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多様な働き方への対応 ~労働基準法の見直しへ~

  みなさまこんにちは。よこちょうです。

 11月も下旬を迎えましたが、上旬は季節外れの暖かさでした。寒さに体が慣れていないので、いきなり寒さが到来すると体調管理も大変ですよね。
 皆様もご健康に留意されますよう願っております。

 さて、社労士法人のお手伝いを始めてから、新聞記事を見るにつけ、厚生労働省関連(つまり「働く」という事に関連する内容)の記事が本当に多いことを実感しています。
 また、分野も労働環境であったり、報酬関連であったり、福利厚生、年金や健康保険などの社会保障など様々な分野で議論が日々行われていて、当初ブログもすぐネタ枯れになるかと心配していましたが、どうやらその心配もなさそうです。(しかしながら、取り上げるトピックスに関する理解が追い付かないという問題はありますが(笑))

 今回は、厚生労働省が、労働分野の有識者において議論されている「労働基準関係法制研究会」に示した議論のたたき台について考察してみたいと思います。
 まだ議論段階ですし、なんか仰々しいですが、今後話題になりそうですので、ぜひお付き合い頂けますと幸いです。


【タイトルネタの紹介記事】

 本タイトルに関連した記事ですが、11月13日付日本経済新聞朝刊5面でご紹介されています。(会員以外の方は冒頭のみ参照可能です)

 また、YahooニュースのこちらのURLでも紹介されています。

 冒頭でもご紹介しましたが、厚生労働省が11月12日に労働基準法の見直しに向けて報告書のたたき台を作成した記事です。「労働基準関係法制研究会」において、2024年度内に予定している報告書のとりまとめに向けて議論が続く事になります。また、労働政策審議会でも議論が今後行われ、早ければ2026年の法改正を目指す方向性のようです。

 内容が多岐に渡るため、概略を次の項目においてご紹介しますが、これから総人口/労働者減少社会が訪れ、企業の人手不足が顕著になる中で、現実を踏まえどのような施策を取っていくのか注目される所です。

【厚生労働省が示したたたき台の概略】

 さて、厚生労働省が示したたたき台の中身はといいますと、以下のURLで公開されています。(ページ内の資料1がたたき台です)

 この中身を見てみますと(定義などの説明もありますので、主要な所の抜粋となりますが)、ポイントは以下の点になるかと思います。

  • 労働基準法自体の見直しの必要性
    1947年に旧工場法を引き継いで制定された労働基準法は、その名の通り工場労働が前提になっており、法改正などは行われているものの、時代の変化に応じた働き方の広がりに対応した形に抜本的に改正が必要。

  • 労使コミュニケーションのあり方についての検討の必要性
    労使が対等に協議して合意できる環境の整備が必要。使用者側で調整にあたる労働組合もしくは過半数を代表する者についての現状を踏まえた改善により労使コミュニケーションの円滑化を検討していく必要がある。

  • 労働時間法制の改善の必要性
    働き方改革関連法が5年を経過し、導入後の現況を踏まえ対象とされなかった部分を含めた制度研究が必要である。

 内容が多岐に渡りますが、新聞社各社(Webサイトはほぼ有償で全部見れませんが)のタイトルなどを見る限りでは、以下の内容が注目されているようです。

  • 13日を超える連続勤務の禁止
    労災の認定基準である2週間以上の連続勤務を防ぐ観点から、上記内容の規定を労働基準法上に設けることを検討

  • 勤務間インターバルの導入促進と法規制の検討
    勤務間インターバル時間を11時間とすることを軸としつつ、より多くの企業が導入しやすく、実効性が高まる形を模索
    → このポイントは意見が分かれている状況になっているようで、いくつかの意見が併記されています。

  • 副業の割増賃金算定の際、本業と副業の労働時間を合算する現行制度の見直し
    本業と通算した労働時間が1日8時間/週40時間を超えた際に割り増し賃金を払う仕組みの廃止(一方で労働者の健康確保のための労働時間の通算は維持)

  • テレワークの実態に合わせたフレックスタイム制の導入
    特定の日について、始業と終業時刻を使用者が決定する制度の導入により、テレワーク/通常勤務混在でもフレックスタイム導入が可能

  • 「過半数代表者」の機能強化
    労働組合のない企業における、過半数代表者について選出手続き、情報提供や配慮、適正人数、環境整備など、使用者側との円滑なコミュニケーションにおける課題の解決を積極的に行う必要性

 この話題でWebページを検索すると、地方新聞を含めかなりの数のページがヒットし、注目度の高さがうかがえます。
 年度末に向けて報告書をまとめていくようですので、最終報告がどのような形になるか。特に現状意見が併記されている、勤務間インターバルについてなどは特に注目していきたいと思っています。

【多様な働き方に向けて法改正の必要性:考察】

 今回、こちらの記事を目にしまして、改めて厚生労働省のたたき台を読んでみまして、実は私が一番感じたのは、おそらく皆様が注目されるであろう、働き方に関する内容(フレックスや副業に関する内容)ではなく、

 「労使間コミュニケーション」の重要性ですね。

 法改正に伴い、各社において制度/就業規則などの変更が必要となるかと思いますが、当然ながら使用者側が一方的に行う事はできません。労働組合や労働者の過半数を代表する者 つまり労働者側の合意が必要となります。
 労働組合については、昨今組織率の低下が著しい旨の話を聞きます。こういう話題になると、当然ながら従業員の意識づけを進めるためにも組合の活性化は必要になると思います。
 それ以上に、おそらく大多数である、労働組合が存在しない中小企業の皆様においては、必要である「従業員の過半数を代表する者」について、その選出から交渉にあたっての知識、そういった仕事(業務外)への配慮、交渉時の力関係など、実態はなかなか厳しいものがあるような気がします。
 今回、このたたき台においてかなりの紙面を労使コミュニケーションに割いているのは、そういった実態を踏まえてのものと思料します。

 あと、安全衛生面の課題も中小企業の皆様には切実な話題かと思います。勤務インターバルや連続勤務で触れられている、休憩/休日に関する内容は、従業員の健康を担保するためには間違いなく考慮が必要な内容となります。これらが確実に施行され、よりよい環境になる事を望むばかりです。

 いかがでしたでしょうか。今回話題とさせていただきました、人事労務系の話題はもとより、働き方、退職金関連など、相談先にお困りでしたら、ぜひ社労士法人JOYのお問い合わせからご相談下さい。

 ぜひ以下のURLからお気軽にご相談下さい。

 次回もぜひお楽しみに!