Bayer社のトップはCOVID-19ワクチンが遺伝子治療であることを認めたりしてはいません。

Bayer社の製薬部門トップは、COVID-19ワクチンが遺伝子治療であることを認めたのでしょうか?Bayer社のStephan Oelrich氏の発言は、文脈から(悪意を持って)切り出されたものであり、事実ではありません。製薬業界のイノベーションについて、彼は、COVID-19ワクチンは、細胞治療や遺伝子治療のような将来の新しいイノベーションを国民が信頼する道を開く技術革新の一例であると述べました。彼は、mRNAワクチンが細胞・遺伝子治療であるとは言っていません。それらは遺伝子治療ではなく、DNAを改変するものでもありません。

この主張は、2022年6月21日のインスタグラムの投稿で、「mRNAワクチン(について)暴露!Bayer社がCOVID-19ワクチンが遺伝子治療であることを認めた」 というタイトルで投稿されました。冒頭は次の通り:

製薬大手Bayer社のトップ、Stefan Oelrich氏は、COVID-19ワクチンが実は遺伝子治療であることを認めている。

https://www.instagram.com/p/CfEdWjMMjWl/ 

記事執筆時のInstagramでは、以下のような投稿がありました:

(出典:2022/06/22 水曜日 20:42:15 UTCに取得されたInstagramのスクリーンショット)

投稿には、Bayer社の取締役で医薬品部門の責任者であるStefan Oerlich氏の写真が使用されました。彼は10月24日にベルリンで開催された《2021ワールドヘルスサミット》の基調講演に登壇しました。

Oerlich氏は、業界におけるイノベーションと、そのイノベーションがどのように国民の信頼に受け入れられたかについて述べていました。彼は、イノベーションの一例としてCOVID-19ワクチンと並列構築するための遺伝子治療を挙げ、新しい技術に対する世論がどのように変化しているかを説明しました。この投稿での彼の引用は、彼の発言全文の文脈から切り取ったものです。

Oelrichのスピーチ全編のビデオの6:34から、彼は以下のように述べています:

今夜我々は、イノベーションについて沢山お聞きしました。Health for allは、ライフサイエンスのエコシステムのあらゆる面にイノベーションを埋め込むものでもあることは確かです。COVID-19を超える問題に取り組むために、現在の勢いを利用しましょう。今回の危機ではワクチンがその典型例ですが、バイオテクノロジーの分野でのイノベーションは、他の多くの病気、特にNCD(非感染性疾患)に対する我々の見方を根底から覆すものでもあります。特にNCD(非感染性疾患)については、単に症状を治すだけでなく、多くの疾患を治療することが可能になりました。何故なら、本当に意味のある方法でイノベーションを推進するために飛躍し、研究開発に投資し、リスクを負う者は、投資を行なう者のために雇用の安定と繁栄を生み出すことによって、持続可能性を達成することが出来るからです。このことは、この地域にとっても本当に重要なことだと思います。我々バイエル社は、細胞治療や遺伝子治療で飛躍を遂げようとしていますが、これは、我々が将来的に変化をもたらすことが期待出来る例の一つです。

https://webgate.ec.europa.eu/sr/speech/speech-stefan-oelrich-world-health-summit-2021 

動画の8:01に、Instagramの投稿で使われているコメントを出しています。

最終的にmRNAワクチンは、その細胞療法や遺伝子療法の一例です。私はいつも言いたいのですが、もし2年前に一般の人に「遺伝子治療や細胞治療を受け、それを自分の体に注射することに抵抗はありませんか」というアンケートを取っていたら、恐らく95パーセントの拒否率があったでしょう。今回のパンデミックによって、多くの人々が、以前には不可能だったかもしれないイノベーションに目を向けるようになったとも思います。

https://webgate.ec.europa.eu/sr/speech/speech-stefan-oelrich-world-health-summit-2021 

Lead Storiesは、この主張についてBayer社にコメントを求めました。医薬品のコミュニケーション責任者であるOliver Renner氏は、2022年6月22日にLead Storiesにメールを送り、「Bayer社によりますと、mRNAは一般的な理解の意味での遺伝子治療ではありません」と述べました。

Lead Storiesは、以前、mRNA COVIDワクチンがDNAを修正するといういくつかの主張を、こちらこちらこちらを含めて、論破しています。CDCの資料《Understanding mRNA COVID-19 Vaccines》には、次のように書かれています:

これらのワクチンからのmRNAは、私達のDNA(遺伝物質)がある細胞の核に入らないので、私達の遺伝子を変えたり、影響を与えたりすることは出来ません。

国立ヒトゲノム研究所は、mRNAを次のように説明しています

プロテインの合成に関与する一本鎖RNAの一種。mRNAの役割は、細胞核内のDNAから細胞質(水のある内部)へプロテインの情報を運ぶことであり、そこでプロテイン製造装置がmRNAの配列を読み取り、各3塩基のコドンを対応するアミノ酸に翻訳して、プロテイン鎖を成長させます。

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