元バ看護師なYouTuberがシンガポールの子供達のCOVID-19ワクチンに関するエビデンスを勘違いしています。

【主張】

  • COVID-19ワクチンで酸素療法を必要とした子供達よりも、COVID-19ワクチンで重篤な反応を起こした子供達の方が多い。

➡ここまでで、「 #ヤブ医者 はちょっと黙ってろ」と読まないのもありですけど、一応訳しますw。

【評定】

  • これは、ワクチンによって引き起こされたとは限らない有害事象のデータに基づいているため、正しくありません。

  • また、他のいくつかの理由からも、誤った比較をしています。

➡言い飽きた感があるのですが、
『ワクチン接種後に有害事象が起こった≠有害事象はワクチン接種が原因』
すら分からない #元バ看護師 は医者辞めろwww。

YouTubeで70万回以上視聴され、Facebookでも共有されている動画で、New England Journal of Medicine(NEJM)に掲載された新しい研究が、「(ワクチン接種による)有害事象のリスクは、(COVID-19による)子供が酸素供給を必要とするリスクのおよそ4倍強」と誤って主張しているものがあります。

この動画を投稿したのは、COVID-19に関する動画を定期的に投稿し、YouTubeチャンネルの視聴回数が5億回を超える人気YouTuberのDr. John Campbellです。

動画の最後に、Dr. Campbellは「私が何か誤解していないか見て下さい」と視聴者に呼びかけています。

彼は、いくつかの点で誤解しています。

この研究は、ワクチンがCOVID-19による入院から子供達を守ることを示しており、ワクチンによる重篤な副反応のリスクが、この病気で重症化するリスクより大きいことを示してはいません。

《この研究はどのようなものなのでしょうか?》

本研究では、オミクロンがCOVID-19の変種として優勢だった2022年初頭のシンガポールのデータを用いて、5歳から11歳の約25万人の子供達を対象に、Pfizer社製の COVID-19ワクチンの有効性を評価したものです。

これらの子供のうち、約20万人が調査期間中(1月21日から4月8日)に完全接種(2回接種)または部分接種を受け、約5万人が未接種でした。

2月末まで(つまり調査期間の約半分)に、ワクチン接種後の重篤な有害事象が22件報告されており、これは接種数の0.005%に相当します。このデータを掲載したシンガポールの資料には、有害反応の報告は「必ずしもこの治療・ワクチン接種と因果関係があるわけではない」と書かれています(研究からのリンク先です)。

また、全調査期間中、ワクチン接種児、非接種児を問わず、COVID-19による入院は合計288件あり、そのうち5件は酸素吸入を必要とする子供達でした。

この研究では、完全なワクチン接種を受けた子供は、ワクチン未接種の子供に比べ、COVID-19による入院が約83%少なく、部分接種の子供も保護されているが、その程度は低いことが推定されました。

《動画において誤解していること》

動画の中で、Dr. Campbellは、ワクチンが子供をCOVID-19による入院から有意に保護することを示す研究であることに同意しています。

しかしながら、彼は異なる分析をしています。ワクチン接種者と非接種者のCOVID-19による入院件数を比較するのではなく、彼自身の定義によるCOVID-19による重篤な入院件数(酸素療法を受けた5人)とワクチン接種後に報告された有害事象の件数(22件)を比較し、それによって、ワクチン接種のリスクがCOVID-19による子どもへのリスクより大きいかもしれないと示唆しているように見えます。

これには、いくつかの点で重大な欠陥があります。

第一に、COVID-19で重症化して入院した子供の総数は、この病気の根本的なリスクを測定しているものではありません。何故なら、この研究に参加した子供の約5分の4は既にワクチンで保護されていましたから、そうでなければCOVID-19に感染して重症化したかも知れないのに、そうならなかった子供も存在したことになるからです。

もし、Dr. Campbellがワクチンを接種していない人々に対するCOVID-19のリスクを測定したかったのなら、ワクチンを接種していない子供達だけの入院率に注目すべきだったのです。 或いは、英国保健安全庁(UKHSA)予防接種合同委員会(JCVI)のように、予防接種の効果を入院の予防という観点から見るべきでした。

いずれにせよ、Dr. Campbellは、COVID-19Cによる入院の総数(288件)を勘定に入れていません。 酸素吸入を必要とした入院(5件)のみを数えており、「多くは予防的に入院している」と考えていることを正当化しています。

しかし、この研究自体は、他の283人の入院が重篤でない、あるいは「予防的」なケースであったとは言っていません。

《ワクチン接種そのもののリスクはどうでしょうか?》

288人の入院患者のうち283人は「予防的」なケースであるとして除外したにも関わらず、Dr Campbellはワクチン接種後に報告された22の重篤な有害事象全てをワクチンによるリスクを検討する際に含めています。

これらの有害事象が、酸素吸入を必要とした小児のケースほど深刻なものかどうか、或いはワクチンによって引き起こされたものかどうかさえ分からないにも関わらず、彼はこのようなことをしたのです。

この事象は、シンガポール保健科学庁(HSA)が元の研究で引用した文書で説明されています。この文書では、有害事象が「入院/入院期間の延長に結びついた場合、機能レベル/障害が著しく低下した場合、生命を脅かす病気(例:アナフィラキシー)または死亡に結びついた場合、出生異常が生じた場合、医療上重要な事象である場合」に「重篤」と分類されることが説明されています。

従いまして、Dr Campbellが言及した22の事象の中には、「入院に至った」ものもありますが、実際には、Dr Campbellが無視したCOVID-19による283の入院の一部よりも深刻ではないものであった可能性があります。

Dr. Campbellはまた、動画の注釈で「ワクチンへの反応」と表現している場合も含め、これらの重篤な事象がワクチンによって引き起こされたと誤って示唆しています。

同じHSAの文書には以下のように記されています
「報告された[有害事象]は、基礎疾患や未診断の疾患、または基礎疾患の自然な進行と関連している可能性があるため、必ずしもワクチンがこれらの[有害事象]を引き起こしたことを意味しないことに注意することが重要です。また、ワクチン接種と同時期に発生した偶然の出来事であっても、ワクチンによって引き起こされたものではない可能性があります。」

Dr. Campbellはこのことに触れていません。

《予防効果はどのくらい持続するのでしょうか?》

Dr. Campbellは、この研究のデータでリスクベネフィット分析を実施することについて話していますが、ワクチンの利益の大部分は含まれていません。何故なら、COVID-19ワクチンは、少なくとも数ヶ月はこの病気による入院から保護し続けることが分かっているからです。

UKHSAの推定によりますと、Pfizer社のワクチンは、オミクロンでも4-6ヶ月後にはまだ85%程度の予防効果を発揮します。このため、2ヶ月半の期間しか調査していないこの研究では、ワクチン接種のメリットの多くは捉えられません。

一方、ワクチン接種による有害事象は、通常6週間以内に発生します。

また、有害事象のデータも不完全である可能性があります。何故なら、この研究は2月28日までのワクチン接種後に報告された有害事象のみを対象としており、研究期間の終了までは対象としていないからです。

要するに、Dr. Campbellは、COVID-19ワクチンのリスクとCOVID-19自体のリスクを比較しているように聞こえるかもしれませんが、彼の分析は:

  • ワクチンが原因でない可能性のある重篤な有害事象を含んでいます

  • これらのイベントよりも深刻であった可能性のあるCOVID-19による多くの入院を除外しています

  • 本試験に参加した小児の大部分がワクチンを接種していなかった場合に発生したであろう多くのCOVID-19による入院を除外しています

  • ワクチン接種の利点(と潜在的なリスク)の多くを除外しています

Full FactはDr Campbellにコメントを求めましたが、記事公開時点では回答がありませんでした。

《ワクチン接種のメリットは、リスクを上回ります》

COVID-19によるリスクもCOVID-19ワクチンによるリスクも、子供に対するリスクは非常に低いものです。 また、正確に推定することは困難です。

2月に健康な5-11歳のエビデンスを評価した際、予防接種合同委員会は、ワクチン接種の利益は将来のCOVID-19の波の大きさと将来の変異型の特徴に依存するので、不確定である、と述べました。

「全体として、委員会は、ワクチン接種の潜在的な健康上の利点は、潜在的な健康上のリスクよりも大きいことに同意しました」ということです。

画像提供:Braňo

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