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-写真が上手くなるためには-

こんにちは!山と写真とカポエイラをテーマに始めたノートですが、今回は第2回です。写真が上手くなるためには…なんてだいぶ目を引く題名ですね。巷ではこんな話題をたまに見掛けますし、僕自身も似たようなことを何回か聞かれたことがあります。このノートに記すことはあくまでも僕個人の意見や考えですので気軽に読んでくださいね。

さて、そもそも「写真が上手くなるには」なんてこと知りたいですか? 人それぞれだとは思いますが、僕はあまり知りたくないですね。

僕は山に登っていますが、ヘリコプターでいきなり山頂に着いたって感動も何もないし、明日からめちゃくちゃ写真が上手くなったって正直つまらない。困難な山だからこそ登頂できた時に感動がある。写真は難しいからこそ上手く撮れた時に喜びがある。そんなものではないでしょうか?ただ、一つ言える大事なことはあります。それをここから紐解いていこうと思うので少し長いですが、最後までお付き合いください。

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とにかく写真を撮りまくる。明確に撮りたいイメージを膨らます。確かな技術を学ぶ。上手い人を真似る。など写真が上手くなるためには様々な方法があると思いますが、僕がいつも思うことはそういったことよりも自分の感性や感覚を磨くことのほうが大事なのではないかと思います。仮に僕に弟子がいたとして何かしらアドバイスをするなら、人生を楽しんで!と伝えるでしょう。

結局撮るのはその人自身です。その人自身が面白い人間じゃないと写真も面白くないのかな〜と思ったり。ここで言う面白いとは魅力がある人。写真も含めて画家や造形作家、ダンサーなど芸術と言われるジャンルにおいて活躍する人達は少なからず人を魅了する何かしらの魅力を持っているのではないでしょうか。

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正直言うと僕はそこまで写真は好きではないと思っています。基本的に撮影がないとカメラは全くと言っていいほど持ち歩かないですし、毎日写真を撮ることもしません。多分撮影を入れない限りは写真を撮らない気もします。 

なんというか、写真は好きなのですが、それよりも表現をすることのほうが好きなのかもしれません。写真を通してこんなとこを表現したら面白そうだな。こんな感じで撮ったら綺麗だろうな。ってくらいにしか思ってません。

自分が表現したい想いや気持ち、その時に自分が持つエネルギーであったり、そういったものがシャッターを切ることによって表現できる。それが好きなのかもしれません。今はその表現するものがカメラなのですが、もしかしたらこの先それがカメラではない何かに変わる可能性もあるかもしれませんね。人生なんて何があるか分かりません。

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森美術館 STARS展 #emptymoriartmuseum にて

話を戻します。感性を磨くには人生を楽しんだほうがいいと言いましたが、その為の方法は色々あると思います。自分の知らない土地に行き、自分の知らない文化に触れる。これは海外でも日本でもいいと思います。僕は20歳ぐらいからアメリカ、ヨーロッパ、南米、アジアと様々な国に行きましたが、良い意味でも悪い意味でも根底から自分の常識を覆されることが多々ありました。日本人でさえ、その地域によって根付いた文化や風習がある。そこで生まれ、育った環境によって一人一人が違う感覚を持っています。それが世界となれば、尚更全く違う文化です。その国が、その人が持つ文化というのは本当に面白いですよね。海外を少し知ったからこそ、改めて日本の良さ、日本人の良さも知りたくなる。今は1周まわってまた外国の文化を知りたいと思っています。

自分の知らないことを知っている人と話す。これも大事ですよね。同じような人達とずっと話していると話題も価値観も限られてきますし、井の中の蛙になりやすい。今でもそうなのですが、僕は初対面が苦手で人見知りをします。もういい大人になったので気さくに話す術を持っていますが、できるなら知らない人と話したくない笑 でも年齢を重ねるたびに思うのは歳を重ねれば重ねるほど人との出会いは少なくなり、限られてくるということ。一期一会。人との出会いは財産です。ひょんなことから出会った人が一生の友人になることもあります。慣れた人や居心地がいい人と一緒にいることは楽ですが、たまには自分から入ったことのないドアを開けてみるのもいいのではないでしょうか。

恋愛やSEXを楽しみ、人を愛する。これ冗談に聞こえるかもしれませんが、人生を楽しむ為にも本当に大事なことだと僕は思います。古代ギリシャの哲学者プラトンの言葉で「愛に触れると誰でも詩人になる」という名言があるのですが、人って恋愛をしている時は物凄く満たされて、心が豊かになり、誰に対しても優しくいられるようになりません?自分の愛する人とSEXをすれば、全身で相手の温もりを感じられるようにもなる。それこそ詩を作りたくなるほど愛に満ち溢れますよね?それはいくつになってもどんな人でも同じことなのではないでしょうか。

本を読んだり、映画を観る。これは感受性を豊かにすることでもありますし、表現においても大事な要素な気がします。本を読むことで「人の言葉」を聞き、それがいつしか「自分の言葉」となる。これも僕の好きな言葉ですが、イギリスのマーガレット・サッチャーが「考えは言葉となり、言葉は行動となり、行動は習慣となり、習慣は人格となり、人格は運命となる」という名言を残しているのですが、これこそ人生の真意なのかなとも思います。本を読み、言葉を知ることで自分の表現力も培われます。

それと映画は、まあ普通に見て楽しい。あまり物事を考えず、その世界観を単純に楽しみ、浸ること。人の感性に浸ることはとても大事です。感性に浸ると言えば、先日、東京都現代美術館で行われた石岡瑛子さんの展示を観に行ってきましたが、それをまざまざと感じさせられました。彼女の作品はもちろん、彼女の言葉や想い、製作にかける情熱など亡くなられた今でも全ての展示作品から感じられるそのエネルギーにどっぷりと全身で浸かり、見終わったあとに物凄い疲労感に襲われました。それほど彼女の作品は素晴らしいものでした。

さて、他にも永遠と書き続けられることは色々ありますが、既にかなり長くなってしまったので今日はこの辺で。まとめとして、上手いといわれる写真より、見た人が肌や心で「何か」を感じられる写真を撮れるよう、人間力を磨きましょう。1人の人間として魅力ある人になり、「人間として人生を生き抜く」その為にたった一度の人生をとことん楽しみましょう。

僕自身もまだまだ未熟ですが、人として面白い人物になれるよう「興味を持つこと」を忘れずに何でも楽しんでみようと思っています。次回は1枚の写真から撮影をするにあたって僕が考えた写真のコンセプトや撮影時のアプローチの仕方などを紐解いていきたいと思いますのでまた読んで頂けると嬉しいです。


石橋純

東京を拠点に様々な国や地域の自然に触れながら登山活動をする写真家。 山岳写真をはじめ東京・南青山にあるジャズクラブ BLUE NOTE TOKYO では国内外のトップアーティストを撮影し、雑誌やアルバムジャケットなどの撮影やコラム執筆など幅広い仕事を行っている。
またユネスコの無形文化遺産であるブラジルの伝統芸能「カポエイラ」を25年間学び、LAを本部に置くCapoeira Batuque カポエイラバトゥーキではContra Mestre(副師範) の位を持つ。15年以上子供から大人までを教えながらTVやCM、アーティストのMVや広告などでカポエイラの監修や指導をしながら自身もパフォーマー兼モデルとして活動する。2022年に写真集「Life is Fleeting」を刊行。

Jun Ishibashi is a Tokyo-based photographer. He travels around the globe, engaging in mountaineering and other nature-related activities. His wide range of work includes writing columns and photographing mountains, fashion, album covers, and top artists worldwide̶including ones in Japan’s BLUE NOTE TOKYO, a famous jazz club in Tokyo. He also studied Capoeira for 24 years, a traditional Brazilian art form that is listed in UNESCO’s Intangible Cultural Heritage. As a certified Contra Mestre in the LA- based group Capoeira Batuque, he has been teaching people of all ages for over 15 years. Furthermore, he is a performer and model, supervising and teaching Capoeira on TV, such as in commercials, music videos, and advertisements for artists.

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