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小学校 国語 物語文

4.国語(物語文)
 説明文に続いて、この項では物語文の指導法について述べていきます。説明文と同様、毎学期必ず教科書に記載されています。まずは、物語文の目標について見てみましょう。学習指導要領の文学的な文章の構造と内容の把握では、「登場人物の相互関係や心情などについて,描写を基に捉えること。」という目標が設定されています。精査・解釈は、「人物像や物語などの全体像を具体的に想像したり,表現の効果を考えたりすること。」です。また、考えの形成では、「文章を読んで理解したことに基づいて,自分の考えをまとめること。」となっています。(いずれも高学年)つまり、物語文
では、本文を根拠として、人物や表現について考え、その考えを表現(交流)することを目標としています。本文をもとに作品解釈を進めるにあたって、子どもたちに解釈方法を丸投げしていては、深い学びを実現することは出来ません。物語文の作品も学年が上がるにつれて、テーマが抽象的なもの
になり、解釈が難しくなっていきます。(その最たるものが「やまなし」です)そこで、物語文を解釈するための視点を教師が与えて、それをもとに子どもたちに考えさせるのです。学年が上がるにつれて、解釈の視点を子どもたちが使いこなし、自分たちで読みを深めていけることが望ましいと考えています。

①登場人物
 その視点の一つ目が、登場人物です。学習指導要領にも登場人物という言葉が繰り返し出てくるように、物語文の解釈の中心といっても間違いはないはずです。まず、登場人物とは、そもそもどのような定義なのでしょうか。特に低学年の子どもたちにとっては、誰が登場人物なのか理解しきれていない子もたくさんいます。物語文では、動物や植物、時にはモノでさえも登場人物になりえるため、混乱を招くのです。登場人物とは、「人間と同じように考えたり、動いたり、話したりする生き物やモノ」と子どもたちに教えています。さて、この登場人物を主役・対役という視点で見ていきます。まずは、主役についてです。主役とは、「作品の中で、一番大きく心情が変化した人物」「作品の中心的な人物」と私は、定義しています。主役は、誰なのかを考えることは、人物の心情理解に繋がります。また、作品によっては、主役が誰なのか子どもたちの意見が分かれることがあります。それぞれの立場から、意見を発表することで理解を深めていく授業になります。もう一つ、対役という視点があります。対役とは、「主役の心情変化に最も大きな影響を与えた人物」です。主役と同様に、対役は誰なのかを考えさせると良いでしょう。さらに、変化を与えたのは、そのような事件がきっかけだったのか、どのような変化を与えたのか、どのように主役は変化したのか、などを考えていくとより解釈が深まっていきます。

 ②場面
 次に場面についてです。説明文では、1マス下がっているところで分ける形式段落という文章の分け方でした。しかし、物語文では、内容で作品をいくつかの場面に分けていきます。場面分けすることで、作品全体の構造(起承転結/額縁構造など)が見えやすくなったり、これから紹介する読解の視
点を考える際の手掛かりにもなります。では、どのようにして場面を分けていけば良いのでしょうか。場面分けする際のポイントが三つあります。一つ目は、「時」です。時間の経過が移り変わるところが、場面が変わるポイントにするという分け方です。一日の中での変化が描かれている場合では、「朝、昼、夕方」などの言葉に着目させますし、季節ごとの変化や「しばらくして」などの言葉で表現されている場合もあります。二つ目は、「場所」です。場所が変わるポイントを場面の切り替えの手掛かりとします。「劇場などで、舞台が一回暗くなって展開するところ」というイメージで子どもたちに伝えるときもあります。三つ目は、登場人物についてです。新たな登場人物が現れたり、その逆でいなくなったりと人物の入退場を手掛かりとします。これら三つの条件をもとに物語の場面を分けていきます。子どもたちに場面分けを挑戦する機会を提供しても良いでしょうし、文章が長い場合が多いので、教師が伝えても良いと思っています。物語文が登場したら、必ず子どもたち自身が場面分けするのではなく、1年間に1回くらいは、場面の切り替えポイントについて自分たちで考えてみるイメージです。

次回は,クライマックスやモチーフ、対比についてお話します。
最後までお読みいただきありがとうございました。

授業てらす二期生 けいすけ

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