常にチャレンジしていきたいと思います。

そもそも拠点は一つなのか?拠点ごとに意味合いが違ってもいいのでは?居を構えるまちとともにまちを作っていくのはどう?PJルームって社外の人を巻き込んだら思わぬ進化を遂げるのでは?自社オフィスに自社メンバー以外の人が常にいることで起こせる化学変化って?触媒になるような拠点にするには?つい来たくなっちゃうオフィスって?何社かで一つのテーマについて考える場所にしてまちの人も巻き込んでリビングラボオフィスにするのはどう?

と、試したいことはどれだけでもでてきます。(ワクワク!)正解は無限にあるし、やってみなきゃ分からないこともたくさんある。ヒトカラメディアらしさって、そういう『とりあえずやっちゃうか!』って謎のポジティブさなんじゃないかなーと思います。

これからはガンガンそういったプロセス自体もシェアしてまいります。(うまくいかなかったらそれはそれで素直に共有します。笑)ご期待ください!

8.最後に一言

「働き方に意志を、オフィスにカラーを!
それぞれの個性が滲み出て、うねりを生みだす場所へ。」

結局、この世の中は一人ひとりの意志の集積でできている。それを結節していく、加速していく場としてのオフィスに僕は魅力を感じます。


長文、お付き合いいただきましてありがとうございました!!

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名古屋生まれ岐阜育ちの85生まれ。意志を持って生きる人や熱源を増やすべく2013年5月に株式会社ヒトカラメディアを設立。携わってる領域はオフィス仲介/空間構築/プロジェクトデザイン/場づくり/施設プロデュース・運営/施工/まちづくり/リビングラボ/コミュニティ形成/プログラム運営

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