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ファンタジー

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ずいぶん昔に書きかけたファンタジーに手を加えて完成させました。 3人の子供が不思議なタクシーに乗って時空を超えて旅をする物語です。 読んでいただけたら嬉しいです。
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#少年

チカムリオ(その⑩最終回)

チカムリオ(その⑩最終回)



「さてどうするかね。このままチカムリオまで行くかね」

「いえ、すみませんが、あの公園に戻って下さい。できるならもう一度、始めからやり直したいんです」

「ふむ。私もそれに賛成だ。人生はいつでも、何処からでもやり直しがきくものだ。あのときは言わなかったが、一人一人の人生は不確定要素が多くてね。実に変化に富んでいるのだ。まあ、このへんのことになると理論的には少し難しいんだが。不確定性原理という

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チカムリオ(その⑦)

チカムリオ(その⑦)

そうだ。僕たちはこの公園で何かを待っていたんだ。
 そして、そこに現れたのは1台の黒いタクシーだった。
 そう、運転手のおじさんには悪いことをしたけれど、皆でメモしておいてよかったと思う。

本当に不思議なことだが、僕たちはあの体験に関してほとんど何も覚えていなかった。
 キヨシは催眠術にかけられたのだと言ったが、そうかもしれない。
 紙切れは、キヨシが着ていたジャンパーのポケットから落ちたもので

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チカムリオ(その2)

チカムリオ(その2)

腕時計はちょうど午前4時を示していた。まさにあの時と同じ場所、同じ時刻にそれは出現したのだ。
 私はおぼつかない足取りで車に近寄り、おそるおそる中を覗き込んだ。

すると、ドアーが音もなく開いた。私は覚悟を決めて中に入った。そして、はやる心を懸命に押さえつけながら次の瞬間を待った。

運転席には、普通のタクシーの運転手が被るような、白いカバー付きの帽子を頭に載せた紳士が座っていたが、車内は薄暗く、

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チカムリオ(その1)

チカムリオ(その1)


まだ夜明け前なので、辺りに人の気配は感じられない。

車の音も時折遠方からかすかに聞こえてくる程度だ。

公園の中は濃い霧に包まれ、街灯の光が淡く漂っている。

私はベンチに腰掛けたまま何度かくしゃみをした。こめかみのあたりが鈍く痛む。
 昨夜はずいぶん酒を飲んだ。つい今しがたまで、ここに腰掛けたまま、しばらく寝込んでしまったようだ。

どうやってここにたどり着いたのだろう?まるで記憶がない。

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