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ロシアのおすすめ 【東北大学 阿部恒之教授 Part 3】

こんにちは!

今回は、東北大学の阿部教授へのインタビューのPart 3になります。Part 1やPart 2をご覧になっていない方は、以下のリンクからご覧ください!

Part 1 : https://note.com/jrsu_tohoku/n/n74a66024c3db

Part 2 : https://note.com/jrsu_tohoku/n/naa8ca24d9565

今回は、阿部教授から見たロシアのおすすめポイントや、ロシア人と日本人の性格的な違い、日露交流の今後についてご紹介したいと思います。

ゲスト:阿部恒之教授
東北大学文学部哲学専攻(心理学)卒。資生堂(ビューティーサイエンス研究所)勤務。在職中に,東北大学大学院文学研究科博士課程後期3年の課程編入学(社会人コース),同課程修了。博士(文学)。2005年より東北大学大学院文学研究科心理学講座助教授。准教授を経て,同講座教授。文学研究科副研究科長に就任。

取材・文:小池貴之
東北大学経済学部経済学科4年。モスクワ国立大学に10ヵ月間の交換留学経験あり。


ロシアのおすすめ

阿部教授「ロシアのおすすめポイントとしては、食べ物がすごく日本人に合うということです。びっくりしました。日本でロシア料理はあまりメジャーなものではありませんが、ボルシチやピロシキなど日本人が知っている料理のほかにも、ヒンカリやペリメニなど色々なものがあります。ヒンカリなどは本当はロシアよりもう少し南のものですが、それが全部ロシアに吸収されているわけです。中華料理の「麺食」(粉もの) が、シルクロードを通ってイタリアまで到着し、広義のパスタ (スパゲティやピザ) になったという説もあります。その中間地点であるロシアの南の方ではピザの原型のようなものや餃子のようなものがいっぱいあって、中華料理やイタリアンのニュアンスが含まれているために日本人にとても合うのだと思います。ロシア料理の主役はスープで、ボルシチやサリャンカなど色々な種類がありますが、私が特に好きなのはウハという魚のあら汁のようなスープです。

他にも、昔だったらロシアから日本へ帰る時にホテルのサインが必要だったりしましたが、最近では全然そんなことはなく、むしろアメリカへ行くより楽ですね。ほとんどイタリアやイギリスへ行くのと変わらないし、ヨーロッパよりもロシアの方が日本から近いので飛行機で行くにも時間が多少短くて済むので良いと思います。」

スープ


Memo
 ロシア料理は本当に日本人の口に合うと思います。私が留学している時に日本から家族が来たり友達が来たりしましたが、みんなロシア料理はおいしいと言っていました。やはり寒いロシアではスープがとてもおいしく感じられます。私の好きなスープはハルチョーというスープで、厳密にはロシア料理ではなくジョージア料理ですが、酸味と辛味がきいていてとても美味しいです。ロシアへ行く機会があったら是非食べてみてください!

ロシア人と日本人の性格的な違い

阿部教授「日本人は従順だったり同調圧力に弱かったりして、ある意味大人しい性格で、お巡りさんやお役人もあまり威張りませんよね。でもロシアでは、昔の慣習の名残か、やはり制服を着ている人は強かったり、お役人が強圧的なところはあるかもしれません。あと、日本人のように外国人に道を聞かれた時にしどろもどろしながら英語で頑張って返そうとするようなことはなく、ロシアなんだからロシア語を話せないのが悪いというような態度を全然崩さないですね。しかし、世界中どこでも同じだと思うんですが、親しく付き合っていくとやはり日本人と同じルールで仲良くやれるという感じがしました。

Memo
 実際に現地で留学していた感想としては、たしかに友達になる前は壁があり、それがロシア人の冷たい・怖いイメージにもつながっているのかもしれませんが、一度仲を深めると、とても友達想いで良い人が多いと感じました。調子が悪いと言ったら、「薬を買ってこようか?」と言われたり、友達の家族にバーベキューに誘われたりしたこともあります。人の表面だけではなく、内側をみることの大切さを実感しました。

日露交流の今昔

阿部教授「文化的交流としては昔からあったと思います。私より前の世代では、ロシア文学を読まないと大学生じゃないというような雰囲気もありましたし、ロシア民謡も学生運動のころ歌われていて、その世代の人たちはみんな歌えます。一方で、ロシアの人たちは生け花や小説で我々を見ていると言えます。生け花は日本人の精神性をよく表していると思います。文学も村上春樹や川端康成なんか結構ロシア人に読まれているわけです。だから文学は心情的にお互い肌が合うんでしょうね。あと、今だったら漫画やアニメもそうでしょうね。最近の日本語を学び始める学生のほとんどは、漫画やアニメが入口となっているようです。日本の漫画やアニメは世界に通用して、日本への求心力になっています。その強さは相当なものだなと思いました。

政治上はどうあれ、日本とロシアは文化的には仲良くしようという素地はかなり整ってきていて、少なくともモスクワ大学心理学部と東北大学心理学部の間は、政治的背景などは抜きにして個人レベルで信頼関係が結ばれています。そういう意味では、小さな架け橋ですが、東北大学とモスクワ大学の間には、文化的交流の起爆剤となるようなものがあるのではないかと考えています。」

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ロシア語に翻訳されてている村上春樹の本

Memo
 少し年配のロシア人の方に日本人だと言うと、「トヨタ」や「ソニー」という言葉が返ってきますが、ロシア人の若者に日本人だと言うと、「ワンピース」や「ナルト」といった言葉がよく返ってきます。おそらくこれはロシアだけでなく、他の国でもそういった答えが返ってくるのではないでしょうか。それほど漫画やアニメの影響力というのは大きいということですね。また、今後の日露交流について、東北大学がその架け橋として率先して関わっていけたらいいなと思いました。そのために、我々東北大日露交流サークルも尽力していきたいと思います!


今回で阿部恒之教授へのインタビュー記事は終了となります。
ロシアをご専門に研究されているわけではないため、いわばロシアをあまり知らない私たちと比較的近い目線でのお話を伺えたのではないかと思います。
今後もロシアに関する記事を投稿していきますので、ぜひお楽しみください!

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