ニュルンベルク綱領の原則とワクチン接種とは適合している。

の和訳です。

【和訳】
FacebookやInstagramで何千回もシェアされた投稿によりますと、ワクチンは第二次世界大戦後に制定された人体実験のための研究倫理原則であるニュルンベルク綱領に直接違反しているとのことですが、この主張はデマです。医療倫理と法律の専門家は、ニュルンベルク裁判にちなんで名付けられたこの原則は、ワクチン接種と両立可能であると述べています。

2020年5月25日にカナダで撮影され、Facebookで共有されたチラシには、「ワクチンはニュルンベルク綱領に直接違反している」と警告が書かれています。

2020/05/27付のFacebook投稿のスクリーンショットより

同様の主張は、米国フロリダ州フランス南アフリカのFacebookアカウントからも共有されています。また、こちらのInstagramでもこの主張が流布されました。

この投稿は、新型コロナウイルスに対するワクチンの世界的な探索を巡る議論の中で人気を博しています。

ニュルンベルク綱領

1945年11月から1946年10月にかけて行われたニュルンベルク軍事裁判には、強制収容所収容者に対する医学実験の実施に関与したとして23人の医師と管理者が訴追された「アメリカ対カール・ブラント裁判」が含まれています。この判決文には、「許容される医学的実験」の詳細が記されていました。この10項目が「ニュルンベルク綱領」と呼ばれるようになりました。

第1項目は「自発的同意の原則」です。

ペンシルバニア大学の生命倫理学教授であるJonathan D. Moreno博士は、「ニュルンベルク綱領は人体実験についてであって、ワクチン接種についてではない」と述べている。

ニュルンベルク綱領はワクチン接種と完全に両立します。

ペンシルバニア大学の医療倫理学の教授であるSteven Joffe氏は、これに同意件です。「ワクチンは決してニュルンベルク綱領に違反するものではありません。」とのことです。

生命倫理と人権に関する世界宣言

FacebookやInstagramの投稿では、国連教育科学文化機関であるユネスコがまとめた原則も指摘されています。

2005年の総会で、ユネスコは「生命倫理と人権に関する世界宣言」を打ち出しました。その目的は、「科学技術が人類と環境にもたらすジレンマと論争の増大に、人類が対応するための基礎を提供すること」です。

書き込みで参照されている第6条には、「いかなる予防、診断及び治療のための医学的介入も、適切な情報に基づき、関係者の事前の、自由な、情報に基づく同意を得た場合にのみ行われる。」とあります。

ノースイースタン大学医療政策センターのWendy E. Parmet教授によれば、法的には、インフォームド・コンセントは自発的な同意とは異なる基準であるとのことです。

Parmet氏によりますと、「インフォームド・コンセントは、単に自発的な選択というだけでなく、その選択がインフォームド・コンセントであること、つまり、その人が実際にリスクを理解していることを意味します。」とのことです。

「これらは複雑な議論であり、投稿では完全に誤解を招くような形で縮小・簡略化されています。」とParmet氏はおっしゃいました。

彼女は、インフォームド・コンセントとワクチン接種がいかに両立するかについて詳述された2005年のこの論文を示して、以下のように主張しました。「インフォームド・コンセントは、傷害の補償、傷害の予防、信頼の促進、選択の承認という4つの大きな目標を前進させる。」

ジョージタウン大学で公衆衛生法を専門とするLawrence Gostin教授も、「人は治療を拒否して病気を他人にうつす権利はない」として、「この主張は全くの誤りだ」と述べています。

生命倫理の原則では、インフォームド・コンセントは必要だが、他人にリスクを与える場合は必要ない。」とAFPに電子メールで語ってくれました。

ワクチン接種の義務化

更に、「強制・強要・義務化されたワクチン接種」はニュルンベルク綱領の原則に違反し、ワクチンに関する法律を執行する役員は戦争犯罪に問われる可能性があると主張しています。

現在、カナダやアメリカでは、強制接種の議論はされていません。

カナダでワクチン接種が義務付けられているのは、同国で最も人口の多いオンタリオ州と大西洋岸に位置するニューブランズウィック州のみです。両州の法律には、医学的、宗教的、道徳的理由に基づく免除条項が含まれていますが、現在ニューブランズウィック州で審議中の法案11では、免除規定が変更される予定です。

カナダでは、全国的に予防接種が推奨されており、国家予防接種戦略の中で、接種率の向上が目標に掲げられています。

米国では、50州全てで、就学を希望する子どもや永住権申請者に対してワクチン接種を義務付ける法律が制定されています。

しかし、全ての州で医療上の理由(例えば、子どもがワクチンに対してアレルギーがある場合など)により免除されることが認められています。

全米立法府会議(National Conference of State Legislatures)によると、コロンビア特別区と45州は宗教上の理由で、15州は個人的、道徳的、その他の信念で哲学的な免除を認めているということです。

Parmet氏は、インフォームド・コンセントの原則とワクチン接種の義務化の間には 「緊張関係」があるが、「裁判所はこれらのワクチン法を支持し続けてきた。」と述べています。

ワクチンの承認と規制

カナダ保健省の生物製剤・放射性医薬品局では、全てのワクチンを一般に公開する前に、その安全性と有効性を審査しています。認可を得るためには、企業は「ワクチンの有益性が特定されたリスクを上回る」ことを証明しなければなりません。

米国では、このプロセスはFDAによって監督されており、新しいワクチンには一般的に3段階の臨床試験が行われます。

また、認可された後も、予防接種はモニタリングされています。

予防接種を開始すると、入念な報告プロセスを経なければなりません」とMoreno氏は説明します。

カナダ米国も、予防接種後の有害事象を慎重に記録しています。カナダからの最新の報告書はこちらでご覧になれます。米国のデータは、ここからダウンロードすることが出来ます。

AFPファクトチェックは最近、予防接種の断り方に関する誤った情報や、小児用ワクチンの成分に関する誤った主張など、ワクチンに関するその他の主張を論破しています。

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