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日本の育成年代のサッカークラブがすぐに取り組むべき”組織の構造化と役割分担”

私が毎年夏に帰国して、実際に現場に立たせていただいたり、日本の街クラブのそれぞれの役割や構造の話をいくつかのクラブさんと話しをする中でこのテーマをバルセロナの街クラブと比較した時にかなりの違いがあるなと感じます。


例えば、日本で選手の保護者の方々とお話をする機会があり、口を揃えておっしゃっていたのが「何か相談したい時にクラブ内に相談できる存在・役職がいない」事です。
子供の試合出場時間や、担当指導者の指導のやり方など思っていることが多くある中、直接指導者にはそれをぶつけることはできないし、かと言って他にこうような話をできる存在がクラブ内にいないという事でした。


バルセロナの現場では「コーディネーター」という役職がどの街クラブにも存在し、保護者の方々の相談役や面談など、日々の保護者との対応もコーディネーターの役割の一つとなります。
他にも、グラウンドで怪我人が出た時のための医療班の存在など 比べて違う点が多くあるなと感じました。
バルセロナに所属する街クラブではどのクラブでもしっかりとしたそれぞれの役割が記された組織図というものがクラブに存在します。
近年、育成年代において成果を上げてきているクラブを見渡しても、上に立つ人間がしっかりと組織を管理して役割分担をするシステムが成り立っています。
今から、紹介する内容は自分が指導させていただいているUE コルネジャというクラブの資料を参考にしたものとなります。


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◆ クラブの組織全体図と役割
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まず始めに、クラブの全体組織図を見ていきます。

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添付させていただいた画像に記されているものが、その全体組織図となります。
ご覧いただけるように、各カテゴリーに配備されているコーディネーターはもちろんのこと、医療班やスカウティングなども普段の練習や週末のリーグ戦に帯同して活動しています。
例えば、平日の練習中に怪我人が出ても、グラウンドに設けられている医療ルームで迅速な手当が可能になります。
さてここからは実際にこの図に書かれている各部署の役割を見ていきたいと思います。


■ゼネラルディレクター
• スポーツディレクターと共にコーディネーターを整理・配属する。
• 各チームのフォローアップを行う。
• 技術部長と共にチームのメンバー構成を仕上げる。
• 各チームのレベルアップのためのフォローアップや、怪我の研究会に参加。
• 保護者への手当、経済面での収入の十分な機能のためにクラブの経済部長に指示する。
• 物流部門を良い状態に保ち、施設・設備導入をスムースに行えるようにする。
• クラブ内政治における規則の順守がなされるように気を付ける。
• 保護者との定期会議を管理する。
• 練習、試合の時間を設定する。


■ スポーツディレクター
• クラブの確固たるビジョン。
• 年間を通したメンバー表の計画。
• 役員会議に必要とされるクラブを代表した行動。
• コーディネーターを発展させる仕事のフォローアップ及び管理を積極的に行う。
• コーディネーターに対する、参考となるプレーモデルの提案。
• ゼネラルディレクターに対し、コーディネーターの人事の提案。
• コーディネーターの会議の招集及び進行。
• クラブ内政治における規則の順守がなされるように気を付ける。
• クラブの祝い事などのイベントのマネジメント。


■ 技術部
• コーディネーターの組織、及び配置。
• 各チームのフォローアップ。
• 役員会議に必要とされるクラブを代表した行動。
• コーディネーターを発展させる仕事のフォローアップ及び管理を積極的に行う。
• ゼネラルディレクターに対し、コーディネーターの人事の提案。
• コーディネーターの会議の招集及び進行。
• クラブ内政治における規則の順守がなされるように気を付ける。
• 保護者との定期会議を管理する。
• 練習、試合の時間を設定する。
• クラブの祝い事などのイベントのマネジメント。


■医療部
• 医療サービスが十分に機能するための管理、貢献。
• 怪我予防の際の素早い対応。
• 怪我を回避するために各チームのフォローアップの実現。
• 怪我一般についての研究、怪我回避を志向。
• 日々選手たちに対し注意してチェック。
• 例外的なケースにおける一般医療サービス。
• 集団的な心理ケア。


■ 経理部
• 事務仕事の管理、配置。
• 保護者への事務的な対応。
• コーディネーターと保護者との会議のケア。
• クラブ費の徴収。
• 役所、FCF、RFEF、TV、ラジオ、報道機関との関係対応。
• マーケティング部との、広告収入についての会議。
• グラウンド内の広告配置。
• ゼネラルディレクターとの定例会議。


■ 物流部
• 設備・施設の機能を管理、整理。
• グラウンド使用の練習時間の管理。
• グラウンド使用の試合時間の管理
• スタッフと話し合い、各チームの練習スペースを割り当てる。
• 更衣室の整理、管理。
• 故障した設備の管理。
• 更衣室の出入りの流動化の管理。
• イベント時のグラウンドへの立ち入りの管理。
• 設備・施設の清掃。


■コーディネーター
• 担当セクションのチームのパフォーマンス管理。
• スポーツディレクターによって割り合てられたプレーモデルの重要性の支持。
• 各チームの選手をレベルに応じて管理、割り当てる。
• 各チームのトレーニングのフォローアップ。
• 日々の保護者との対応。
• 各チームの年間プランと日々の練習に基づいて、指導者を管理・マネジメント。
• 各チームの目的、目標設定。
• 他クラブからより優秀な指導者を獲得。


以上が各部署の役割となります。

ここに書かせていただいたものは、大まかな役割ですのでこれ以外にも細かい役割というものは他にも存在しますが、どこのクラブでもこのような構造と役割は振り分けられているのが当たり前になっています。


先ほども言いましたが、これからのサッカー界ではこういった組織の構造図をうまく操り、管理できるクラブが結果を出していくんだなと感じます。
日本のクラブでも少しずつですが、こういった役割を分担し取り組んでるクラブが増えてきているとお聞きします。

こんなことは言いつつも、指導者の数が足りなかったりだとかコストの面での問題等、様々な要素が出てくることでなかなかすぐには仕組み化を図れないことだとは承知ですが、少しでもこのような環境づくりが増えてくればいいかなと思います。


もっともっと発展し、選手・指導者・保護者がよりサッカーに打ち込める環境を作っていきたいですね。



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【MLT】
公式HP:https://www.barcelonamltcamps.com
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日本人とスペイン人のスタッフで構成されるMLTは、バルセロナを拠点に置くスポーツ団体です。日本のサッカー発展に貢献するため、バルセロナと日本を繋ぐツールになるべく活動しています。日本サッカーが発展するためには、①育成年代の改革 ②サッカーを見る・学べる環境作り ③指導者のレベルの底上げ が優先して必要だと思っており私たちのコンセプトでもあります。

現在は、バルセロナで小学生年代に向けたMLT テクニフィケーションスクールを開催したり、夏に日本で指導者向けカンファレンスやサッカーキャンプを開催しております。詳しくは、我々のホームページにて活動内容を掲載しておりますのでどうぞご覧ください。

MLT 創設者・代表 紹介

【高田 純】
2014 年高校を卒業後、バルセロナに渡り2015年には、スペイン指導者ライセンスレベル2(日本のA級相当)取得。近年では、クラブUEコルネジャで小学生年代チームの第一監督を務める。

-指導経歴-
2014-2015 CLUB フピテルU-12 セカンドコーチ
2015-2016 CLUB フピテルU-12 セカンドコーチ
2016-2017 UE コルネジャ U-12 第一監督
2017-2018 UE コルネジャU-11 第一監督,U-12 第二監督兼アナリスト
2018-2019 UE コルネジャU-11 第一監督,U-14第二監督兼スカウティング
2019-2020 UE コルネジャU11 第二監督


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