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逆境を乗り越えて、替えの効かない美容師になろう【はじめに】/横手康浩

文/安武 隆(女性モード社)

 新型コロナウイルスの影響による客数・売上の減少と、スタッフ・お客さま双方に感染リスクが存在する間(はざま)で、苦しい経営をしいられている美容室。半強制的な営業自粛要請の対象から外れてはいるものの、自主的に営業を停止したサロンも少なくない。また、インショップ型サロンのように、立地環境によっては休業せざるを得ない実態もある。

 営業を継続するサロンでは、スタッフの検温・消毒・マスク着用を徹底。間隔を空けたセット面の使用、窓や扉を開放し、常時換気しながらの営業、1時間あたりの予約受付数を減らした体制への変更など、綿密かつ細心の注意を払った対策が実践されている。しかしながら、やむを得ずに自宅待機している美容師や、従来とは異なる不慣れなサロンワークを余儀なくされている美容師の中には、心身両面でのコンディション維持に苦心する人が多いとも聞く。

 一方、お客さまの大半は不要不急の外出がはばかられ、いまだに感染拡大の終息が見えない中で、ストレス解消もままならない日常生活を送っている。髪を切りたい、美容室で気分転換したいと思っても、家族の反対で行くに行けないお客さまが増えたのは周知の通りだ。

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 これまで長きにわたって、どんな逆境であってもポジティブに、前向きに歩みを進めてきた美容業界。だが今回のコロナ禍(か)は、並大抵のポジティブさをもってしても通用しない、底知れぬ恐ろしさを感じさせる。それは、感染そのものへの恐怖もさることながら、サロンと美容師への影響において、である。
 あまりにも厳し過ぎる現実が目の前で起き、業界全体に不安が先行している感があるが、この状況をどうにか乗り越え、お客さまとの絆を深め、より息の長い、お客さまに選ばれ続ける美容師を目指す転機になってほしい

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 ―そんな願いを込めて、本稿では、圧倒的多数の顧客を抱え、サロンワークの第一線で活躍し続けている一人、横手康浩さんをホストに、トップヘアデザイナー同士による緊急対談を実施する。

 青山・原宿・表参道という世界屈指のヘアサロン激戦区で、延べ数十万人に及ぶお客さまを担当しながら、業界発展と美容師の向上のために、技術やデザイン、知識を惜しみなく公開し続けてきたトップヘアデザイナーたち。長いキャリアを通じて、幾多の困難、試練、逆境を乗り越え、衰えることのない高い意識で美容と向き合っているプロ中のプロ同士による対談は、苦しみながらも美容の道を歩み続ける、サロンと美容師が目指すべき方向と示唆に満ちた内容だ。

「サロンワークをずっと続けたい」
「お客さまに長く寄り添える存在でありたい」

 そんな思いを心に秘めた美容師にこそ読んでほしい、珠玉のスペシャルトーク。技術とデザインで切磋琢磨を重ね、業界をリードしてきた達人たちは、前例がない苦境にどう立ち向かい、その先に何を見据えているのか。トップヘアデザイナーたちの熱い胸の内を、次回以降順次公開していく。

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