見出し画像

Withコロナには「老子」が必要なのかもしれない

コロナによって世の中が、あまりにも突然大きく変わりました。

この影響は言わずもがな、私たちの生活も大きく変えてしまい、生き方の変更を余儀なくされる人がほとんどです。

急激な変化は、精神的にもしんどいですよね。

私はストレスを抱えるとつい食べてしまうのですが、お恥ずかしながら前よりもお菓子を食べる量が確実に増えました笑

早くこのような状況は終わってほしいものですが、ワクチンが実用化するのにまだ時間はかかるようです。

しばらくはコロナと共に生きていく、「Withコロナの時代」と言われている世の中になりつつあります。

いずれは終りが来るとは思いますが、それまでストレスと、どのように付き合っていくべきでしょうか。

-----------

私はNHKの番組「100分de名著」を、NHKオンデマンド(と連携しているAmazonプライム)で2本ずつ見るのが日課になっています。

「100分de名著」は、普段なかなか読み進められない名著を、専門家の解説とともに100分(25分x4回)で理解していく教育番組です。

その中で「老子」を取り上げた回を最近見たのですが、Withコロナ時代を生きるヒントがあると感じたので紹介したいと思います。

-----------

老子が生きていたと思われる春秋戦国時代もまた、世の中に大きな変化があった時代で、鉄の生産が広まったことで農業の生産性が高まり、余剰が生まれたため、商業が発展しました。

それにともない社会が急激に「競争化」し、競争に疲れてしまった人、変化についていけない人が増えてしまったようです。

そんな中で老子では「無為自然」と説きました。

あるがままに変化していく自然と同じように、世の中の動きに自分の身を任せていけば、ストレスや憤りを感じなくなる、と。

他にも老子の中には「虚を致すこと極まり、静を守ること篤し」とも書かれています。

自分自身を空っぽにすれば、なんでも受け入れられる、空っぽだから、無理をする必要もない。

そんな「空っぽ」を極めるべき、と。

-----------

空っぽと言うと、なんだか何も考えていないように思いますが、そうではありません。

自分以外のものを受け入れるということは、自分以外のものを理解し、受け入れた上で何かを生み出すこと。

これは、老子の思想が取り入れられている「茶道」の世界にも見て取れます。

茶会が行われる建物を「数寄屋」と言って、掛け軸や花が飾ってある様子をイメージすると思いますが、茶会が行われていない時は数寄屋の中には何も飾られていません。

実は数寄屋を「空き家」と書くこともあるのですが、常に中を空っぽにしておき、茶会のたびに違う花を活け、違う掛け軸をかけています。

また茶会の参加者も違うので、おのずと毎回違った茶会になります。

また参加者どうしが協力してお互いを受け入れ、その時ごとの花や掛け軸等を受け入れることで、茶会が作られていくのです。

つまり、二度と同じ茶会が開かれることはなく、言い換えれば茶会には無限の可能性があります。

変わりゆく環境を受け入れることで、その状況を楽しめる無限の可能性がある。

そんなことを気づかせてくれます。

-----------

Withコロナの時代にこの考えは活かせることが多いのではないでしょうか。

例えばずっと家にいる必要があるのであれば、その状況を受け入れて、家でしかできないことをやってみる。

なかなかできていなかった場所を掃除する、不要なものを整理する、積ん読を処理する、見ていなかったドラマを見る、料理に挑戦してみる。

最近はリモートで飲み会をする人も増えてきましたが、そういう人はこの状況を受け入れて、軽やかに過ごしているなと感じます。

あと最近は政策が短いスパンで発表されていますが、その内容で一喜一憂するのではなく、まず背景を理解しようとし、背景が分からない状態で瞬発的に批判をしない。

それは政策を検証する必要がないわけではなく、毎回感情を浪費していると疲弊してしまうので、まずは理解する姿勢を見せるべきということです。

そうすると、政治に対しての新しい見え方や考え方が自分の中に生まれるかもしれません。

ビジネスの世界でも、おそらく新しい価値基準が生まれ、ビジネスモデルが大きく変わったり、今までの価値が落ち、逆に上がるものが出てくるでしょう。

逆にその流れを受け入れた上で、ビジネスを柔軟に変えていく。

このように、状況を受け入れることでストレスを減らし、また新しい自分や世界に出会うきっかけにもなり得るのです。

-----------

先日、NHKで放送された「緊急対談 パンデミックが変える世界 〜海外の知性が語る展望〜」で、フランスの経済学者であり思想家であるジャック・アタリがこう述べています。

茶会でも他者と協力してお互いを受け入れる姿勢があると書きましたが、今は自分の利益を確保したり、自分を貫き通す前に、まずは「協力」をすべき時代だと言われています。

世界的なストレスである「コロナ」に立ち向かうには、世界的に「老子」的になっていく必要があるといえるのかもしれません。

-----------

とは言うものの、老子が言う「空っぽ」になることは難しいです。

なぜなら自分とは異質なもの、下手すると直感的に受け入れがたいものでも、理解をして受け入れる必要があるから。

「多様性の時代」と言われて久しいですが、まだまだ他者を受け入れられない人は多いです。

Twitterを見てもYahoo!ニュースのコメントを見ても批判や炎上の嵐。

私にも、どうしても受け入れられない他人がいて、そういう人は受け入れる前に関わることを辞めてしまっていました。

「空っぽ」が難しいからこそ、老子が2000年以上も読みつがれているのでしょう。

私もなかなかできていませんが、老子の考えを実践することで、ずいぶんと楽になる人は多いのではないでしょうか。

生きていくヒントになれば幸いです。


この記事が参加している募集

おうち時間を工夫で楽しく

だいたいスターバックスで、あえてホットティーを飲みながらnoteを書いているので、ホットティー1杯くらいのサポートを頂けたら、こんなにうれしいことはありません。