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名画の謎 ギリシャ神話編 ②ヴィーナス

本一冊の感想ブログを小分け?と思いますが、それほどの傑作と思える作品です!!前回のブログと同じく神話の原点とも言われるギリシャ神話を題材とした名画を背景を含めて面白く説明してくれている「名画の謎」。この一冊で、絵画、歴史、神話、天文学、そして旅と楽しめる一石二鳥ならぬ一石五鳥の本なので、しばらくのお付き合い、よろしくお願いいたします。


おさらい

前回からの続きとなりますが、今回初めましての方にもわかるように、この一冊の傑作ポイントを一つ!!

ギリシャ神話の予備知識無くても、ギリシャ神話を題材とした絵画の楽しさが伝わってくる。

ギリシャ神話は、それはもうネタの宝庫で面白いんです。それを題材とした絵画には、楽しさを集約した画家の遊び心がいっぱいなのです。

ギリシャ神話は邪教として封印されていたところを、ルネサンス芸術の最盛期にメディチ家が絵画として復活させるところから、表舞台へと返り咲くことになります。

では、本日の熱い思いを語らせていただきます。
前回のゼウス編も、ご一緒にお読みいただければ嬉しいです。


ヴィーナスの章

ヴィーナス

ゼウスがギリシャ名なので、実際はギリシャ名のアプロディーテとするのがいいかと思いましたが、英語名のヴィーナスの方が世間的に伝わるのでこれにしたのかな?と思った始まりです。

ちなみに、ゼウスはローマ名ユピテル、英語名ジュピターです。
この本は親切にギリシャ名、ローマ名、英語名の表や、神々の系譜もありますので、絵画の中の人物がどういう人物かわかりやすくなっております。

さて、ヴィーナスですが、金星を司る、女性の美しさの象徴的な女神です。
「愛」の女神でもあり、キューピットを従えています。

また、恋多き女神で、ウルカヌスの妻でありながら、様々な男神とのロマンスが伝えられ、それが絵画の題材として波紋を広げるルネサンスです。

余談ですが・・・
トロイア戦争のキッカケを作ったのもヴィーナスとなります。
そして、あのローマ皇帝カエサルの祖神ともされております。

ヴィーナスのあっけらかん

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題名の通り、浮気現場を見つかっているのに堂々としている姿が描かれているティントレットの「ウルカヌスに見つかったヴィーナスとマルス」から始まります。

ヴィーナスの最初の浮気相手がマルスと言われておりますので、結婚してそうそうの出来事でしょうか?
まぁウルカヌスも強引に結婚させたので、どっちもどっちですが・・・

ほんとギリシャ神話はドロドロ話が多い・・・

実は堂々としていたヴィーナスは捕まっていたことが発覚します。
この文章構成の素晴らしさも中野京子さんのセンスを感じさせるので本としての完成度が高いなぁと感心させられました。

なぜか上から目線・・・

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つづいて衝撃を受けるでしょう皆さん!!
作品はボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」中野京子さんは誕生秘話を書いてくれております。

ご存知でしたか皆さん?
実はヴィーナス・・・ゼウスのお爺ちゃんの男性器なんです!!
それが絶世の美女として誕生するって神話中の神話ですね(笑)
なんか笑えてしまいます。

このボッティチェリの作品は、後ほど紹介する「春(プリマヴェーラ)」と共にイタリアはフィレンツェのウフィツィ美術館で鑑賞できます。
この美術館はルネサンス期のメディチ家が集めた作品が多数展示されて並の美術館ではありません!!
できるならば、滞在日数多めにして2日~3日かけて見学されるのをお薦めします。
僕は半日と設定して行きましたが、流れるように見学しても後半ダッシュでした・・・残念でなりません・・・

男のピグマリオン幻想

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ジャン・レオン・ジェロームの「ピグマリオンとガラテア」の作品を基に語られる本章
概要は至って簡単、女嫌いの王であり芸術家のピグマリオンが理想の女性を彫刻で作りそれを愛す。そしてヴィーナスへの願いが通じて彫刻は人間に変わるというもの。

神話です!!!

詳細は本を読んでもらうとしまして、現代にも通ずるものがあるのでは?と思いました。
三次元の女性には幻滅して、二次元の女性を愛する。
願わくば、その理想通りの二次元女性が三次元に現れて欲しい。
と・・・

僕なら
「めぞん一刻」の音無響子さん
「うる星やつら」のラムちゃん
「タッチ」のみなみちゃん
「ルパン三世」の峰不二子

古すぎる?!
そんな人がギリシャ神話にも出てきて、それを題材にした絵画も存在するってことですね(笑)

彫刻が今にも動き出しそうな、躍動感ある作品で、エロスを感じます(笑)

合体要求

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バルトロメウス・スプランゲルの「ヘルマプロディトスとサルマキス」エロティックな絵から想像できない内容の神話です。
むしろ・・・ホラー?と思えるぐらいの背景の内容・・・

ヴィーナスの章でこの作品をチョイスしてくる中野京子さんに脱帽。
作品としてはバルトロメウス・スプランゲルの代表作と言ってもいいものなので問題ないのですが・・・
ヴィーナス?実はヘルマプロディトスの母。ちなみに父はヘルメス。
なるほどの繋がりですよね(笑)

しかし・・・彼の作品の裸婦像描写・・・妖艶さ120%で・・・最高です・・・

女性アスリート

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「アタランテとヒッポメネス」グイド・レーニ
レーニの作風には、バロック期の巨匠カラヴァッジョの劇的な構図や明暗の激しい対比が見られるとともに、ルネサンス期の巨匠ラファエロ風の古典主義様式が見られます。
「ラファエロの再来」と呼ばれ、ゲーテによって「神のごとき天才」とまで激賞された画家だそうです。

失礼ながら存じ上げない画家でした・・・

一時期評価を下げた画家なので、僕の知識レベルでは拾えない画家の1人だったのでしょう。
それを後悔させるような躍動的で神秘的な絵で、立体的な彫刻が絵になったような・・・
表現が下手ですいません。とにかくいい絵です(笑)

西洋では林檎、東洋では桃が神話に出てくる果物ですが、ギリシャ神話には林檎がよく出てきます。この作品もその一つとなります。
そして、ヴィーナスのアトリビュートも林檎です。

アダムとイブの話も林檎が出てきますよね。

女の第六感

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題名を見てドキッとされた方、何か悪さしてますね(笑)
今回の女の第六感は逆です。逆と考えてる僕もどうかと思いますが、女性が男性に恋をする瞬間の話です。

「ヴィーナスとアドニス」が題材。絶世の美女である女神ヴィーナスが、クピド(キューピット)の悪戯?から、人間のアドニスに恋をしてしまう物語を題材にした絵画。
あのシェークスピアも長編詩とした注目の作品を、人間として全てを兼ね備えた天才画家ピーテル・パウル・ルーベンスとヴェネツィア派の巨匠ティツィアーノ・ヴェチェリオが表現しています。

「中野京子と読み解く」とあるだけに、一緒に考える内容がとても面白く、頭に入ってきた章です。
クピド(キューピット)が反省したのかアドニスの足に絡みつくルーベンス作
この恋はダメだと諦めて昼寝を決め込んでいるティツィアーノ作
見比べての話は絵画の奥深さを感じました。

春がいっぱい

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前述、ヴィーナスのあっけらかんでもお話しした「ヴィーナスの誕生」でも有名なボッティチェリ作「春(プリマヴェーラ)」

この絵は、絵画の宝石箱だぁ~と言わんばかりに様々なエッセンスが盛り込まれています。
それを伝えるべく、しっかりと内容が書かれていて参考書として美術館に持っていきたいほど!!!
その美術館とは・・・ウフィツィ美術館!!!
この絵の前で、何人も立ち止まり、時間を費やしていたのを思い出させます。

それほど情報量が多く集約されている作品ですね。

個人的には、絵画に度々登場するアネモイ(ギリシャ神話の風の神)「ゼピュロス」が気になります。
春と初夏のそよ風を運ぶ西風である優しい風の神が、今回は女性を誘拐?!となっている描写などが「なぜ?!」と食いついてしまいました(笑)

ちなみに英語ではゼファーと読みバイクなんかで有名です。

このゼピュロスは、後の章にも登場するので覚えておいてください!!


さぁヴィーナス編も長々と章ごとに語ってしまいました。
絵画の主張が強く、中野京子さんの面白い解説と文章に引っ張られてしまいました。
気が付けば続編も出ていたので、久しぶりに購入しないと・・・

美の女神ヴィーナスが美しさだけではないところが、伝わってくるこの章
是非、絵画とギリシャ神話を楽しんでください。


つづく

後藤又兵衛

主に日本史の本が好きな僕ですが、思わず絵画の勉強として手にした一冊の本が運命的な出会いで絵画好きとさせていただいた本です。10年ほど前に読んだ本を読み返して感想文としております。10年分の思いがあるのか本一冊で長い感想文となりますが、この本は絵画だけでなく、歴史、神話、天文学、そして旅のお供と一石二鳥ならぬ一石五鳥となる本ですので

後藤純の語らい、もうしばらくのお付き合い、よろしくお願いいたします。

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