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ドル基軸通貨制度・終わりのはじめ最終回 終わりのはじめの終わり


プーチンがとうとう言ってしまった。
「BRICSはドルに代わる準備通貨を作る」


何度も言ったようにもともとドル基軸通貨制度なんていつか終わって当然だった。
ドルにかぎらず、ある国の固有の通貨が基軸通貨であることには根本的なジレンマがあった。

【流動性のジレンマ】 の解説

特定の国の通貨を基軸通貨とする国際通貨制度のもとでは、基軸通貨の供給と信用の維持を同時に達成できない、という矛盾。イェール大学の経済学者ロバート=トリフィンが1960年に指摘した。流動性ジレンマ。トリフィンのジレンマ。→ドル基軸通貨体制

[補説]ブレトンウッズ体制(金ドル本位制)のもとで、基軸通貨国である米国が、国際貿易の拡大に応じて、国際流動性を供給するためにドルを供給し続けると、米国の国際収支は赤字となり、ドルの信認は低下する。米国がドルの価値を維持するために国際収支を改善する政策をとると、国際流動性が不足し、世界経済の成長を阻害してしまう。
goo辞書

そこにリーマンショックだ。

ポストクライシスの国際通貨体制を考える ~基軸通貨の将来像とアジアの使命~


https://www.iima.or.jp/files/items/2067/File/OP_No21_j.pdf

第二は、金融市場が沈静化するにつれて、ドルの役割への疑問が提示されたことです。 2009 年 3 月、中国人民銀行の周小川総裁は、基軸通貨として必要な価値表示、決済、準備 機能を一国の通貨である米ドルに過度に依存する現在の通貨体制に強い懸念を表明し、注 目を集めました。周総裁は、基軸通貨の機能は国際公共財であり、したがってその機能は 特定国の国内事情に左右されるべきではないとし、SDR の活用と人民元を SDR 構成通貨 に採用するよう主張しています。 ドルを基軸とする現在の通貨体制には、アメリカの強大な経済力、軍事力、情報力、技 術力など総合的な国力が他を寄せ付けないという背景があります。しかし、今回の危機か らの回復過程で、世界の景気回復のリード役となったのはアジア、特に中国の景気回復で した。また、今後中国がアメリカと拮抗するスーパーパワーになってゆくとの見方や、経 済の重心が西から東に移動している流れが顕著に見えてきたという背景もあり、周論文は 大きな話題となりました。

さて、今回の危機の過程で、安定的な通貨体制こそ経済成長の基盤であり、特にアジア においては保護主義の防止と成長持続のためにそれが不可欠であることを改めて認識しま した。将来の通貨体制に関する論点は次の 3 つに分類できるでしょう。
1)新たな国際準備通貨の創設
2)ドル、ユーロ、そしてアジアを代表する通貨からなる三極通貨体制
3)現行ドル体制の修正 

国際通貨研究所
https://www.iima.or.jp/about/greeting/

・・・2010年にはこんなことが言われてたわけです。

プーチンが「作戦」を始めて、今までわからなかった(ドル基軸が)「いつ、どんな終わり方をするのか」がかなりわかってきたわけですが・・・
まず、新たな国際準備通貨。これはBRICSでつくる。通貨バスケットをつかう。
貿易の決済は、自国の通貨でやる。
これは中露、印露、トルコ露で進んでる。ほかにも進んでる組み合わせもあるとおもうけどもう把握しきれん(>_<)

An agreement on expanding the use of national currencies in mutual trade will be adopted at the SCO summit - Lavrov The 2022 annual summit of the SCO Heads of State Council will be held on September 15-16 in Samarkand

とうぜん基軸通貨の地位を失ったドルは暴落の危険があるわけですが・・・
ここでユーロが問題になる。

もともとユーロはもっとも有力なドルに対抗する通貨だった。いまは人民元かも知れないけど。で、これからユーロの地位が上がるのかというと・・・
それどころじゃないのだ。
EUがやばい。

これロシア大使館のツイートなんだけど(爆)
The #Canadian government has decided to sidestep its own anti-Russian restrictions & return the ‘Nord Stream’ gas turbine to #Russia via #Germany, despite criticism from #Ukraine. The decision followed Berlin's pleas for Ottawa amid growing energy shortage. #WinterIsComing

ハッシュタグが「 Winteriscoming 」(笑)
いや笑ってる場合じゃない。「ヨーロッパ人は」。


日本にもいまだに(対ロ経済制裁が)「そのうち効いてきて」どーのこーの
言う奴がいるけど、ヨーロッパ人は「この冬、生き延びれるか」が問題になってるのだ。
ガス遮断の問題でヨーロッパ人をからかったことがあるんだけど、こんなことを言う。
I expect it to be cut of completely before winter. But that’s a one time card to play, and if we get through that Russia is effectively cut off from the European economy. So yea it might be a winter with sweaters and thick socks, but we will survive those few months
「survive」なんて言ってるよ。
それも「この冬だけ耐えられればいい」と。
そんなに甘くないと思うけどね。

なんでこんなことになったのか。
ラブロフは言う。
「欧州は米国よりも反ロシア制裁に苦しんでおり、おそらくワシントンは EU を弱体化させたい」

どう考えたってコレでしょ。
しかも「プーチン悪魔化」によって制裁の効果を合理的に判断することさえ阻害されてる。
正義=反ロシアの側に立つなら、黙って寒さに耐えろ、凍死しても耐えろと。
これでEU経済がホーカイし、さらにアメリカからの燃料輸入が増えれば、ユーロはドルに対し滅茶苦茶に下がることになる。
これでドルは「一人負け」を回避し、縮小されたドル支配権の中で優位を保てるわけだ。

反ロシア側が「ロシアがウハウハになって制裁した側が苦しむばっかの経済制裁」をむりやりやる(やらせる)理由を合理的に説明できるのは、これしかない。

最初は黒幕(DSだかネオコンだか)にはロシアを植民地化したいって野望があったんだろう。実際、エリチンの時代にそうなりかかった。
プーチンにひっくり返されて以来、彼らはプーチンを目の敵にしていた。
「プーチンはヒトラー以下だ」なんて最近はじまったわけじゃない。
ずっと前から一部の人間は言っていた。ヒラリーとかね。
でもある時期から、それは諦めたんじゃないか。
それどころかロシアが経済封鎖にも耐えられるほど強くなり、さらにドル基軸を崩しにかかるってことにも気づいただろう。なんせコレだもの。

そこで目標をEUの弱体化に変えた。
西側でやってるとんでもない反ロシアのデマによる洗脳。
あれが何の役に立つのか。
ウクライナの戦況も、ロシアのプーチン絶対支持の世論も、変わりはしない。
ただEUの自滅を促すだけだ。

というわけで、冬が来る。

さいわい日本はEUほどひどいことにはならない。
だからノーテンキなウク信者がへらへらしてられるって面もあるけどね(爆)
まあこの冬、ヨーロッパがどうなるか、じっくり観察しよう。

おわり。

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