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臨床推論 Case40

Oxford Medical Case Reports, 2021;10,403–406


【症例】
71歳 男性
36pack yearの喫煙歴あり

【主訴】
咳嗽、呼吸苦

【現症/現病歴】
⚫︎ 1週間続く咳嗽、呼吸困難のため受診
⚫︎ ペットやシックコンタクトなし

⚫︎ RR26bpm SPO2 93%(RA)で熱なし、肺雑音なし
⚫︎ラボは以下の通りKL6高値

⚫︎CTでは末梢側優位にGGOを認めた

⚫︎ コロナ検査は陰性だったが否定はできず隔離で入院となった

⚫︎ ABPC/SBTで治療開始したところ翌日には改善し、3日目にはXPで正常になっていた
⚫︎ この早い改善から過敏性肺臓炎が疑われた
⚫︎ 問診で超音波による加湿器を一ヶ月前から使用し始め、全くタンクの手入れをしていないことが判明した

What’s your diagnosis ?








【診断】
加湿器肺

【経過】
⚫︎ HRCTをよくみるとモザイク状の分布のGGOと気管支粒状影を認め、HPらしく、COVID19としては非典型であった
⚫︎ チャレンジテストを行ったところ6時間後に発熱、咳嗽、呼吸苦が出現した
⚫︎ CTは改善していたところが再増悪していた


⚫︎ WBC33000 CRP9.61と増悪した

⚫︎ 加湿器の培養提出したところマルトフィリア、アシネトバクターなど多菌種が培養された
⚫︎ PSL30mgで開始してテーパリングして治療し、症状なく退院となった

【考察】
⚫︎ 加湿器肺は細菌、真菌、エンドトキシンの混じった蒸気を吸うことで起きる
⚫︎ 急激な経過で発症する 発熱 咳嗽 呼吸苦 CTでGGOを認める

⚫︎ COVID19の画像は末梢側優位のGGO±コンソリデーションである
⚫︎ これに小葉中心性陰影があれば違う疾患を考える必要がある

⚫︎ HPはGGOと辺縁不整な結節陰影が混在するのが特徴
  airway trappingを反映してモザイク状になり、肉芽腫性気管支炎を反映して結節がみれる

⚫︎ HPでも夏型過敏性肺臓炎と加湿器肺は若干プレゼンが違う
・加湿器肺の方が早く進行、KL6が低値、小葉中陰性結節影が少ない、BALで好中球が上昇しやすく、リンパ球が少ない、病理で肉芽腫が少ない

⚫︎ 加湿器肺はレアだがCOVID流行に伴い増えている

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