日米の乳幼児予防接種プログラムの比較は不正確です。

【主張】

  • 日本は乳幼児死亡率が最も低く、2歳以下の子供はワクチンを接種していない。

  • アメリカは乳幼児死亡率が最も高く、2歳までに28回ワクチンを渡している。

【評定】

  • 日本の乳幼児死亡率が世界一低いわけでも、アメリカが世界一高いわけでもありません。

  • また、日本は2歳以下の子供にワクチンを接種していないというのも事実ではありません。

【レビュー】

Facebookの投稿で、日本と米国の乳幼児死亡率とそれぞれの予防接種プログラムを不正確に比較し、予防接種が乳幼児死亡に関連していることを示唆する投稿がありました。

投稿にはこうあります。「日本は乳幼児死亡率が最も低く、2歳以下の子どもはワクチンを受けていない、米国は乳幼児死亡率が最も高く、2歳までに28回ワクチンを渡している!」

日本は乳幼児死亡率が最も低いわけではなく、米国も最も高いわけではありません。また、日本が2歳以下の子供にワクチンを接種していないというのも事実ではありません。

日本は米国より乳幼児死亡率が低いが、それがそれぞれの国の乳幼児ワクチン接種プログラムに関連していることを示す証拠はありません。

日米の乳幼児死亡率

国連のデータによりますと、2020年時点の日本の乳幼児死亡率(1年間の出生児1000人当たり1歳未満で死亡する子供の数)は1.8人で、アイスランド、サンマリノ、エストニアに次いで世界で4番目に低く、スロベニア、ノルウェー、シンガポールと同程度と推定されています。

同じ年の米国の乳幼児死亡率は、1,000人当たり5.4人と推定されている。この率は、日本を含む他のいくつかの比較可能な国よりも高いものの、世界で最も低い率の上位50位に入っています。乳幼児死亡率が最も高い国はシエラレオネで、悲しいことに出生1,000人当たり80.1人の乳幼児が死亡しています。

ワクチンが乳幼児突然死症候群(SIDS)に関係しているという誤った主張については、以前にも書いたことがあります。予防接種がSIDSに関係しているという証拠はありません。しかしながら、様々な病気に対する予防接種が、世界中で何百万人もの命を救ってきたという重要な証拠があります。

ワクチン接種のスケジュールに関する主張も不正確

「日本では2歳まで予防接種をしない」というのは誤りです。日本小児科学会によると、2歳未満の子供には、ポリオ、結核、麻疹・風疹等を含むいくつかのワクチンの接種が推奨されています。

CDCの推奨するワクチンスケジュールによりますと、米国の乳幼児は2歳になるまでに25回ものワクチン接種を受けることが出来ます。このスケジュールでは10種類のワクチンが推奨されており、そのうちの数種類は数カ月間にわたって複数回接種されます。

OECDが収集したデータによりますと、ジフテリア、破傷風、百日咳、はしかに対する子供の予防接種率は、米国より日本の方が高いです。

AFP Fact Checkによりますと、日本では1994年に予防接種法が改正され、強制的な予防接種が禁止されましたが、米国では50州全てで、子供が公立学校に入学するために一定の予防接種が義務付けられています。日本の予防接種法については、ネット上の誤報を監視する活動の一環として、以前にも記事にしたことがあります


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