【読書感想文】マイケル・ルイス『最悪の予感 -パンデミックとの戦い-』
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【読書感想文】マイケル・ルイス『最悪の予感 -パンデミックとの戦い-』

jun

 読み進めていくうちに,ある本が頭に浮かんできました。名著中の名著『失敗の本質』です。学生の頃,ゼミの購読で読んだことを思い出しました。その頃の先生の言葉が今でも記憶に残っています。

「この後,みんなが社会に出て組織で働くようになった時,この本に書かれている考え方を身につけておくことは自らを守ることに繋がります」

 社会経験のない学生だった頃は,心に刺さることなく就職し働き始めました。それから,組織で働くこと24年。「組織」の本質を知ることで,自らの立ち位置や立ち回りを俯瞰的に見ることができ,厳しい組織の中で生き残ってこれたのかもしれません。先生,ありがとうございます!

 大東亜戦争での諸作戦の失敗を、組織としての日本軍の失敗ととらえ直し、これを現代の組織一般にとっての教訓とした戦史の初めての社会科学的分析。

 『失敗の本質』のフレーズを借りるなら,「パンデミックとの戦いに対する失敗を,組織としてのアメリカ政府(特にCDC)の失敗としてとらえ直し…」でしょうか。ご存知の通り,アメリカの疾病対策の初動は失敗続き。アメリカだけでなく多くの国が失敗してしまいました。「未知のウイルス」なので致し方ない部分もあります…なんてのは言い訳かもしれません。

「われわれが歴史から学ぶべきことは,いかに人々が歴史から学ばないということだ」
(ウォーレン・バフェット)

 前回の世界的なパンデミックだったスペイン風邪。猛威を奮っていた当時,世の中を天地をひっくり返したような騒ぎをしていました。新聞の報道も今と変わらず過熱していたようですが,数年経つとすっかり忘れ去られていたようです。シニカルでありながら核心をついたバフェットの言葉の通りであれば,今回もパンデミックの騒動も数年後には忘れされていることでしょう。

 ただ,そんな人間であることに寂しさを感じるものです。「これを次のパンデミックの教訓とした社会科学的分析」とすることが,後世に対する我々の責務でしょう。

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jun
本と音楽と映画の記録。日々の暮らしとお酒も少しだけ。