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駄菓子屋のたまり場

溜まり場 (去年、駄菓子屋をやめる前に書いた文章ですが)

子供は溜まり場が好きだ。前の店、銀杏町でやってた頃に一坪位の上がりぶちを店の中に作って、そこを飲食スペースにしてたんだけど、早いもの順と言うか、子供達がそこを取り合って、手に入れた子らが、ここは俺達私達の場所だぞと所有権を獲得した様な顔でブタメンを食べたりカタ抜きをしたりいつまでもクジをめくったり削ったりして陣どってた。1時間2時間三時間と。

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土日なんかはひとつのグループが、朝10時に来て閉店の6時までぶっ通しで使ってたりする。数えて八時間。そんな日はとても疲れた。金を使いきって何もやることがなくなるとカードゲームなんかをいつまでもいつまでもやり続けている。その中には万引きしてる様な素振りの子もいるんでおちおちとトイレにもいけない。つらかった。

そんな事もあったけど、店の中にあんな溜まり場があったのもなかなかよかったと思い返す事がある。越して来た五輪の店では、そこ辺りを割り切って飲食スペースを時間貸しにしてみたりしたんで、子供達も「隠し部屋」と名前をつけたその有料スペースを使ったり、使わなかったり、他に遊びに行ったりすぐ家に帰ったりする。

前の店とこっちの店では子供達の買い物スタイルがだいぶ違くなっているんで、あれはあれで良かったなーと思い出すのだ。


子供も溜まり場が好きだけど、大人も飲み屋で皆で飲むのが好きだったり、イベント事であつまったり、バーベキューをBBQとか言ったりしては楽しく集まったりしてる。、子供に限らず溜まるの好きな人多いよねって事で、その溜まるってなんだ?って事を考えてみた。

前の店でのその子達の事を思い出せば、まず溜まり場を友人と確保する、駄菓子を食べながらゲームをしながら思い思いに話す、そのうち飽きる、溜まり場を他の者にとられない様にしながら、次にやる事を探す、思い付く事もあれば思い付かない時もある。思い付いたけど、それにも飽きて他を探す。探してるうちに、ゴロゴロしてるうちに家に帰る時間がきて帰る。次の日も飽きずにやって来たりする。

溜まり場をすでにとられている時もある、とられてたと思ってたら割りとすぐ空く事もあるんで空くのを待っている。とれたら昨日と同じ様に過ごす、次の事を探してるうちにその日どころか、その週、その月、その年、小学校、下手したら中学校までが終わってゆく。遊んだ後にまたすぐ遊ぶ事を望み続けているからだ。

見てる俺は暇だし「その次ってなんだ?」ってレジで一緒に考えてた事がある、
「遊んだ後の遊び方」「テンションはさっきより落ちている」「俺の意見は通らなかった」「あいつの言うことがよく通る」「まーしょうがない」「付き合ってみよ」「いや、やっぱ俺は興味ないからやらない」なんて言葉がうつってる顔を見ながら。そのだれきった場の先に何かあるのかと。


「人はどこまで遊びつづけれるのか?」なんて事を本に書いた人はいるのだろうか、

そして、「溜まり場がそれにどう効果するのか?」なんて項目がその本の中には書かれているのだろうか?


人生謎が多い、

ただ、これは一度考えてみた事なんで、じいさんになる頃には事実を知っていたい事だな。


じつは数ヶ月後に一度駄菓子屋をやめようと思ってるんです、自分の自由が効くうちに飲み屋さんをやってみたいと思ってました。考えてみれば、次の店でも俺はまた溜まり場を作る事になると思います。今度は大人相手に。

今の店では子供と大人に同時に対応してたんで、店としてどちらかにサービスの比重を重くすると、片方を贔屓する事になるというか、お客さんに申し訳ない事が起きたりする。大人も子供もなくどっちも立派なお客さんだしなるたけ平等を心がけ様とすると、サービスも何となく平等に薄まる。 

それでもいいかとこっちに来て思ってたけど、それではどこかつまらないと思ってるとこがあったのだろう、、前の店の無駄に賑やかだった溜まり場を店を一度やめようと思った今、なんだかよく思い出す。溜まり場で子供が、いつまでもだらだら遊んでたら大人はなんかいいたくなるし、大人がだらだら遊んでたら子供もなんかいい返したいだろうし、そこのところが今の商売スタイルだと難しい。

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次の店では大人の事だけ考えてればいいのかと思うと、ほっとするところもあるのも事実だ。予定通りに行けば10年位そんな店をやって、初老になって、戻って来て駄菓子屋をまたやって、俺から見たらだいたい大人も子供もなくなって、さっき言った、大人と子供のバランスなんかもどうでも良くなっていたいってのがぼんやりと考えているスケジュール。予定通り行けばだけど。

とにかく、次の店に行く前に溜まり場ってどんなところなんだろうと今回考えてみれて良かった。

今のところ、言えるのは、
溜まり場はパーティー会場でも、学校の教室でもなく、それよりルールもやる事も少ないが、目的もあまりないが、どうにか今日を楽しもうと思う気持ちが家に帰って屁をして寝るよりは強い人が集まってるところで、ある意味パーティーよりも学校よりもそんな気持ちがもっと強く沸いているところ。しかも夏は涼しく、冬は暖かい方が尚過ごしやすい場所だという事位だろうか。

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考えていたら、
「先に何かあるかなんか関係ない、その無駄で馬鹿らしい時間がいつか尊い思い出になる」とか分かりきった顔した人が言って来そうな気がして、やだなと思った。溜まり場の先には何か絶対あると、その悟った顔とケンカしたい気分になった。溜まり場かー。


ひとつ溜まり場での光景を思い出せば、

雨の降る夕方、中学の野球部が、雨と部活で温まった体温で背中から湯気をたてながらやって来て、人数も野球で戦える位いるんだから十数人で一坪程の溜まり場にぎゅうぎゅうに詰まっている。背のでかいヤツとデブに挟まれているチビが、声変わりしてない高音で喋り続けて一番うるさい。でかいヤツと太っちょは「あー」とか「うるせえ」とかその早口にうなずくだけなのだが、チビが調子に乗りすぎると体格差にものを言わせてヘッドロックをかけたりしてる。狭いとこでほんとにうるせー。他の客、小学高学年の女子達は目を合わせるわけでもなくそこから距離を保ち遊んでる。

野球部が同級生の弟を見つけて話かけた、その弟は同じリトルリーグの後輩なのか「こんちわース!」と小学生らしくない挨拶をして、俺と話す時とは別人の様。「おごってやるか?」「すんませんーッス!」とかなってるそんな時に中学の女子が数人来て、野球部が少し静かになった。女子を意識したのか、ちょっと学校でイケてるその子達にいじられるのを覚悟して身を固めたのか、。シーンとなった、、。一斉に下を向いた格好になって手元を確かめたりしてる。そんな黙る集団の中からブタメンをすする音だけが聞こえるだけになって来て、なんだか店が静かになってしまったなー。外のザーザー降る雨音も聞こえる。そんな時の事を覚えてたりします。わりとそういう時の事をよく覚えている。思い出せば。


2018 6月10日


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店での暇な時間を見つけていろいろ書いてみます。楽しい。 よしぎの、  駄菓子屋をしてたんですがやめました。いろいろ失敗して2019年からまた同じ場所で店してます。駄菓子もちょっと置いてます。コーヒー、かき氷、缶ビール、絵、他。宮城県仙台市

ありがとうございます!
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店名「よしぎの」 仙台市宮城野区五輪1-11-12

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