僕が出会った風景、そして人々(番外編①)
舎人を出たあと僕が移り住んだのは、東京23区外の、いわゆる多摩地区と呼ばれた地域の一画だった。
舎人を出る時に抱いていた感傷もそこそこに、僕はまず、その地で生きていかなければならなかった。
僕が住処(すみか)として選んだのは、玉川上水沿いの古びたアパート。部屋の窓から見えるのは「野鳥の森公園」・・・名前はいいが、要するにうっそうと茂った森であり、部屋に日がさすのは一日のうち1~2時間ほどだった。まあ、その分家賃が安かったのだが。
なにしろ、舎人時代は小説家になるために大