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東名をぶっ飛ばしながら過去のエロ常時を共に回想したことをきっかけに同級生女子宅へ通うようになったアラサーの話

金曜日の夜。
一週間の仕事に区切りを付け家路につきながら電車の中でスマホを指先で弄っていた。

金曜の帰りに真っ直ぐ帰宅しようか問答してしまうことは毎度のこと。 
とはいえ日常的に会う女性がいるかというとそんなわけでもない。
スマホの電話張のリストをスクロールしながら、ドコモのガラケーを使用していた頃は、女性のみをグループ化してこのような場合にア行から順に目ぼしい相手に只管定型文を送りまくっていたのだが、スマホに機種変更した際のデータ移行でグループ化したそのデータも崩れ、男友達や会社関係者を当然避けた対応を取らなければならない。 

いつか僕は重大なインシデントを引き起こしてしまうのではないだろうか、そうなったらそうなった時のことだと、たまたま目に入った同郷の同級生のハルナへ何の気なしにメッセージを送信しようとしていた。
「今日飲みに出てる?それか家居たりする?」 

たまたま相手もオンラインだったこともあり、入力中の表示に切り替わる。
「家にいるけど、どうしたの?」
「ちょっと顔出そうかと思って。おっぱい吸っちゃおっかなーみたいな!」
「残念、生理来ちゃった(笑)」
「良いよ。全然気にしない!」
「(笑)」

乗っけから2人の間に公約でもあるかのようなやり取りが展開する。
通常であれば、もしくは相手が違えばもう少し女性に対するアプローチには使用する言葉の配慮やプロセスというものがあるとは思うが相手は同郷の同級生。
ハルナは学生の頃から僕の乱れた女性事情を共通の友達から嫌ほど聞かされていたという。それにも関わらず、たまたま共通の友達カップルが結婚する際に会場で再会し、「気が向いたら食事でもしようか」と、今更ながらの連絡先交換に至った。
近くに住んでいたのは知っていたが、これだけヒトが溢れる首都圏での日常生活であえて共通の知人が沢山いる同級生とつるむことがあるだろうかという煩わしいという思いもあったし、ハルナも少し前まで共通の知人と長く交際しており同棲していたということもあった。
僕の同級生でもあるその交際相手と一緒に出て来たハルナ達であったが、都市部での生活に中で交友関係が変わるに連れて羽目を外し始めた彼に嫌気がさし、別々の道を歩むことを決断したのだと、再会したのは調度そんな頃とも重なっていた。 

互いに遠慮や照れ臭さもあり、連絡先を知った後も中々最初の連絡を交わすには至らなかったのだが、連休の帰省を話題にメッセージの交換が始まり、2人とも車の運転が出来るのであれば尚のこと僕の車を交代で運転しながら一緒に帰省すれば旅費も浮かせられるのではないかと、話がまとまった。

30歳を迎えた同級生同士。
2人きりで会うのはほぼ初めてでもあり、車内という密室という気不味さも無くは無かったが、共通の知人や昔話には思った以上に華が咲き、話題には全く困らなかったし、寧ろ別れた彼の愚痴を話す時の彼女の晴れ晴れしい姿には爽快さを覚えた。
知った顔の陰口のようでもあり躊躇しはしたが、上京して色々な趣味に手を出す多感な彼を、
「サーフィン始めたは良いけど毎回遠出に付き合わされるし、格好つけて短いヤツに乗ろうとするから沈んでばっかだし。散々浮気されたんだから色々と吐き出したいしこういう時くらい聞いてくれてもいいでしょ?(笑)」と、一度話し始めてしまえばパンドラの箱を突いたように、今まで誰にも話せなかったのだろう思いの丈の聞き手に徹していた。

「軽く10時間はかかるだろうから、眠くなったら言って。オレは長距離運転するのは平気だから」
「大丈夫、目は冴えてるから」
「あ、寧ろ寝てて良いよ。こっそりおっぱい揉んじゃおっと」
「揉むほど無いから空ぶるよ」
「隠れ巨乳かも知れない(期待)」
「絶対そんなことは無い(笑)」

どう思われようが構わないと、半信半疑の下ネタをぶっ込んでみても彼女は嫌な顔をせずそれにも乗って来る。寧ろ聞きたい話が色々あるかのようだった。
「ねぇ、今でもすっごく遊んでるんでしょ?女の子と」
「足りないなぁ」
「今まで私の知ってるヒトとそういう感じになったことある?」
「あると思うなぁ。高校の頃T高校の制服の同級生見かけたら、『家まで送ってー!』ってチャリの後ろ乗っけてもらいながらめっちゃ色んなヒトのおっぱい揉んでた」
「ソレその頃皆が言ってたよ」
「共有されるのかよ。でもまた皆一人ひとり会いたいなー」
「皆でじゃなく?(笑)」
「なく。寧ろ丁寧に密室でご奉仕したい!」
ハンドルを握る両手の掌が彼女達のまだ張りの良かったであろう頃の乳房の感覚を思い返しながら噛み締める想いに駆られていたが、事故らないようにと正面を見据えながら東名を加速した。

「でね、車の免許取った頃というか高校出て皆が進学や就職した頃あったでしょ?」
「?」
「その頃サナエの運転で2人でドライブ行かなかった?(笑)」
「行った。海!でもサナエちゃんとはオレ何もしてない!はっきり覚えてる」
「それは何で?」
「何か、ここでの会話のように色々話してたら、何かの流れでサナエちゃんが『私自分の胸はすっごく綺麗だと思う』とか言ってて、オレも見たくなるじゃん?」
「うんうん(笑)」
「でも『誰にも触らせない!』みたいに宣言っぽく言うから、横乳突くような気にもなれなくてさ」
「その後、凄く落ち込んでたんだよ」
「え?行っとくべきだったの?」
「多分…(笑)」
「何だよそれ、今回帰ってる間会えないかな?」
「もう結婚しちゃったからダメかな…」
「クッソ、マジか」

「私達の間というか、皆そうだと思うんだけどね。キミ達の周辺の皆さん女性関係めちゃくちゃだったでしょ?『やっぱり手を出されそうになった』とかいう声をよく聞いてて、『絶対2人で会うと何かしてくるよね』って噂になってたんだけど、」
まったく否定はしない。
確かに2人で遊んだりドライブなんかする場合は、そんな感じでイチャイチャしていた。多感な頃だし雄って感じで仕方ないじゃないかと開き直りながらもドキドキしながら話を聞いていた。
「サナエは、『よりによって何故自分だけが何もされていないのか』って、女としての魅力が無いんじゃないかって相当落ち込んでたんだよ」
「本当はめっちゃしたかったって伝えといてよ。ってかその時言ってもらえればなー」

ここまでの道中渋滞には引っ掛かっていないが、実家まであと何時間かかるだろうかという懸念はいつまでも拭えない。
実際の移動距離に反して、話題が弾むせいか時間の経過を感じないのだが、過去の自分を想うとこっぱずかしくて仕方ない。 

愛知県に入り豊田東JCTから新名神へ抜けようと伊勢湾岸道に入った。
帰省時や東阪を車で行き来する際、深夜のこの道は綺麗にライトアップされており、車線も多く広々とした道が続くので好きだ。 

<続く>

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小説コンテストに参加しています。
現ドラ部門では一応上位のようなので、良ければ読んでみて下さい。


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