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口元注意

午前中、入金や備品の買い出しなどして戻ると、皆、接客に追われていた。

コロナで今年は混むということが少なかったけど、今日、何かあるの?って、くらいの混みよう。

手伝ってたら、あっという間に昼休みの時間になっていた。

久しぶりに忙しかったため、皆、疲れが顔に出ていた。

食堂で席につき、お茶を一杯飲むと対面に座った、いつもの後輩もお茶を飲もうとした。
疲れでボケっとしてたようでマスクを外さないまま茶碗を傾けて、マスクを伝ってシャツへとお茶が流れた。

吹き出した。
お茶を飲み終えた後だったのが救いだった。

ああいうシーンって、スローモーションのように感じる。
お茶をこぼした後輩の横の席の娘は驚いて目を見開き、僕の横にいた先輩は僕と同じく吹き出していた。

お茶まみれの人間が一人。驚いてる人間が一人。笑いが止まらない人間が二人いるテーブル。
周囲から見てカオスだったと思う。

他の席のパートさんが後輩に駆け寄って制服を拭き、

「いつまでも笑ってないでテーブルと床、拭いて」

と、怒られた。
パートさんの指示に従い、机と椅子と床を拭いて10分くらいして後輩が着替えて戻ってきた。

『大丈夫だった?』

声を掛けたが自分でも声が震えてるのが分かったし、こっちを睨んできたけど、目を合わすと笑いそうだったから目は合わさなかった。

食べ終えた後、エレベーター内で

「しくじった…」

後輩が呟いたので、

『今度の朝礼で飲み物を飲むときはマスクを外しましょうって、話すことが出来たじゃん』

と、提案したら後輩は舌打ちして、睨んでくると足を踏んできた。

『お前、ホントふざけんなよ。こっち先輩だぞ』
「知るか」

後輩との争いに、

「やってることが小学生よね」

先輩に半笑いで言われた。

気持ちが若いと言われたとポジティブに変換して、一日を過ごしました。

ジュースが飲みたいです('ω')ノ