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ジャンプ小説新人賞2019の部門別講評とあと一歩の発表!

ジャンプ小説新人賞2019の選考結果が、先日Jブックスの公式サイトで公開され、受賞作や多数の最終候補作が発表されました。

この記事では、公式サイトに掲載しきれなかった各部門ごとの総評や、最終候補まであと一歩だった作品への講評を掲載しています。
今回ご応募された方や、今後ご応募を検討されている方はぜひ参考にしてみてください。

フリー部門総評

最終候補作が10本という点からもわかるように、例年以上に力作の集まった年になりました。受賞作・投稿作とも、特に設定面で工夫を凝らした作品が見受けられ、印象に残る作品も多くありました。一方で、構成にはまだまだ改善の余地のある作品が目立ちました。冒頭の引きにはキャラや設定の魅力が大きく依存しますが、それだけではもちろん読者の興味を引き続けることはできません。「構成力」はある程度技術的に鍛えられるものなので、作品執筆の際には、プロット作りも同じぐらい力をいれて取り組んでもらいたいと思います。

次作に期待!最終候補まであと一歩!
『実生』P.N. 上城建太
ライトミステリとして過不足なくまとまっている。主人公に対して好感を持ちづらいことと、物語を通して彼に変化がないのがもったいない。

『STREETBALL BOYS』P.N. 白谷水歩
設定・キャラの作り方はうまい。群像劇の描かれ方が中途半端だったので、人物を絞ったり、人物への焦点の当て方を工夫してほしい。


テーマ部門:会話劇総評

今回の最終候補作品にはいずれも面白い会話があるというだけではなく、状況設定、人物造形、物語展開などどこかに秀でた部分があり、大変充実した選考会となりました。他方で、投稿作全体に目を向けると、会話の割合が大きくはあるものの、人間や物語を描くという点においては物足りない作品が目立ちました。その会話は誰がしているのか。その会話によって物語はどう動くのか。今回のテーマは会話ではなく会話劇。この違いについて今一度考えてみてください。

次作に期待!最終候補まであと一歩!
『アバラ丹前』P.N.西城真朗
不思議で不気味な雰囲気をよく出せているのだが、後半何でもありになっているので、リアリティラインをはっきり定めてほしい。

『夜行バスは4列シートに限る』P.N.齊藤嵐
優しい作品で好感度が高いが、会話相手の正体が簡単に読めてしまうのと、最後があっさり終わってしまうので、余韻がほしかった。

『天国一の強運者』P.N.二条颯太
多くの登場人物をうまく書き分けられていて、賑やかで楽しい。ただ、会話による状況説明が多く、もう少し個々の人間性が見えるとなおよかった。

『来客と、それが連れて来た悪夢』P.N.早津博貴
状況設定が抜群に上手く、最後まで緊張感をもって読み進められる。しかし後半の伏線は弱く、構成には改善の余地がある。


テーマ部門:お仕事総評

投稿作品には大きく二つの流れがありました。一つめは、実際にある仕事の実際にある日常が書かれている作品。二つめは、特別な仕事を行う中で起こる特別な事件が書かれている作品。それぞれに良さがありましたが、前者には主人公や物語の面白さに欠け、地味になるという傾向が、後者にはその仕事における日常業務が見えずらいため、何の仕事を描きたかったのかがよくわからなくなるという傾向がありました。この二つの流れの交点に位置する作品をもっと読みたかったです。

次作に期待!最終候補まであと一歩!
『軍隊をやめる日』P.N.東條功一
筆力が高く、時代の空気感をうまく出せている。反面、主人公の仕事が何なのかわかりづらいので、ページを増やしてでも書いてほしかった。

『黒衣の裁断者』P.N.葉月都市
裁判官の仕事内容やその仕事ならではの葛藤が巧みに描かれているが、リアリティが高すぎるあまり、後半の盛り上げが物足りず。


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