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三体の面白さとは

遅ればせながら三体Ⅱ 黒暗森林を読み終えました。予測不能な展開と壮大なスケールでお送りされるストーリーに圧倒されました。

なぜ三体はこれほど面白いのかをちょっと考えてみたいと思います。

1. 読みやすい

いきなり作品の内容そのものと関係ないですが・・・。これ、一番最初に思ったことですが、一般的なSF小説、特に海外の翻訳作品などでみられがちな、読み辛さというか難解さが全然ありません。かなりの大ボリューム作品ですが、割と読みやすくそこまで読み進めるのが難しいといった風にはなりませんでした。これは原著がそうなのか、翻訳の仕方が素晴らしいのか分かりませんが、とにかく翻訳も日本人にあった読みやすい作りでとても素晴らしいと思いました。

2. スケールがでかい

とにかくスケールがでかいです。いや、SFって大抵スケールデカくて当たり前なのですが、スケールのデカさを感じさせるうまい作りになっているという気がします。三体は、宇宙が舞台の作品で、場所は地球から始まり太陽系外までをカバーする壮大なスケールなのですが、ポイントは第1作が割と現実に近い技術環境からスタートしている点です。いわゆる、いきなり冒頭から超高度に発展した未来の技術がバンバン出てくる時代設定で始まると、ワクワクさはあるものの、現代(私たちが今いる現実)とあまりにもかけ離れていて、完全に作り話感を感じてしまいがちです。しかし、現実に近い舞台設定・技術設定から始まることで、現実から地続きでイメージしやすく、かつ現実世界でも起こり得そうという感覚が、一種の面白さを感じさせてくれます。そして、現実に近い設定からスタートするわけですが、最終的には宇宙にまでスケールが拡大し、なおかつ作中時間も300, 400年とかのスパンで何世代にも渡る作品のため読んでいてワクワクが止まりません。

3. 現実 対 虚構

たしかシン・ゴジラのキャッチフレーズにもありましたが、ゴジラという虚構の存在に対して、人類側を徹底的に現実的に描くという狙いがありました。こうした現実的な描き方をすることで、実際に、今現実世界にゴジラが現れたらどうなるのかをイメージしやすくなり、危機感や没入感をより高めてくれます。

三体もその空気感があり、例えば三体文明は現代の我々からしてみればとんでも技術の超文明です。軍事技術は高度に発展していますし、地球に陽子飛ばして物理学を封じ込めたり、陽子で地球人監視したり、めちゃめちゃ虚構感満載です。しかし、地球文明はいきなり超強力兵器ぶっ放して倒したりとかできませんから、しっかりと現実の技術発展に合わせた対策を立てなくてはいけません。特にそれが如実に現れていると思うのが、第2章の面壁計画だと思います。

三体文明は、超発展した艦隊で攻めてきますし、対策を立てようにも、地球の動きは常に監視されています。こんな絶体絶命の状況に対して、地球側が行った面壁計画は、心の中で考えていることだけは三体文明側にはわからないから、手の内を全部自分の中に隠して対策を遂行するという、なかなかに原始的な計画です。相手の高度な技術を打ち破るテクノロジーを開発するわけでもなく、ただ本音は隠して戦えといった具合です。しかもこれを地球規模でやるわけですから破格のスケールです。

こうした、超文明相手にもしっかりと現実に沿って戦う事を細かく描いている点が、現実離れしすぎず面白いと感じました。


他にも面白いポイントはたくさんありますし、私のようなSF初心者にはこの程度しか思いつきませんでしたが、とにかく三体はとても面白いですので、是非読んでみましょう!!

第3章が出るのが待ち遠しい!!


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