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最終回 本当の家族



 美月母が家族として認められてから1週間が経った。


美母:おはよう○○君。

○○:・・・おはようございます。

美月:ねえねえ。

○○:・・・なに?

美月:いつになったら、″お姉ちゃん″って呼んでくれるの?

○○:・・・一生呼ばない。

美月:なんでよ!はい!リピートアフタミー!お姉ちゃん!

○○:黙ります。はいリピートアフタミー。

美月:黙ります!って違う!

○○:黙りますって言ったからな。黙って飯食え。遅れるぞ。

美月:ぐぬぬ。・・・いただきます。


学校


美月:はぁ~・・・

史緒里:何を落ち込んでんの?

美月:お姉ちゃんって呼ばれない・・・

史緒里:・・・良いんじゃない?呼ばれなくても・・・

美月:なんで?

史緒里:お姉ちゃんって呼ばれるって事は、女の子として意識されてないって事だよ?

美月:・・・なるほど!

宮島:何の話?

史緒里:宮島君・・・美月がお姉ちゃんって呼ばれないって話。

宮島:ふうん・・・どうにかしないとな。

二人:何が?

宮島:いや。こっちの話だよ。

二人:・・・?


昼休み・屋上


宮島:悪い。遅れた。

○○:いえ。

宮島:例の件だけどさ。

○○:はい・・・どうでした?

宮島:結構気にしてたぜ。

○○:やっぱり・・・

宮島:お前の方こそ、何をそんなに気にしてるんだ?

○○:・・・ありがとうございます。先輩。相談に乗ってくれて。じゃあ・・・失礼します。

宮島:○○・・・言っとくけど!美月は気にしてないと思うぞ!お前が思ってるようなことはきっと無い!

🚪バタン

宮島:・・・○○・・・


○○:今更・・・言えないよ・・・


美月side・自宅


美月:○○君は?

美母:バイトだって。

美月:ふうん・・・

美母:気になるの?

美月:うん・・・

美母:・・・お姉ちゃんって呼ばれたい?

美月:うん。一度で良いから呼ばれたい。

美母:そう・・・○○君も、ホントは呼びたいんじゃないのかな?

美月:え?

美母:・・・呼びたいけど呼べない。

美月:・・・

美母:そういう可能性もあるんじゃない?実際、私もお母さんって呼ばれてないしね。

美月:一回呼ばれてたじゃん。

美母:あの時だけだもん。

美月:・・・呼びたいけど呼べない・・・っか・・・

美母:あくまでも可能性の話よ。後、あんまりぐいぐい行くと嫌われるよ。

美月:うぐっ・・・気をつけます・・・

ガチャ🚪バタン

二人:あ、おかえり。

○○:・・・ただいま・・・

美母:ご飯は?

○○:あ・・・食べてきました・・・

美母:そっか。じゃあ、お風呂入っちゃって。

○○:分かりました。


数分後・・・


ガチャ🚪バタン

○父:ただいま。

二人:おかえり。

○父:あれ?○○は?

美月:部屋に居るよ。

○父:そっか・・・


○○の部屋


🚪コンコン

○父:○○。ちょっと良いか?

○○:・・・うん。

ガチャ🚪バタン

○父:これ。

○○:?ケーキ?

○父:そう。偶には良いかなと思ってね。好きだろ?ショートケーキ。

○○:・・・うん!




○○:パクッ👄んっ!美味い!

○父:そっか。良かったよ。・・・

○○:パクッ👄ふふっ。

○父:○○。ちょっと聞きたいんだけど、良いかな。

○○:?うん。どうしたの?

○父:・・・二人の事、どう思ってる?

○○:・・・二人って・・・

○父:母さんと美月ちゃんの事だよ。

○○:・・・家族って思ってるよ?

○父:じゃあ・・・なんで呼ばないんだ?母さんって、お姉ちゃんって・・・

○○:・・・呼べない・・・

○父:どうして?

○○:呼べる訳ないじゃん。今更そんな・・・

○父:・・・酷いことをしたからか?

○○:酷いこと言ったし・・・

○父:気にしてないと思うけどな。

○○:・・・俺が気にするんだよ。俺には、あの人達の家族を語る資格はない。

○父:・・・二人は待ってるよ。○○が、二人を呼ぶことを。

○○:父さん・・・

○父:・・・とりあえず、ケーキ食べな。

○○:・・・うん・・・

○父:・・・(心:やっぱりそういうことか。)


翌日


啓太:おはよう○○。

○○:おはよう啓太。

美月:おはよう啓太君!

啓太:おはようございます。お姉さん。

○○:お姉さん?

啓太:○○の姉ちゃんだから、お姉さん。普通だろ?

○○:・・・俺の、姉ちゃん・・・っ!やめろ。

啓太:○○?

○○:・・・ごめん。先行ってる。

啓太:あ、おい!

美月:・・・○○君・・・

啓太:・・・何か有ったんですか?

美月:まあ、ちょっと・・・

啓太:・・・あ、お姉ちゃんって呼ばれないから、ですか?

美月:なんで分かったの?!

啓太:なんとなく?てか、ホントにそうなんですね。

美月:うん。

啓太:・・・気にしてるんじゃないですか?これまでの事を。

美月:?これまでの事?

啓太:はい。その、色々酷いこと、言っちゃったみたいですし。

美月:あ・・・

啓太:今更、家族面出来ないんだと思いますよ。○○は結構気にしいですから。

美月:・・・

啓太:一度話してみたらどうですか?

美月:あ・・・うん。やってみる!ありがとう啓太君!

啓太:いえ。俺は、○○が幸せになってくれればそれで良いですから。

美月:そっか。ありがとう。

啓太:はい。

 そして、その日の夜。山下家家族会議が開かれた。

○○:・・・

美月:今日は、大事なお話があります。

全員:・・・

○父:何かな?

美月:山下家の今後についてです。

美母:今後?

美月:うん。血は繋がってないけど、私達は家族です。お父さんはお父さん。お母さんはお母さん。そして私は長女で、○○君は長男です。

○父:そうだね。

美月:でも、私達はまだ、ホントの家族にはなり切れてない。

○○:・・・

美月:○○君!

○○:っ!何?

美月:啓太君に聞いたの。これまでの事、気にしてるんじゃないかって。それで、色々納得しちゃって・・・お願い。ホントの事を教えて?

○○:・・・関係ないでしょ・・・ほっといて・・・

美月:ほっとけないよ!

○○:っ!

美月:そんなに苦しそうなんだもん。そんなアナタをほっとくなんて、私には出来ない。

○○:・・・なんでそんなに・・・

美月:す、好きだからだよ!/////

全員:・・・

○○:・・・え?は/////え?好き?

美月:○○君が好きだから!気にするんだよ!

○○:・・・

美月:私、アナタに一目惚れしちゃったんだもん!なのに女嫌いだって知って!しかもそれには昔のトラウマが関係してて!もう、失恋したんだもん!

美母:美月?話逸れてない?

美月:でもやっぱり諦められなくて、アナタのことを助けたいって思うようになって!そして一度、お姉ちゃんとして認められた!なのに今またこんなになってる!一体、アナタに対する私の気持ちはどうなってんの!

○○:お、お前の気持ちなんか知るかよ!俺は!二人に散々酷いことを言った!そんな俺が!今更家族なんて言えるわけ無いだろ!

全員:・・・

美月:やっと話してくれた。

○○:・・・

美月:気にしなくて良いんだよ?

○○:でも・・・俺は二人に・・・

美母:ギュッ

○○:!?

美月:・・・ギュッ

○○:止めろ・・・

美月:止めない。

○○:止めろ・・・

美母:止めない。

○○:っ!なんで・・・そこまでしてくれるの?

美母:家族だからだよ。

美月:家族なんだから助けるんだよ。理由はそれだけ。

○○:・・・

美月:ホントの事を教えて?今の、○○君の本心を、聞かせて欲しい。

○○:・・・俺・・・俺は・・・二人と、家族になりたい・・・!グスッ😢ウアアアアン😭

美月:グスッ😢ギューーッ

美母:グスッ😢ギュッ

○父:🙂ギュッ

美母:なりましょう!家族に!

美月:なろう!家族に!

○父:山下家、ここに再出発だ!

美月と美母:おぉー!

○○:グスッ😢うん!

○○以外:🙂

翌日・・・

美月:おはようお母さん!

美母:おはよう。

美月:お父さんもおはよう!

○父:おはよう!

美月:○○君は?

○父:まだ寝てるんじゃないかな。今日は土曜日だし。

美月:そっか・・・

ドタバタドタバタ

美月:?なんか、騒がしくない?

美母:そういえばそうね。

○父:○○が起きたかな。

ドタバタドタバタ🚪ガチャ

○父:やっぱり。おはよう○○!

○○:おはよう!いってきます!

○父:え、もう?今日は土曜日だぞ?

○○:バイトがあるの!

○父:あ、成る程な。

○○:そうだ!良かったら来てよ。バイト先のファミレス。

○父:偶には良いかもな。

美母:そうね。

美月:楽しみだなぁ!

○○:じゃあいってきます!

三人:いってらっしゃい!

美月:・・・あ!お姉ちゃんって呼ばれてない!

美母:・・・

○父:ハハッ😄


バイト先


🚪カランコロン

○○:遅れました!

高村:おぉ、来たか。ギリギリセーフだよ。

○○:良かった。

啓太:珍しいな。○○が遅刻寸前なんて。

○○:色々有ってね。

高村:じゃ!今日も一日頑張ろう!

○○と啓太:はい!

 それから開店時間になり、いつも通り注文の料理を作っていた。そしてお昼のピークが少し去った頃、父さん達がやって来た。

🚪カランコロン

啓太:いらっしゃい・・・あ、おじさん!

○父:やあ!○○に誘われて来たんだ。

啓太:○○が・・・へぇ~・・・あ、じゃあ席に案内しますね。

美月:お願いします。

美母:素敵なお店ね。

啓太:ありがとうございます。

美月:それで、○○君は?

啓太:○○はキッチン担当なんですよ。

美月:そうなんだ。

○父:○○の料理は美味しいからな。

美月:へぇ~・・・早く食べてみたいなぁ。

啓太:注文が決まりましたらお呼び下さい。

○父:あ、じゃあ良いかな。

啓太:はい!

○父:スパゲッティを一つ。

啓太:スパゲッティをお一つ。

○父:二人はどうする?

美母:じゃあ、オムライスを一つ。

啓太:オムライスがお一つ。

美月:えっと、じゃあ・・・ナポリタンを一つ。

啓太:かしこまりました。少々お待ちください!

美月:楽しみだね。

美母:そうね。

○父:二人は初めてだもんね。○○の料理を食べるのは。

二人:うん。


キッチン


啓太:注文入りました!スパゲッティを一つとオムライスを一つ。そしてナポリタンを一つです!

○○:了解!啓太、これ4番テーブルのリブステーキ。

啓太:了解!あ、○○。おじさん達来てるぞ。

○○:・・・分かった。

啓太:🙂

高村:○○、次の注文いけるか?

○○:大丈夫です。

高村:オッケー。じゃあナポリタンを二つだ。頼む。

○○:了解!

数分後・・・

啓太:注文入りました!スパゲッティを二つです!

○○:了解!啓太!6番テーブル!スパゲッティとオムライスとナポリタン。宜しく!

啓太:了解!


ホール


啓太:おまたせしました。スパゲッティとオムライスとナポリタンです!

○父:ありがとう。

美月:凄っ!美味しそう!

美母:そうね!

三人:いただきます!パクッ👄ん!美味しい!

啓太:○○も喜びますよ。呼びましょうか?

美月:大丈夫。仕事の邪魔はしたくないから。

啓太:🙂分かりました。ごゆっくりどうぞ。

更に数分後・・・

 お昼のピークが完全に去り、キッチンも落ち着いた頃、俺はそっとホールを覗き込んだ。

○○:・・・あ・・・

 其処には、美味しそうに料理を頬張る、父さん達が居た。

高村:ん?どうかしたか?

○○:あ、いえ。ちょっと。

高村:気になるのか?6番テーブルが。

○○:まあ、そんな感じです。

高村:知り合いなのか?

○○:・・・俺の・・・

高村:?

啓太:・・・

○○:・・・🙂俺の″家族″です。

啓太:!?

○○:父と、″母″と″姉″です。

高村:・・・そうか・・・なれたんだな。本当の家族に。

○○:・・・🙂はい。

啓太:😄

○○:・・・ちょっといってきます。

高村:ああ。

○○:いらっしゃいませ。

○父:○○。仕事は?

○○:一旦片付いたよ。

美月:そうなんだ。あ、料理!スッゴく美味しかったよ!

○○:お口に合ったようでなによりです。

美月:なんか他人行儀だな。

美母:仕事中なんだから当然でしょ。

客1:料理、スゴく美味しかったです。

客2:また食べに来ますね!

○○:ありがとうございます。またお越しください。ありがとうございました。

美母:お客さん、居なくなっちゃったわね。

○○:もう閉店のお時間ですから。

美月:もう?

○○:土曜日は午前中で終わりなんです。

高村:○○!もう上がって良いぞ!

○○:え?でも片付けとかが・・・

啓太:気にすんなよ。折角本当の家族になったんだから、家族みんなで帰れよ。

○○:啓太・・・じゃあ、お先に失礼します。

高村:ああ。

○○:着替えてくるからちょっと待ってて。

○父:分かった。

○○:今日は来てくれてありがとう。父さん。

○父:ああ。

○○:また来てね・・・父さん。・・・″母さん″と″姉ちゃん″も一緒に。

美月と美母:・・・え!?

○父:○○・・・😀

○○:・・・じゃっ!

美月:・・・お母さん、今・・・

美母:ええ。

○父:母さんと姉ちゃんも、か・・・

美月と美母:やったー!ついに呼ばれたー!

○父:😄

○○:・・・/////🙂ありがとう。母さん。姉ちゃん。

 とうとう○○は、美月と美母の事を母、姉と呼ぶようになった。これで正真正銘、○○と美月達は家族になったのだった。ちなみにこの数年後、美月の恋も成就するのだが、それはまた、別のお話である。



義弟との距離  完結




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