見出し画像

東北大学とロシア 【東北大学 阿部恒之教授 Part 2】

こんにちは!

今回は、東北大学の阿部教授へのインタビューのPart 2になります。Part 1をご覧になっていない方は、以下のリンクからご覧ください!

Part 1 : https://note.com/jrsu_tohoku/n/n74a66024c3db

今回は、阿部教授から見たロシアの立ち位置と、東北大学とロシアの歴史的な関係についてご紹介いたします。

ゲスト:阿部恒之教授
東北大学文学部哲学専攻(心理学)卒。資生堂(ビューティーサイエンス研究所)勤務。在職中に,東北大学大学院文学研究科博士課程後期3年の課程編入学(社会人コース),同課程修了。博士(文学)。2005年より東北大学大学院文学研究科心理学講座助教授。准教授を経て,同講座教授。文学研究科副研究科長に就任。

取材・文:小池貴之
東北大学経済学部経済学科4年。モスクワ国立大学に10ヵ月間の交換留学経験あり。


ヨーロッパにあこがれるロシア

阿部教授「⼀番最近ロシアへ⾏ったのは、2019年にモスクワ⼤学がヨーロッパ⼼理学会を主催したときのことです。ロシアはヨーロッパかどうか、世界的には微妙な立ち位置にあります。モスクワ大学でヨーロッパ心理学会を開催したことは、ロシアがヨーロッパの一員であることを、少なくとも心理学会の領域で認めてもらったという意義があったと思います。

この学会で基調講演をさせていただいた後、サンクトペテルブルクへ⾏きました。街中には驚くほどたくさんのギリシャ彫刻を見かけます。ピョートル大帝の夏の宮殿・ペテルゴフは、ヨーロッパの技術者を呼んで作らせたもので、ベルサイユ宮殿を模したとされています。ロシアのヨーロッパへのあこがれは、遣隋使・遣唐使時代の日本が中国を見ていた眼差しに似ているような気がしました。

画像1

ペテルゴフ宮殿

Memo
 モスクワやサンクトペテルブルクを訪れると、たしかに色々な面でヨーロッパを感じることができます。一方で、少しモスクワを離れて東の方に行き、シベリア地域に近づいていくと、また違った景色や人々、それらを含めた独特な文化を感じることができます。一つの国の中に多様な文化が存在し、多様な人々が共存している。これこそが、ロシアの魅力の一つなのではないかと思います。


東北大学とロシアの歴史的な関係

阿部教授「東北大学の図書館には、心理学の父祖と言われているドイツのライプツィヒ大学のヴントが残した書籍がほとんど収められています。ヴントはお金をほとんど本に費やしていたため遺族の方がお金に困っていましたが、ヴントの書籍を散逸させたくない、どこかの大学がまとめて買ってほしい、ということでライプチヒ大学に留学中に東北大学の初代心理学講座教授に任命された千葉胤成先生がそれを買うことにしまして、ハーバード大学などと競り合って買い、現在は東北大学の図書館に収められているわけです。

その際、日本側の工作をしたのが後に東北大学の第八代総長となる佐武安太郎教授でした。ある偶然があり、佐武総長のお孫さんから、サンクトペテルブルクにあるパブロフ研究所に佐武教授がパブロフ先生に贈った肖像画があるというお話を伺いました。佐武教授はロシアにも留学し、パブロフに師事した経験があったのです。その佐武教授がパブロフに謹呈した肖像画を見たことのある日本人はめったにいないと思います。それを今回、自分の目で確認することができました。そして、それを描いたのが、仙台の日本画家荒井文岳だということを発見しました。(写真参照)」

画像2

佐武教授がパブロフに謹呈した肖像画

Memo
 東北大学がそんなに昔からロシアとつながりがあったとは知りませんでした。私自身は心理学の専攻ではないですが、心理学を学んでいる学生からすればヴントの書籍はお宝のように感じられるのではないでしょうか。また、パブロフと言えば、パブロフの犬でおなじみで、心理学を勉強したことがない人でも聞いたことがありますよね。そんな有名な方と、東北大学の八代目総長が肖像を贈るほどに親しい師弟関係だったとは...。あらためて東北大学のすごさを実感し、東北大生として誇りに思いました。


今回の記事はここまでです。いかがでしたでしょうか?
東北大生でも知らない歴史だったのではないかと思います。
次回もお楽しみに!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?