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なんとも空疎な映画だった

グリコ・森永事件の真相に迫った映画、と言われる『罪の声』を観た。
犯人グループは活動家崩れのインテリと、汚職で警察をクビになった元刑事、そして、ヤクザその他の寄せ集めチームだったという。

事件の計画立案者である活動家崩れは、事件の真相に迫った新聞記者に、「あれは闘争でした」「警察に、社会に、日本に、見せつけてやったんです。この国がいかに空疎か、見せてやったんです」と犯行の動機を語るのだが、この映画が面白いのはここまで。

ここから先は「でもやっぱり犯罪はよくない」とか、「でもやっぱり子供を巻き込んだのはよくない」とか、わざわざ映画で役者に語らせるほどのことではない、面白くもなんともない、凡庸でどうでもいい話がダラダラと続く。
結局のところ、「犯罪は犯罪だからよくない」と言っているだけで、すっかり白けてしまった。

犯人は事件を起こすことで、「この国がいかに空疎か、見せてやった」と言っていたが、この映画もまた、この国がいかに空疎か見せるために作られたのだろうか。



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