【図解】地下アイドルを定義づけてみる。 地下アイドルはメジャーアイドルの下位互換なのか?

みなさんこんにちは、中谷です。今回は、前回の記事で触れた「地下アイドルの定義」について考えていこうと思います。

はじめに

まず「わざわざ地下アイドルを定義づける」目的をお話させてください。これによって何かをおとしめたり、ランクをつけたり、そんな目的としているわけではありません。「アイドルとアーティストの違いは?」とか「これはイラストではなくアートだ」とか。よくあるじゃないですかそういう論争。それで誰かが言い始めるんです。「この子はアイドルではなくアーティストだ」とか「アイドルに収まる器じゃない」とか。


もうやかましい。ほんとに。そういう目的ではありません。


ただ、定義づけ自体は大事なことなんですよね。これがはっきりとしていれば、ファンは迷わない。アイドル自身も迷わない。この定義づけが広く共有できれば、例えば有名になることを目的としていないアイドルに対して、ファンが「そんなんじゃ有名になれないよ」って言ってしまうというような、善意の悲しい衝突事故がなくなるんじゃないかなって思っています。

もう一つ、前回も書いていますが、地下アイドルはメジャーアイドルの下位互換ではありません。あくまでも『地下アイドル』という、メジャーアイドルとは別の文化です。そこを踏まえた上で一緒に考察していければと思います。


一般的な地下アイドルの定義とは

ではまず一般的に言われている地下アイドルの定義を考えます。

『地下アイドル 定義』で調べると一番上にこの記事がヒットします。
一部引用します。

比較的小規模なライブを中心に活動しているアイドルのこと

2013年 9月の記事です。
もう少し調べてみます。

私が尊敬しております、元アイドルで現在ライターやタレントとしても活躍する姫乃たまさんのインタビュー記事がヒットしました。引用してみましょう。

『職業としての地下アイドル(朝日新書)』によれば(姫乃たま/朝日新聞出版)地下アイドルとは「マスメディアの露出よりも、ライブを中心に活動しているファンとの距離が近い新しいアイドルの総称」

と出ていました。

この記事のインタビューめちゃくちゃいいのでぜひみてください。
そして姫乃さんの著書『職業としての地下アイドル』は、地下アイドル文化を実際のアイドルたちのアンケートを基に分析し、地下アイドルの実態をわかりやすく解説する名著です。ぜひこちらも読んでください。


その他
・ファンとの距離が近い
・メジャーレーベルでCDデビューしていればメジャーアイドル
・地上波で番組を持っていればメジャーアイドル

などが出てきました。

またよくいわれる「地下アイドルとメジャーアイドルの線引き」として、『zeppの壁』が挙げられます。
要は、「2000人規模のキャパシティのライブハウスで、継続してライブが開催できるかどうか」が、地下とメジャーを分ける指標であると。
この2000人という数字が、地下アイドル文化に興味のある人たちの総数ということです。
ZEPPの壁を越えるためには、地下アイドルに興味のない一般層を取り込んでいかないといけない、という話です。

れに関しては、非常にわかりやすい記事が「地下アイドル調査室」さんに上がっておりますので、ぜひご覧下さい。


ここまでの話をまとめると、
地下アイドルというものは
・比較的小規模なライブハウスで活動している
・マスメディアの露出よりも、ライブを中心に活動している
・ファンとの距離が近い
・メジャーデビューしていない
・地上波で番組を持っていない
・2000人規模のライブの継続が難しい
ということです。


認識の差がえぐい。


これ上3つと下3つでかなり認識に差がありませんかね。
ここである仮説が浮かびました。



地下アイドルとメジャーアイドルの線引きは、コアな地下アイドルファンになればなるほど低くなっていき、ライト層になればなるほど上がっていく。


上の3つは地下アイドルという文化の観点から地下アイドルを定義していて、した3つはメジャーアイドルとの比較によって地下アイドルを定義しているんですよね。

そりゃ違いますわ。双方の考え方が違うんだもん。
そして地下アイドル文化の観点から定義できるのは、地下アイドル文化を知っている人たちだけなんですよね。一方で地下アイドル文化を知らない方は、自分の知っているメジャーアイドルとの比較で地下アイドルを定義する(地下アイドルから一歩引いた、一般人の目線で先ほどの記事を書いているのだと思います)。これが、この仮説に至った理由です。


というわけで、一般的な地下アイドルのイメージを図解してみました。

スクリーンショット 2019-11-13 11.54.03

簡潔にいえば、ファンの数によって地上と地下が分けられるワケですね。わかりやすい。集客のところが『地上波の番組』『メジャーデビュー』になっても変わらないと思います。

連盟では、地下アイドルのイメージ調査を一般の方に行っているのですが、そのときにも「売れようとして頑張っている」「アイドル見習い」といった意見をよく耳にしました。


なんとなく真理に近づいてきた気がします。


メジャーアイドルと地下アイドルの関係はプロ野球と高校野球の関係とよく似ている


ここからさらに深く考えてみましょう。
はじめに書いたように、地下アイドルは文化としての側面があります。
分かりやすいところでいうと、プロ野球と高校野球の関係によく似ているかもしれません。



高校球児たちは、全員がプロに行くことを目標としているわけではありません。プロ野球は見ないけども、高校野球はめちゃくちゃ好きというファンも存在します。高校野球のファンは「青春」だったり、球児たちそれぞれのストーリーやがむしゃらに頑張る姿に心を打たれ、応援するようになります。


知人に高校野球の熱狂的ファンがいます。彼はあるとき、夏の甲子園に足を運び、そこで高校野球のファンになり、やがて熱心に高校野球を応援するようになりました。当時はわざわざ有給を取得して甲子園に足を運ぶ程度でしたが、現在ではヒマがあれば、彼の注目する選手が出場する地方の大会へ、なんなら練習試合へも足しげく通っています。そんなにも高校野球の熱狂的ファンなのに、プロ野球は全然見ないのだそうです。

「高校野球だからいいんだよね」

っていうんですけど、


わかる。


その気持ち。


どっちが上とかじゃないんですよね。

高校野球は球児たちのストーリーであったり、あの青春感だったり、3年間という刹那的な感じがたまらなくよくて。

地下アイドルも一緒です。あの距離の近さとか、頑張っている姿とか、いつ見られなくなるかわからない刹那感とか(これは地下じゃなくても同じかもですが)がいんですよね。この良さはファンによって様々だと思いますが

高校野球という文化があるように、地下アイドルにも「地下アイドルの文化」が存在するんですね。

地下アイドル文化の実態

じゃあ地下アイドル文化の根幹ってなんだろって話なんですが、これが

『比較的小規模なライブハウスで活動している』
『マスメディアの露出よりも、ライブを中心に活動している』
『ファンとの距離が近い』

ここじゃないですかね?

特に『ファンとの距離が近い』

ファンとの距離を近くしている要因が

小規模なライブハウスでの活動もライブ中心の活動だということです。

地下アイドルは有名になってはいけない

この距離感こそ、地下アイドルを地下アイドルたらしめている要因なのであれば、地下アイドルを自称するグループは有名になってはいけないんです。逆にいうと、有名になることを目的としていないアイドルたちが「地下アイドル」と言えるのかもしれません。ファンはアイドルとの距離の近さが好きで、アイドルと間近で会うためにライブに行く。地下アイドルはファンたちの要望に応え続ける。有名になるために活動するよりも、ファンとのふれあいを大事にしている。


新たな地下アイドルの定義

というわけでここから導き出される新たな地下アイドルの定義は

活動目標を『有名になること』より、『小規模のファンとライブを通じて交流すること』に重きをおくグループ

というのはどうでしょう。

つまり下記の図のようになります。

スクリーンショット 2019-11-13 14.12.26


有名になりたいけどまだ慣れていないアイドルたちは地下アイドルでも地上アイドルでもない何か別のグループに属する。ということになりますね。

これを仮に halfway up idolと呼ぶことにしましょう。

ダサいですかね?とりあえずこれで行きますね。

halfway up idolと地下アイドルでは
収益の使用目的も違います。(生活するためのギャラっていう所は共通です)
地下アイドルは次回のライブの資金を得るためにライブをします。
halfway up idolは知名度を上げるための施作を打つための資金を調達します。

ファンも地下アイドルという文化が好きな人たちは地下アイドルのライブに行けばいい。

有名になるために頑張っている姿をみて一緒に応援したいファンはhalfway up idolのイベントに行けばいい。

これで、世間からの誤解やアイドルとファンの衝突など、別の問題も解決できる可能性が高まります。さらに地下アイドルが「メジャーアイドルの下位互換」のような扱いを受けることもなくなるのではないでしょうか。







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