見出し画像

印刷写真

ライカカメラは2月末から生産を大幅に縮小し、予防措置としてスタッフの大半は自宅待機しています。
これは当社にも影響を与え、前代未聞の決断を迫られました。1949年の創刊以来初めて、次号の『LFI』は紙媒体ではなく、デジタル版のみの発行となります。この思い切った決断は容易なものではありませんでしたが、この厳しい時代にもライカの写真の世界を読者の皆様と共有し続けることができます。

Leica Fotografie International 2020年4月号ニュースレターの冒頭の拙訳です。

インターネットのお陰で、こんな状況でも変わらずに素晴らしい写真を見ることができます。

しかしCOVID-19をきっかけに、さまざまな紙媒体が一気にネット上のメディアに集約されてしまわないか、ちょっと心配しています。

文字媒体については、既に印刷された本よりKindleなどの利用が圧倒的に増えています。それに抵抗はありません。印刷された書籍のほうが読みやすいとは思いますが、Kindleでもそれほど不満はありません。
むしろ、難しい漢字や外国との単語を調べたり、覚えておきたいフレーズをマークしておきあとから検索できたり、特定の言葉で全書籍を通した検索ができたり、フォントサイズを大きくできたり、電子書籍ならではのメリットもたくさん享受しています。

しかし写真については文字媒体とは違い、プリントされたものを見たい気持ちがまだまだ強いです。
作者がすみずみまで気を配った色やトーン、質感、大きさは、モニターでは完全に再現できません。
いつかプリントとモニター上の写真が同じになる日がくるでしょうがまだしばらく先のことのように思います。
モニター上で観る絵画、生け花、彫刻、陶磁器をイメージしてみてください。

印刷した写真ゆえのたたずまい、息づかいが好きです。
写真を印刷する楽しみ。
飾る楽しみ。
見る楽しみ。
見てもらう楽しみ。
今の流れから、どうかそれが一気に廃れていきませんように。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?