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読書録53 麒麟 川島明著「ぼくをつくった50のゲームたち」

「麒麟の川島が出ているなら間違いない」というバラエティ番組を見る上での鉄則が我が家にはある。

低音の特徴的な声で「麒麟です。」と名乗るだけでウケが取れるのは、武器でもある反面ハンデでもあったと思う。

スタジオどころか茶の間まで見通す観察眼や、意外性がありつつも、一言でバサッと斬り落とす珠玉の言語センスが当初は目立たなかったから。

本書は、仕切ってよし、大喜利もよし、ひな壇の奥からもよく通るいい声で切れ味バツグンのお助けアイテムならぬツッコミを飛ばす「芸人界のチートキャラ」がいかに誕生したか?を、彼が楽しんだゲームを通して語る一代叙事詩なのである。

少年期、思春期、青年期の大きく3章に分かれて、各ゲームごとに一記事になっている構成。画面の写真とかは最低限なのだけれど、「芸人としての技量」が最大限活かされていて、とにかく伝わる。

ピコピコした電子音に、仲間たちがひしめく子供部屋に、ポテチの油でベトベトのコントローラーが目に浮かんでくるのである。

バカバカしくて、やたら行動的で、少し切なくて、「芸人 川島明」の紡ぎ出した世界は豊かで温かくとてつもなく楽しい。

この作品をゲーム化してほしいな。
なんて、追体験したくなるような楽しいゲームライフ続編もぜひぜひ!

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