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水野淳子(みずのじゅんこ) 東京藝術大学大学院日本画領域修了・日本美術院院友 http…

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水野淳子(みずのじゅんこ) 東京藝術大学大学院日本画領域修了・日本美術院院友 https://www.jun-mizuno.com/ Instagram junko.m.mizuno

マガジン

  • 絵ッセイ

    日本画、スケッチ、落書きと共に、日々の出来事を綴っています。毎週月曜日更新です。

最近の記事

柄の布の魔力

 物心ついたときから、布が好きだった。私が育った名古屋では、大塚屋という大きな布屋さんが君臨していて、おそらく名古屋中の人が布を買う必要があれば大塚屋に来ていた(と思う)。昔はビル2棟分(現在は縮小されていると思います)、渡り廊下で行き来出来て、洋服の生地、カーテン生地、副資材などなどフロアごとに分かれていて、それはそれは品揃えが良くて、きちんと管理された生地たちが整然と並べられていた。働いている方も同じ制服を着て、若手からベテランまで知識豊富で、1番気持ちいいのは、布をカッ

    • キャンプは美味しい

       旅行ってそんなに得意じゃない。コロナ禍になって自粛生活を強いられて世間が苦しんでいる時、私の生活はいつもと全く変わらなかった。普段から家に引きこもっているし、特に来客もない。  でも、子供も小さいので連休になると旅行の計画は立てて、たまに実行するのだけれど、旅行が終わって家に帰ってくると「はぁ〜家ってサイコー」って思ってしまう。 素晴らしい効能の美肌温泉よりも、上げ膳据え膳のご飯よりも、指折りの観光スポットよりも、家のお風呂に入り、雑多なリビングダイニングで食べる自炊料理が

      • 不自由な服

         洋服というのは、自分をいかようにも魅せる重要なアイテムだと思います。その人の生活ぶりも見えるし、着こなしや色、柄選びから好みや性格も伝わるだろうし、お金の使い方や管理体制まで感じるかもしれません。 そう思いながら、私はほんとに「自分がこうありたい」という服を着られていないなぁと日々悶々と過ごしています。街を歩いている時にガラスに映る自分の姿が「うーん、変だ」と思ってしまい、自分で買ったはずのものがいつも気に入らないのです。  クローゼットの管理体制もしかり。気に入らない服

        • 胡蝶蘭の本音

           フランス旅行した時、パリのカフェに飾ってあった胡蝶蘭が、足をとめてじっくりと眺めたくなるほど素敵だった。直径50センチほどの火鉢のような形の植木鉢に5~6株の寄せ植えされていて、そこから花の芽がピュウ~とあちらこちらと自由に伸びて、少し小ぶりの花が3つ咲き始めたところだった。その鉢植えは、テーブルよりは少し低い台に載せられて、店内とテラスの間の柱の前に飾られていた。  胡蝶蘭の葉っぱは根元に付くから、そこから花芽だけが伸びていくのに、この鉢と寄せ植えの感じがとてもバランスが

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          6本

        記事

          突然の来客者

           花束を頂くと、率直に「嬉しい」というよりは、「お、来ましたな。」というグッと身構える気持ちになります。  まず、その豪華な梱包のビニールを解いて環境問題を頭にちらつかせながらゴミ箱に捨て、赤い模様の入った厚手の紙を「なんかに使えるかな、どうしよう」とオロオロするところから始まります。それから花瓶を何個か出してきて、長すぎる茎を切ったり切りすぎたりして活けなければなりません。  そのあと第2の問題が起こります。お花の色の組み合わせがどうも好みに合わないのです。いやいや、プ

          突然の来客者

          書いて描いてみる

          「これを書かないと死んでも死にきれない」ということがなくなったのです。と先日の吉本ばななさんのnote投稿記事を読んで、あぁ私はこのままいくと、死を前にした時「あー描き足りなかった」と死にきれない思いを抱えながら人生を終えることになるなぁと、しみじみ改めて痛感しました。  なんせ行動力が極めて遅いし、実行力も少なめだし、なんといっても一番の苦手な「力」は継続力です。 頭の中では浮かんだやりたいことは、とことんイメージのままで終わってきました。いや、今度こそ!と思ってメモ帳に

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