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外資スタートアップ・カントリーマネージャーに挑戦して失敗した話 #2 ~ カンマネの構造的弱点

こんにちは。ジュンイチヤマシタです。 
外資スタートアップのカントリーマネージャーに挑戦したものの、結果うまく行かずに8ヶ月で断念した経験からのラーニングや経験値をぼちぼちと書いていこうと思っています。

第1話はこちら↓

起業家とカンマネは何が違う?

起業家もカンマネも、代表取締役、つまり社長という意味では同じですが、起業家経営者は自分が最大の株主であることが多いです。株主総会レベルの重要な意思決定でも意思決定力、あるいは強い影響力を持ちます。

一方でカンマネは、「雇われ社長」です。株式を全く持たないケースも珍しくないと思いますが、業績に応じてストックオプションが与えられるケースは多いと思いますが、基本的には議決権を行使できる株はあまりもらえないでしょう。株のほとんどは本国の本社が握っているからです。

私の場合は、日本に在住する唯一のメンバーで、当時は株式会社を設立する際の発起人の一人は日本在住であることが条件で、発起人は株式を最低1株保有する法律になっていました。今は外国在住でも発起人になれると思いますが、当時はそのような理由で私も1株だけ保有していましたが、残りの全ての株式は韓国本社の所有でした

何が違うかというと、カンマネは「権限」がないと言っても過言ではありません。社名を変えたり、本社を移転したり、増資をするのにも株主総会の決議が必要で、株主の賛同、つまり本社のOKをもらわないといけません。

シード、シリーズAくらいですとマネタイズ前だったりするので、うっかりすると資金がショートしそうなのに、本社の承認に時間がかかったり、手続きに手間取ったりで本当にショートしそうになったことがありました。あと数日でショートするというところで資本金の送金があったのですが、海外送金手数料が差し引かれたため、決議した増資額に足りず、慌ててもう一度不足分を送金(処理に数日かかる!)してもらうように依頼したこともありました

このように、一応、会社の責任者ではありながらも、株を持たないがために、本社の方針にはなかなか逆らえなかったりしながらも、数字への責任は厳しく追求されるし、こいつダメだと思われたら簡単に首をすげ替えられてしまうというなかなかチャレンジングな役回りだったりします

日本マーケットの知識・理解がない本社との調整はハード

日本と韓国は比較的似ている国ですが、起業制度面や税制、手続き、商習慣(日本人の品質に求める水準の高さなど)結構違うところがありながら、本社の人間は誰もその違いを理解していないので、ベーシックなところの説明から説得に労力がかかります(しかも英語で)。

株式会社がいいのか合同会社なのか、資本金の額はいくらがベストだ、税制はどうなっている、敷金礼金意味わからない、資本金は個人口座ではなく会社口座ができたら支払う(日本は会社ができてから会社口座作れる)、、、

日本人であれば常識で説明するまでもない事も多いし、不合理だと思う制度であってもわざわざそこに噛み付く人は少ないでしょう。しかしもっと起業が簡単に出来る米国や韓国の人からすると、一つ一つ引っかかるポイントが出てくるようです。

彼らは、基本自分たちのほうが優秀だと思っているので、自分が完全に理解しコントロールしようとしたがります。おかしいと思ったところは、説明を求めたり、こうあるべきなんじゃないか、など理想論を振り下げて来たりします

本社からのマイクロマネジメントを阻止せよ

立ち上げカンマネは、まず自分一人の段階からスタートしますので、企業設立にオフィス探し、人材採用に営業、マーケティングなど、やることはゴマンとありますが、こういう本社とのあまり生産的でないやり取りに時間と労力と精神力を使ってしまうことは避けたいところです

しかし本社側も、採用したカンマネがちゃんと仕事できるか不安ですし、投入した資金が適切に使われているか見張る必要もあるので、ある程度、実績を出して信頼を得られるまでは、マイクロマネジメントを受けることは覚悟したほうが良いでしょう

できれば、予めいくら(大きめの)の予算でいつまでに何を達成する、そのためにベストな方法を取るので3ヶ月は細かく介入せず任せて欲しい、と言えてしまえば良いですね。私はそれをしなかったので、日々細かいやりとりに時間を食われてしまっていました。信頼を早く勝ち取るために、密にコミュニケーションを取ろうとしていたのですが、逆にもっと鈍感力を使って我道を行けばよかったのかなとも思ったりします

次回予告(たぶん)

次回は、自分がカンマネのポジションでインタビューを受けていた頃〜会社設立あたりまでに感じた、「?(違和感)」ポイントについて書こうと思います

初期に感じる違和感は、直感ですけれども意外とこれが後々正しいということにつながってきます。キラキラした希望を否定したくない気持ちはわかりますが、「あれっ?」というような「違和感の種」は見過ごさないようにしましょう。こんなふうになるはずじゃなかった、という事態を避けたいならば。

自分が退いた理由を振り返ってみても、やはり初期の違和感ポイントでもっと確認しておくべきだったという事がいくつもありました

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