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知ってるよ 



知ってるよ
空が
あのこの孤独を知っていたのを
どこまでも広い空が とうさんのようで
あのこは いつまでも眺めていたのを

知ってるよ
風が
かあさんみたいにそよと吹いて
いつも あのこを見つめてたのを
吹き過ぎては その頬を包んだ

あの広場の片隅で咲いていた
小さな名もない花

花冷えの夕にも 
いつだって
風はそっと寄り添って 
あのこを抱いてた

あの子が 吐息のように
「あの」と言い
訳もなく零したなみだひとつ
ひたひたとみずいろの
なにか分からないものが
小さなからだを満たしていった日

寂しいのかい
ううん

わたし知ってるよ
花冷えの夕
いつだって
南風が
寄り添って あのこを抱いてたのを
空が
いつまでも そっと見つめ続けてたのを
わたし 知ってるよ

季節のかけらが あたたかいって
ことを教えてたこと

あったかいかい?

約束通り花はまた咲き
新しい春
あのこは微笑んでた
その傍にもう一輪
咲いていたのを私 知ってるよ








もし 心に留まって下さったら、、、本を出すと言う夢に使わせていただきます。