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古い記憶

私が5歳くらいの頃、サンタクロースに繋がる電話番号というのがあった。


どこでその番号を知ったのか忘れてしまったんだけど、電話をかけるとサンタクロースの声が聞けるというもの。

なにかの子ども向け商品のキャンペーンだったのだろうか、、

保育園から帰ると、親に怒られるまで何度もその番号に電話をかけて遊んでいた。

音声テープが一方的に流れるだけ、という幼稚なつくりだったけど、自分ひとりで電話をかけてそれが繋がる!という、ちゃんとした目的で本物の電話を使う、というのが嬉しかった。

受話器から聞こえてくる、穏やかで優しいサンタクロースの声。

しかし、会話ができると思っていたのに、サンタクロースだけが話していて変だな、と思ったし、「クリスマスのときだけ良い子にしてちゃだめだよ」と、どこかで聞いたことのある言葉を言っていて、「サンタクロースもお説教すんのか…」と、少しがっかりもした。

でも、それよりもサンタクロースの声が聞けるというのがめちゃくちゃ嬉しかった。

なんでサンタクロースは日本語で話してんだろう?とか全く思わなかった。

サンタクロースは確実にいる!
そして私、サンタクロースと電話した!

と、キッズマウントが出来上がってしまうほどテンションが上がっていた。

夢のあるステキなキャンペーンだったなぁと思う。


ある時ふと思い出して、その番号にかけると、「ツー…ツー…」と音がして、サンタへは繋がらなかった、、


私も成長し、いろんな大人の事情が分かったのだ。虚無ってしまった、、


今でも思い出す、私の古い記憶です。


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