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【エッセイ】不存在としての存在。それは僕の心にぽっかりと空いた空洞。

2021/2/17

 君を失った喪失感を僕はどう埋めればいいのだろう。心に穴がぽっかりと空いてしまって、気がつけば君の姿ばかり探している。1分おきにスマートフォンを取り出しては君の画像を眺めては気になってしまうし、街を歩けば目の前を君が横切るのではないかと期待してしまう。

 この喪失感を埋めるものなんて世界中に存在しないような気がしてしまう。まるでドーナッツの穴、バームクーヘンの穴みたいにその不存在を存在として感じているんだ。

 でもわかっているんだ。失ったものはもう二度と戻ってこない。損なわれたものは二度と元の状態にはならない、ということくらい。

 僕はこの喪失感、胸の中の空洞を抱えながらこれからは生きていかないといけない。君の不存在を存在として感じながら。

 僕のなにがいけなかったのかはまだわからない。もしかしたらそんな僕に君は嫌気がさしたのかもしれない。僕はなんでも気付くのが遅いんだ。気がついたらいつだって手遅れなのさ。まるで電車に乗っていて降りるべき駅を通り過ぎてから、降りるべきだったことに気がつくみたいにね。

 だから君を失うということについて、僕は全く予期していなかった。それはあまりにも突然に、不躾にやってきたように僕には感じられた。まるで新聞の勧誘員がやってくる時みたいに。だから僕の心の空洞は今とても大きなものなんだ。

 できれば君に戻ってきてほしいと思っている。君のいない毎日はあまりにも空虚でモノクロで、全く意味をなさないガラクタみたいな毎日なんだ。

 これから別々の道を歩む僕たち。君の幸せを僕は願おうと思う。少なくともそう願えるくらいに強い男になりたいと思う。
 少し時間が必要かもしれないけれど、そこは容赦してもらいたい。僕にも心の整理をするくらいの時間は必要だから。

「死ぬまで一生愛されてると思ってたよ 信じていたのに嘘だったんだ そこの角左 その後の角右 真っ直ぐ行っても 愛は行き止まり」
クリープハイプ『愛の標識』

 今の正直な気持ちを歌に乗せるなら、この歌を歌いたいけど。熱唱したいけど。そんなことしても仕方ない。
 最後くらい格好つけさせてほしい。どうか君よ、幸せに。

 というわけで、今日、せっかく楽しみに冷蔵庫の中で大切に取っておいたプッチンプリンを家族に食べられてしまいました。喪失感が半端ない。
 どうかプッチンプリンよ、幸せに。

 それではみなさん、良い一日を。

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