【ややこしいドイツ語】stellenとlegen
ドイツ語には、「置く」に該当する単語がありません。
タイトルにある「stellen」と「legen」は、「置く」の一部だけを表現し、
「stellen」は「立てるように置く」(垂直に置く)
「legen」は「寝かせるように置く」(平行に置く)
という意味になります。
あと、「setzen」(英語の「set」の親戚)という単語もありますが、ここでは割愛します。
英語の「put」みたいに、垂直だろうが並行だろうが気にせず、とにかく「置く」という意味だけを表す言葉が、どうやらないようです。
ドイツ語を本格的に学び始めてから早15年過ぎ、歳だけは取っていますが初級で学ぶこの二つの単語の区別が未だにできません。
やはり、自分の世界の捉え方は日本語からかなりの影響を受けているので、正直、日常生活で、「これは立てて置くのか、寝かせておくのか」ということについてあまり区別をしないからです。
何でドイツ人は立ててあるか寝かせてあるかをそんなに気にするんだ~!って思いますが、これが言語の壁、言語の違いの面白さなのかもしれません。
「垂直に置く(stellen)」の例としては、
例えばボトル。これは確かに立てて置くイメージができます。
でも、カバンやコーヒーカップもそうとなると、「まあ、言われてみれば」という感じで、いちいちそこまで考えが及びません。
ちなみに、カップを上下さかさまに置いても「stellen」です。
一方、「平行に置く(legen)」と言うと、
ボトルやカバン、コーヒーカップを横に寝た状態に置くことになります。
この状態はこれらの物では本来あるべき姿ではないので、単に「置く」と言いたければ、上記で書いたものについては「stellen」の方が自然になります。
一方で、携帯電話とか、マウスとか、お皿とかは「legen」の方が自然です。
これらは「置く動作」を表す動詞で、「どこに(方向)」までの情報を必要とします。
そのため、「Ich stelle eine Tasche(私はあるカバンを立てて置く)」とだけでは充分ではなく、
まで言わないといけません。
「私はカバンを置く」という日本語にぴったり合う表現は、あまりドイツ語にはないのかもしれません。
敢えて言うなら、「Ich stelle meine Tasche ab.」とかですが、これは「私はカバンを手放して置く」という意味に近くなります。
他の違いは、「stellen」の場合は、置いた物が倒れる可能性がありますが、「legen」の場合は、既に横になっているので、倒れる心配がありません。
そして、置いたあとの状態「置いてある」を表す単語にも二つあります。
「立てて置いてある(垂直に立ててある)」は「stehen」、
「寝かせて置いてある(水平に置いてある)」は「liegen」です。
僕はどうやら「liegen」を「置く/に位置している」、「stehen」を「立っている」と覚えてしまったようで、
という表現に少し違和感を感じてしまいます。
まあでも、「stehen」は「立っている」だけでなく「立ててある」という意味もあり、
「Eine Tasche liegt auf dem Tisch」だと、
カップが横向きに置いてある絵になるので、イメージが変わってしまうんですよね。
他に、誰かが意図的に「置いておく」場合にも2種類あります。
「垂直に置いておく」は「stehen lassen」、
「水平に置いておく」は「liegen lassen」です。
「×stellen lassen」や「×liegen lassen」ではないのに注意です。
ここまでお読みくださいましてありがとうございました!
【画像】SplitShireさま【Pixabay】
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