見出し画像

工場出身の開発者が語る「サブリナ」のこだわりと挑戦

グンゼの代表的ストッキングブランド「サブリナ」について工場出身の開発者からサブリナについて聞いた。

サブリナの歴史と進化

―「サブリナというブランドは、いつから始まったんでしょうか?」

グンゼ担当者
「サブリナは1995年に誕生し、もう30年近くの歴史を持つブランドです。でも、もともとグンゼのストッキングの歴史はもっと古く、1968年に『シアペーヌ』というブランドからスタートしました。その後、1990年にはヒット商品となった『イフィー』が登場し、そこから5年後にサブリナがデビューしました。

ーなるほど、そういう長い歴史があるんですね。最近でも新商品をリリースされていると聞きましたが?

グンゼ担当者
はい、2023年と2024年に立て続けに新商品を出しています。特に耐久性を向上させるリニューアルを行いました。従来品に比べて耐久性は2割アップしています。


耐久性の向上と製品改良

ー2割の耐久性アップというのはすごいですね。普通のストッキングは何回くらい履けるものなんでしょうか?

グンゼ担当者
一般的には5回程度ですが、サブリナでは10回の着用を目指しています。編み目の細かさやセット温度など、細部にこだわることで、肌触りの良さと耐久性の両立を実現しました。

ーストッキングの耐久性を向上させるために、具体的にどのような改良を行っているのですか?

グンゼ担当者
特に重要なのは、製造時の温度調整です。
従来の製品よりも、最終工程でのセット温度を少し下げることで、生地の強度を保つようにしています。
温度を下げることで、生地が硬くならず生地の柔軟性を保ちながら、強度も維持できるんです。


ーなるほど、温度調整が製品の質に影響を与えるんですね。
でも、温度を下げると熱融着※が難しくなりませんか?
(※熱融着:編目同士を熱で接着させること。これにより穴があいても伝線しにくくなる。)

グンゼ担当者
そうなんです。ですので温度の微調整をしながら、融着をしっかりしながらも、繊維へのダメージを最小限になるようにしました。これにより、生地の強度を保ちながらも、履き心地を損なわないよう工夫しています。

ー温度調整が品質に大きな影響を与えるんですね。どうやってそのバランスを取っているんですか?

グンゼ担当者
温度調整は、トライアンドエラーを繰り返しながら最適なバランスを見つける形です。何十回も試行を重ねて、最適な温度を見つけました。

ー開発にかなり時間がかかりそうですね。

グンゼ担当者
はい、実際にこの調整だけで10か月程度かかりましたが、その分、耐久性や履き心地の向上につながりました。


メイドインジャパンのこだわり

ーグンゼはメイドインジャパンにこだわっていると聞きましたが、具体的にはどういった体制で製品を作っているのでしょうか?

グンゼ担当者
はい、SABRINAは主に自社国内工場で製造しています。国内生産拠点は九州にある工場で、創業から55年の伝統があります。


ー自社国内工場生産の強みは何ですか?

グンゼ担当者
品質管理を徹底できることですね。自社国内工場であれば、開発者が直接現場での知識や技術に触れながら製品作りに取り組めます。これにより、製品の審美性や履き心地を高め、消費者に自信を持って提供できるようになります。

工場出身者の視点での開発

ー担当者さんは、製造工場出身なんですよね?

グンゼ担当者
そうです。もともと編み立て工程で働いていました。生産現場で経験を積んだ後、開発部に異動しました。現場での経験があるからこそ、温度設定や糸の特性を深く理解して、製品開発に活かせています。

ー現場で学んだことが開発に役立っているんですね。

グンゼ担当者
そうですね。現場で培ったノウハウがあるからこそ、製品の細かい改良が可能ですし、品質向上にもつながっています。

オフィススタイルの変化と未来への対応

ーオフィスファッションが多様化する中で、ストッキングの役割も変わってきていると思いますが、サブリナはどう対応していますか?

グンゼ担当者
カジュアル化が進行し、「マナー・エチケット」としてのストッキング着用が減るなか、「美容」「健康」を含めた新たな着用用途の開発を進めています。また、サブリナユーザー層に向け、オンタイムを想定した新感覚のソックスやレギンス等、トータルでのレッグ提案を進めています。

ー消費者のニーズに柔軟に対応しつつ、サステナビリティにも配慮しているんですね。

グンゼ担当者
その通りです。私たちは常に『強く、やさしく、美しく。』を追求し、社会に貢献する製品作りを目指しています。

ストッキング市場の現状と課題

ーストッキング市場が縮小していると聞きましたが、今後の課題は何でしょうか?」

グンゼ担当者
はい、ストッキング市場は残念ながら毎年縮小を続けています。SABRINAは幸いにもお客様からのご支持をいただき、前年対比でも増販することが出来ました。これからも、お客様にとってその時代に応じた満足度の高い製品を提供し続けることが目標です。

お客様へのメッセージ


ー最後に、お客様に向けて何かアドバイスはありますか?

グンゼ担当者
ストッキングを長持ちさせるために、ぜひパッケージの取り扱い説明をしっかり読んでいただきたいですね。適切な履き方や洗い方を守ることで、ストッキングの寿命を延ばすことができます。

ーパッケージには、具体的にどんなことが書かれているんでしょうか?」

グンゼ担当者
ストッキングの中に入っている中台紙を縦に折り曲げて取り出すこと、洗濯の際はネットに入れて洗うことなどです。これにより、生地へのダメージを最小限に抑えられます。

パッケージに記載されている注意書き

ー意外と基本的なことですが、効果があるんですね。

グンゼ担当者
そうなんです。読んでいただけると少しでも長持ちさせることができます。少しの工夫で、履き心地と耐久性を維持できるので、ぜひ試してみてください。

ー今日は貴重なお話をありがとうございました!

グンゼ担当者
こちらこそ、ありがとうございました。


いいなと思ったら応援しよう!