真実テスト法

 物理学者R・P・ファインマンの『科学は不確かだ!』には、相手の主張の信頼度を測るための「真実テスト法」が紹介されています(実際はその1とその2があるんですが、今回はその2を割愛)。

 非常にシンプルな上に汎用性が高い(例えばセールストークをかけられた時にも有効)ので、ぜひ活用して欲しいです。

 その第一はある考えを説明しているご本人が、はたしてその内容をほんとうに把握しているかどうか、多少は根拠をもっているかどうかということです。
 僕がその判断に使うコツは簡単しごく、ただ理性的な質問をするだけでよいのです。
 相手を引っかけるような質問ではなく、その話題に興味があるのを率直に示し、正直で鋭く正面きった質問をするのです
 すると彼はすぐに、ぐっと詰まってしまうでしょう。それこそ子供の純真な質問のように、ナイーブだが適切な問いかけをすると、正直な人ならじきに答えられなくなってしまいます。その正直さは認めるべきでしょう。

※ R・P・ファインマン:『科学は不確かだ!』より

【解説】

 「理性的な質問をするだけ」というシンプルさ。
 ただし、質問する側もそれなりの心構えが必要です。

 質問する相手が主張していることを「信じたい」なんて気持ちがあると、遠慮が出てしまったり、「信じるのに都合がいい答えを求める質問」ばかりになってしてしまっては意味がありません(「都合のいい答えを求める質問」をすると相手は待ってましたとばかりに等々と説明を始め、あなたはただただ丸め込まれるだけです)。

例えば...

『○○は絶対に超能力だ』
何で超能力だと分かったの?

『スプーンに軽く手を触れただけで曲げるんだ。』
軽く触れたってどのくらい軽く触れたの?力を計ったの?

『...とにかくトリックで曲げたのではないという事は確実だ。』
何でトリックではないと分かったの?

『トリックの余地は無い状態でやったからだ。』
ということはあなたはスプーン曲げのトリックは全て知っているの?

『...。』

 とはいえ、ネット上で同じ事をやってもなかなかちゃんとした答えは返ってこないかもしれません。そして、「ぐっと詰まって、じきに答えられなくなる」ような“正直な人”はほとんどいません(個人の印象です)。

 おそらくあなたは、「もっと学んでから聞け」とか「お前の疑問は周回遅れだ」とか、理不尽な蔑みの言葉をぶつけられて、嫌な気持ちになるでしょう。

 でも、あなたの質問の目的が『議論に勝つこと』ではなく、『相手の主張の信頼度を測る』ことであったならば、あまり気にする必要はありません。

 「この人の主張は信頼に値しない」ということを知ることができたのですから。


(「王様は裸だ!」の記事を改変してお引っ越し)


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