「パリ・ロンドン放浪記」ジョージ・オーウェル
ジョージ・オーウェルは「1984年」だけじゃない。
この放浪記は面白い。
「1984年」は一回読んだらお腹いっぱいだったが、放浪記は何度も読める。
1920年台のパリとロンドンで貧乏旅行した話。実際にオーウェルが旅してまとめたルポタージュ。
前半がパリ、後半はロンドンの旅行記となっている。
パリ編では、お金がなくなってホテルレストランの厨房で下働きをする。レストランの裏側が汚い。材料も粗悪品。なのに、ホテルレストランはたいそう繁盛している。
うーん。これ今もありそうな話だな。いや清潔なお店もあると思うけど、きっと放浪記のレストランみたいなの今もあるはず。
貧民街に滞在するのだが、奇人変人がたくさん。
レストランも貧民街も、なんやかんや活気がある。不衛生だけど。
不潔の描写がうまい。
変わってロンドン。ロンドン編は少しシリアスというか、活気はあんまりない。
ロンドンではホームレスとともに各地を放浪する。なぜホームレスが放浪するかというと、一箇所にとどまるとその自治体の経済的負担になるから。だからぐるぐる移動させる。
社会に対するオーウェルの考察が時々挟まれつつ、旅の様子が綴られていく。
社会のしくみって、結構今も同じなんじゃなかろうか。100年前ってすごく昔に思えるけど、この本で考察されていることは今にも当てはまることがたくさんある。
貧乏旅行なので、全体的に不潔な描写が多い。そういうのが苦手でなければきっと面白く読める。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?